「キル・ビル」のルーツを探せ!(その20)★ジョン・ウーはお好き?
■「狼 男たちの挽歌最終章/喋地雙雄(The Killer)」(1989年・香港)
●1990年香港電影金像奨 監督賞
監督=ジョン・ウー
主演=チョウ・ユンファ ダニー・リー サリー・イップ
タランティーノ監督がブライドについての構想をまとめようとしているときのこと。彼が参考にしてくれ、とユマ・サーマンに見せた映画のひとつが他ならぬこれ、「狼 男たちの挽歌最終章」だった。サリー・イップの長い髪が風になびく場面を見て、タランティーノはユマに「その長い髪をオレから奪わないでくれ」とのたまった。かくして、ユマが演ずるところのブライドは金髪のロングヘアーと決定したのだ(まぁ「vol.2」ではショートになるのだけれど)。
ところで「男たちの挽歌最終章」とは言うものの、この映画は「挽歌」・「挽歌ll」とはまっったく関係のない別物である。チョウ・ユンファ演ずる殺し屋は、ある殺しの現場で歌手サリー・イップの両目に怪我を負わせてしまう。彼女の治療の為に最後の殺しを引き受けるのですが、そこに立ちはだかる黒い影!。殺しの依頼人が素性がバレるのを恐がり、ユンファは命を狙われることになる。彼の運命や、いかに・・・ってなお話。「挽歌」のように絶叫もせず、「挽歌ll」のようにやたらニッタラニッタラせず、ここでのユンファはひと味違う。とにかくかっこいい。お馴染みの二丁拳銃は当然として、寡黙にタバコくゆらせてみたり、サリー・イップ抱きしめてみたり。ユンファのファンにはたまらない映画かもしれない。
この映画のもうひとつの見どころは、ダニー・リー演ずる刑事の葛藤。法を守る刑事としての使命感と、相棒を殺された怒りと、そして殺し屋ユンファを追ううちに彼に惹かれていく自分・・・。そして共に戦うラスト、教会の銃撃戦(またかよ)はもう感涙もの。この辺りのダニー・リーの葛藤、「キル・ビル」のブライドに通ずるように思える。かつての師匠・恋人でありながら、殺すべき仇としてのビル。「vol.2」で屋敷に単身乗り込むブライドの胸中、複雑な複雑な複雑なものがある。「狼~」の登場人物たちも葛藤を抱えた者ばかり。僕はサリー・イップの目が治ると犯人であることがバレる、でも助けずにはいられない・・・というハラハラを期待しながら観ていたのだが、そっちはすっかり裏切られる。あれだけ弾くらってるのに生きている主人公たちを不思議に思わない自分がいたり。個人的には「挽歌」よりも好き。
■「狼 男たちの挽歌最終章/喋地雙雄(The Killer)」(1989年・香港)
●1990年香港電影金像奨 監督賞
監督=ジョン・ウー
主演=チョウ・ユンファ ダニー・リー サリー・イップ
タランティーノ監督がブライドについての構想をまとめようとしているときのこと。彼が参考にしてくれ、とユマ・サーマンに見せた映画のひとつが他ならぬこれ、「狼 男たちの挽歌最終章」だった。サリー・イップの長い髪が風になびく場面を見て、タランティーノはユマに「その長い髪をオレから奪わないでくれ」とのたまった。かくして、ユマが演ずるところのブライドは金髪のロングヘアーと決定したのだ(まぁ「vol.2」ではショートになるのだけれど)。
ところで「男たちの挽歌最終章」とは言うものの、この映画は「挽歌」・「挽歌ll」とはまっったく関係のない別物である。チョウ・ユンファ演ずる殺し屋は、ある殺しの現場で歌手サリー・イップの両目に怪我を負わせてしまう。彼女の治療の為に最後の殺しを引き受けるのですが、そこに立ちはだかる黒い影!。殺しの依頼人が素性がバレるのを恐がり、ユンファは命を狙われることになる。彼の運命や、いかに・・・ってなお話。「挽歌」のように絶叫もせず、「挽歌ll」のようにやたらニッタラニッタラせず、ここでのユンファはひと味違う。とにかくかっこいい。お馴染みの二丁拳銃は当然として、寡黙にタバコくゆらせてみたり、サリー・イップ抱きしめてみたり。ユンファのファンにはたまらない映画かもしれない。
この映画のもうひとつの見どころは、ダニー・リー演ずる刑事の葛藤。法を守る刑事としての使命感と、相棒を殺された怒りと、そして殺し屋ユンファを追ううちに彼に惹かれていく自分・・・。そして共に戦うラスト、教会の銃撃戦(またかよ)はもう感涙もの。この辺りのダニー・リーの葛藤、「キル・ビル」のブライドに通ずるように思える。かつての師匠・恋人でありながら、殺すべき仇としてのビル。「vol.2」で屋敷に単身乗り込むブライドの胸中、複雑な複雑な複雑なものがある。「狼~」の登場人物たちも葛藤を抱えた者ばかり。僕はサリー・イップの目が治ると犯人であることがバレる、でも助けずにはいられない・・・というハラハラを期待しながら観ていたのだが、そっちはすっかり裏切られる。あれだけ弾くらってるのに生きている主人公たちを不思議に思わない自分がいたり。個人的には「挽歌」よりも好き。
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