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お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

コフィー

2013-11-02 | キル・ビルのルーツを探せ!
「キル・ビル」のルーツを探せ!(その14)★ブラックスプロイテーション映画

■「コフィー/Coffy」(1973年・アメリカ)

監督=ジャック・ヒル
主演=パム・グリア ブッカー・ブラッドショウ  

 ブライドに最初に殺されるヴィヴィカ・A・フォックス。タランティーノは彼女にパム・グリア(「ジャッキー・ブラウン」)のつもりで演技してもらったという。タランティーノは13歳の頃からパム・グリアの大ファン。特に彼女のデビュー作にしてブラックスプロイテーション映画の傑作「コフィー」に、タランティーノは夢中になったという。麻薬中毒にされた妹の仇を討つため、一人組織に挑むヒロインはひたすらかっこよく、しかもセクシー。彼女の為に「ジャッキー・ブラウン」の脚本を書いたのは有名なお話だ。ブラックスプロイテーション映画(Black+Exploitation (低予算映画))とは黒人向けアクション映画のことだ。ハリウッドでは白人の協力者として描かれがちな黒人像とは異なり、そのスクリーンでの勇姿はとにかくタフ!。むかーしTVで「クレオパトラ危機突破」(73)という黒人カラテ映画を観て夢中になったことがあるけれど、それもこのジャンルの一本。どちらも悪役は白人で、アフロヘアのセクシーなヒロインが大活躍する映画だ。ワウギターが唸る音楽も聴きどころ。黒人観客目当ての作品だが、当時タランティーノの母親に黒人のボーイフレンドがおり、一緒に鑑賞したらしい。

 僕が「コフィー」を観て思ったこと。それは「vol.2」の展開に似てないか?ということ。ジャンキーにされた妹の復讐という設定は、お腹の子を殺されたと信ずるブライドに通ずるところだし、愛する男に裏切られるストーリーを始め、両作品には共通点もみられる。例えば隻眼の殺し屋が両作品とも出てくる。もちろん「キル・ビル」ではエル・ドライヴァーだ。その殺し屋を片づけてのクライマックスはどちらも愛した男と1対1で向かい合っている構図ではないか。「コフィー」は、「キル・ビル」の物語自体に大きな影響を及ぼした映画であるに違いないだろう。

 次第に追いつめられていく主人公だが、一途に悪に立ち向かう姿には感動さえ覚える。この映画に流れるのは麻薬、権力、男・・・そんな社会への怒り。パム・グリアのセクシーな魅力には人種を越えて人気があったというのも納得できる。ダイナマイト・ボディとはこういうのを言うのだ。コフィーと友人の警察官を襲いにきた暴漢が、一度逃げたのにわざわざ気絶しているコフィーのおっぱいを触りに戻って来るサービスショットには思わず笑ってしまうけど、それもまぁご愛敬。密売人キング・ジョージがはべらす娼婦たちの中には、タランティーノのお気に入り映画「ローリング・サンダー」のリンダ・ヘインズの姿も。
 




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