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お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

少林寺三十六房

2013-11-19 | キル・ビルのルーツを探せ!
「キル・ビル」のルーツを探せ!(その25)★邵氏兄弟有限公司/ゴードン・リュー(リュー・チャーフィ)

■「少林寺三十六房/36th Chamber of Shaolin」(1977年・香港)

監督=ラウ・カーリョン
主演=リュー・チャーフィ ホワン・ユー ロー・リエ

 80年代にジャッキー・チェンのコミックカンフーがブームになると、次々にカンフー映画が日本でも公開された。テレビまでもがジャッキー・チェンの未公開作品を見つけては放送する、しかもナイターが中止になるとそうした映画が穴埋めに放映されるのだ。僕らは新聞のテレビ欄で「ジャッキー・チェンの少林門」?とかを<中止のとき>の文字の後で見つけると、ひたすら雨乞いしたものだ。たとえそれがジャッキーが脇役の脇役で話半ばで殺されたとしてもだ。「少林寺三十六房」はそんな83年に日本で劇場公開されたショウ・ブラザース作品である。僕はこの映画をテレビの洋画劇場で初めて観た。同世代ならこの頃にいろいろ観ていると思うのだが、この映画は他とは違う、と感じていたに違いない。それは武術としてのカンフーを見せ物でなく、きちんと描いているからだ。

 それもそのはず。監督であるラウ・カーリョンは、「ワンチャイ」シリーズでジェット・リーが演じたウォン・フェイ・フォン(黄飛鴻)直系の弟子で、ブルース・リーのケンカ仲間だったという人物。そのラウ家に養子にきたのが、他ならぬラウ・カーファイ、英語名ゴードン・リュー(リュー・チャーフィ)であった。一時は商社マンとして働いていたが義理の兄カーリョンの勧めで映画界入りした。「少林寺三十六房」はそんな彼の代表作にして世界的大ヒット作。アメリカでは「Master Killer」のタイトルで公開され、タラティーノもこの映画を”傑作”だとする。ブルース・リーを除けば、ゴードン・リュー(リュー・チャーフィ)が一番好きなカンフースターだと述べている。そして「キル・ビル」への出演ということになったのだ。「vol.2」ではかつて自身の主演作で敵役だったパイ・メイを演じている。「三十六房」のオープニングタイトルで、チャーフィは数々の演舞を披露している。最初に登場する、両手に輪を付けた洪家鉄線拳は「カンフー・ハッスル」でもオカマ仕立屋チウ・チーリンがつかっていた。

 「少林寺三十六房」はあらゆる武術を身につける35の房での修行を通じて、主人公サンダ(チャーフィ)が一流の使い手となる様がたっぷりと時間をかけて描かれる。水に浮かぶ丸太渡り、両手に剣をつけての水運び、砂袋に頭突きといった基礎訓練を経て少林寺内でも実力をもってくる様子がとても面白く、興奮させられる。またそれらの一見地味な基礎訓練が、後半の場面で見事に活かされているのがいい。何事も基礎が大事なんだ。サンダは三節棍を考案する場面はなかなか感動的。途中ある房で登場するのが「ドランクモンキー酔拳」でお馴染みのユアン・シャオティエンだったりするのでこちらもお見逃しなく。2004年にDVD化されたのは何とも嬉しい。ありがとう、キングレコード。




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