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お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

サイレント・フルート

2013-11-27 | キル・ビルのルーツを探せ!
「キル・ビル」のルーツを探せ!(その29)★ビルが奏でる楽器のルーツ

■「サイレント・フルート/The Silent Flute」(1977年・アメリカ)

監督=リチャード・ムーア
主演=デビッド・キャラダイン ジェフ・クーパー クリストファー・リー

 「Vol.2」の最初の方で、いよいよビルがその姿を現す。モノクロの画面、ブライドが式を挙げる教会の場面だ。長い横笛を吹きながら教会のベンチに座るビル。
「どうしてここがわかったの?」「お見通しさ」
その横笛を吹く場面はもう一度出てくる。棺桶に閉じこめられたブライドの回想シーン。ビルがブライドに、パイ・メイについて語るたき火のシーン。ビルは弾き語りのように笛の音を挟みながら、”五点掌爆心拳”について語る・・・。どちらも印象に残る場面だ。その横笛はデビッド・キャラダインがかつて主演した映画「サイレント・フルート」撮影時に自作したものである。現在でもステージでその演奏を披露することもあるとか。キャラダインは、「サイレント・フルート」では主人公を導く盲目の達人を演じている。これがビルのイメージにつながっている。このたき火のシーンはまさに「サイレントフルート」の雰囲気だ。

 「サイレント・フルート」はブルース・リーとジェームズ・コバーンらが原案を出した作品で、そもそもはブルース・リーの為に企画されたものだった。単なるアクション映画ではなく、武道の精神面又は哲学的とも言える内容である。武道の試合が行われ、優勝した者は「秘法の書」を取り戻してくる命を負うことになる。相手が倒れた後で殴ってしまったことから、主人公は負けを宣告されるの。諦めきれない彼は試練に挑む勝者を追って旅に出る。猿人と闘う第1の試練、ジプシーのような無国籍な集団で欲望と闘う第2の試練・・・そして迎える「秘法の書」の秘密。武道の、そして人生の奥義がそこにはあった(結末は是非ご覧あれ)。単なるアクションとは違うメンタルな台詞が次々に過ぎていく。

 僕は今回初めて観たのだが、実はかつて映画館で見損ねた映画でもある。地元の大分では2本立てで上映されていた。おじと一緒に行ったのだが、何らかの理由で観ずに帰った。今思えば砂漠で出逢う妖艶な美女との入浴シーンをニキビ面の中学生だった当時に観ていたら・・・生涯忘れ得ぬ映画になっていたかも(笑)。

 結局 「燃えよ!カンフー」と同様に、キャラダインはブルース・リー向けの企画2本で主演をすることになった。笛を手に闘う盲目の達人のモデルは、もちろん”座頭市”である。日本刀(もちろんハットリハンゾウ作)を手にビルは闘うのだが、鞘に収めたままで相手の攻撃をはらったりする様は、「サイレントフルート」の長い笛を振り回す達人であり、仕込み杖を使う市だ。「vol.2」でカットされたのだが、ビルにはアクションシーンがある。これは「vol.2」のDVDに特典映像として収録されているので、是非観て欲しい。ブライドと座ったまま闘うラストと共に影響を与えた部分かな。



コメント (2)
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