Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ブレックファスト・クラブ - 80's Movie Hits ! -

2013-11-21 | 80's Movie Hits !

- 80's Movie Hits! - 目次はこちら

■Don't You (Forget About Me)/Simple Minds
from「ブレックファスト・クラブ/The Breakfast Club」(1985年・アメリカ)

監督=ジョン・ヒューズ
主演=エミリオ・エステベス モリー・リングウォルウド アンソニー・マイケル・ホール

 80年代の青春映画といえば、ジョン・ヒューズ監督による愛すべき作品群を思い浮かべる人も多いはず。ヒューズ映画のヒロイン、モリー・リングウォルドのどこかスネたような表情が実は好きだった・・・そんな男子諸君もいることであろう。さて、本作は休日登校を命じられた5人の高校生が主人公。カメラは最初と最後を除いて校外に出ることはなく、ひたすら図書室の5人を追い続ける。初めはののしり合うような5人だが、お互いのことを語り合ううちに次第に相手と我が身を見つめ直し、少しだけ成長できた・・・そんなお話。

 実は最近、初めてこの映画を観たのだが、高校生の当時観ていたらもっとグッときていた部分があるのだろうな。やはり映画には観るべき時期に観るべき映画があるのだ。その年頃に観ていたらきっと今と違う納得をすると思うんだよね。僕は大学生のとき公開から1,2年遅れで「フットルース」を観た。そのときに”高校生の時点でこれを観ていたらもっと夢中になれたかも”と思った。「ブレックファスト・クラブ」を今観るとなんか今イチ共感しずらい。休日登校させられることのない優等生だったからかって?いえいえ、優等生には程遠い存在でしたよ。それともそれは製作当時から30年近く経って僕が大人の側に立ってしまったからなのだろうか。それとも主人公たちが「あんな風になりたくない!」と口々に言う"親"ってヤツに僕がなったからだろうか。

 きっとそうだろう。最初と最後に登場する親たちに何ひとつスポットが当たらないのに不満が残った。自分の子供が車のすぐ横で誰かとキスしているんだよ。車に乗った後で、エミリオくんにこんな一言でもあったなら。
「お前、あん女んコは誰かえ?。レスリングん方は今ひとつじゃが、うまくやっちょんじゃねぇか(何故か大分弁がしっくりくる・笑)」
僕は納得していた気がする。

 それでも、親の期待に潰されそうとか、成績のことで思い詰めたりとか、主人公たちが語る思春期独特の悩みは万国共通。単なる雑談が次第に自分の状況や悩みについての告白大会と変わっていく。その様子はお気楽な80年代青春映画のはずなのに、まるで舞台劇を観ているようにスリリング。それは校内からカメラがほとんど出ず、輪になって話す場面でみられるようにカメラ自体も彼らの目線に降りているからだ。カメラの目線と僕らはひとつになり、彼らと同じ目線に立つ。

 さて、音楽担当はジョルジオ・モロダー一派のドラマー、キース・フォーシー。ここではインストロメンタルのスコアも書いており、ヴァリエーションも豊富でいい雰囲気を出している。ちなみに Flashdance ~ What A Feeling の歌詞をアイリーン・キャラと共作したのも彼である。シンプル・マインズにとって初のNo.1ヒットとなった主題歌 Don't You (Forget About Me) は、キース・フォーシーがこの映画のために書き下ろした曲である。実は当初ビリー・アイドル、ブライアン・フェリーにもオファーがあったそうなのだが、いずれも断られている。そしてプリテンダーズに話がいった後、クリッシー・ハインドが夫が在籍していたシンプル・マインズに話をまわしたそうである。シンプル・マインズも歌うのを嫌がったという話もあるが、これが大ヒットにつながったというから世の中はわからない。そんなたらい回しされた曲なれど、この曲のカッコよさは今聴いても色あせていない。僕はシンプル・マインズをこの曲で知った。この後のアルバム "Once Upon A Time" はしばらく聴きこんだなぁ。

 キース・フォーシーは Don't You (Forget About Me)  をとにかく気に入っているらしく、後にビリー・アイドルのベストアルバムで再録している。サントラには他に ワン・チャン(Fire In The Twilight) や ジャネット・ジャクソンのプロデューサーとしても知られるジェシー・ジョンソン(Heart Too Hot To Hold)らも参加。サントラも映画自体も当時の派手なヒット作とは違い、どうしても地味な印象を受けるが、高校生にとって等身大の悩みを同じ目線で描いてくれたこの映画は、当時ティーンには強く心に刻まれる一作となったのである。5人が円形に並んで語り合うクライマックスは、カーラ・デ・ヴィトーの We Are Not Alone と共に印象的であった。やっぱり当時観ておくんだったなぁ。





※Simple Mindsの曲が流れる主な映画
1985年・「ブレックファスト・クラブ」 = Don't You (Forget About Me)
1995年・「ギャングスターズ 野獣死すとき」 = 7 Deadly Sins
1998年・「マーシャル・ロー」 = Great Leap Forward



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする