「キル・ビル」のルーツを探せ!(その16)★教会の大虐殺/ジョン・ウーはお好き?

■「男たちの挽歌/英雄本色 (A Better Tomorrow)」(1986年・香港)
■「男たちの挽歌ll/英雄本色ll (A Better Tomorrow 2)」(1987年・香港)
●1987年香港電影金像奨 作品賞・主演男優賞
●1986年台湾金馬奨 監督賞・主演男優賞
監督=ジョン・ウー
主演=チョウ・ユンファ レスリー・チャン ティ・ロン
タランティーノのジョン・ウー好きは周知のこと。「ジャッキー・ブラウン」では「近頃は香港映画の影響で二丁拳銃が流行り」とか、サミュエル・L・ジャクソンに言わせているから、この「男たちの挽歌」でのチョウ・ユンファはさぞかしお好みなのだろう。カタギになりたいのに裏社会とのつながりはなかなか切れない。切らせてもらえない。田舎のレコード屋と結婚してカタギになろうとしたがビルによって悲惨な目に遭うブライドの姿は、「男たちの挽歌」でのホーの役柄に重なるところがある。
いわゆる香港ノワールは今まで食わず嫌いだった。「挽歌」も今回初めて観た次第だ。正直な感想。もっとかっこいい映画かと思ってた。裏社会の大物だった兄は警察官の弟の為に足を洗おうとする。その人情劇がドンパチよりも強く印象に残ってしまう(しかも泣けるのだ)。どフォークな雰囲気の♪ティリリ~というハーモニカの調べも手伝って、その印象はますます増幅される。もちろんど派手で「ワイルドバンチ」ばりにスローモーションで克明にみせる銃撃戦の迫力もいいのだけれど、なーんか洗練されていないし、登場人物はみんな感情で動く人ばかりでいつも何か叫んでいるし・・・。それでもラストの銃を手渡すところと、自ら手錠をかけるところはなかなか涙を誘う。それにしてもこの映画のレスリーチャン若いよなぁ。
ところが、そんな不満は第2作になるとすべてフッ飛んだ。「挽歌ll」は1作目の涙誘う兄弟の物語を語る必要がない分だけ、アクションに酔える。階段を仰向けに滑りながらの二丁拳銃のかっこよさに、「おおぉー」と野原しんのすけの様に声をあげてしまった僕。それに筋も深い。「善人になることはどうして難しいんだ」等々些細な台詞のひとつひとつが不思議と残るのだ。「酔拳」の意地悪師範代ディーン・セキが、コミックカンフー映画とは違った渋い演技を見せてくれるし、「少林サッカー」のダメ監督ン・マンタもここでは貫禄の好助演だ。1作目で死んだチョウ・ユンファを双子の弟として再登場させる強引さや、「あんたの経験を絵にしたい」という変な画家には笑えるけれど、それはまぁご愛敬。ディーン・セキを追ってきた刺客がニューヨークの教会で大虐殺をする場面は、「キル・ビル」への直接の影響があるのかも。スーツ姿の悪役がゾロゾロやって来て主人公達を襲うのは、クレイジー88にも重なって見える。それにラストの殴り込み場面。青葉屋の比ではないくらいのおびただしい死体の山。ティ・ロンが手にしているのは、おぉ!日本刀じゃん!。

■「男たちの挽歌/英雄本色 (A Better Tomorrow)」(1986年・香港)
■「男たちの挽歌ll/英雄本色ll (A Better Tomorrow 2)」(1987年・香港)
●1987年香港電影金像奨 作品賞・主演男優賞
●1986年台湾金馬奨 監督賞・主演男優賞
監督=ジョン・ウー
主演=チョウ・ユンファ レスリー・チャン ティ・ロン
タランティーノのジョン・ウー好きは周知のこと。「ジャッキー・ブラウン」では「近頃は香港映画の影響で二丁拳銃が流行り」とか、サミュエル・L・ジャクソンに言わせているから、この「男たちの挽歌」でのチョウ・ユンファはさぞかしお好みなのだろう。カタギになりたいのに裏社会とのつながりはなかなか切れない。切らせてもらえない。田舎のレコード屋と結婚してカタギになろうとしたがビルによって悲惨な目に遭うブライドの姿は、「男たちの挽歌」でのホーの役柄に重なるところがある。
いわゆる香港ノワールは今まで食わず嫌いだった。「挽歌」も今回初めて観た次第だ。正直な感想。もっとかっこいい映画かと思ってた。裏社会の大物だった兄は警察官の弟の為に足を洗おうとする。その人情劇がドンパチよりも強く印象に残ってしまう(しかも泣けるのだ)。どフォークな雰囲気の♪ティリリ~というハーモニカの調べも手伝って、その印象はますます増幅される。もちろんど派手で「ワイルドバンチ」ばりにスローモーションで克明にみせる銃撃戦の迫力もいいのだけれど、なーんか洗練されていないし、登場人物はみんな感情で動く人ばかりでいつも何か叫んでいるし・・・。それでもラストの銃を手渡すところと、自ら手錠をかけるところはなかなか涙を誘う。それにしてもこの映画のレスリーチャン若いよなぁ。
ところが、そんな不満は第2作になるとすべてフッ飛んだ。「挽歌ll」は1作目の涙誘う兄弟の物語を語る必要がない分だけ、アクションに酔える。階段を仰向けに滑りながらの二丁拳銃のかっこよさに、「おおぉー」と野原しんのすけの様に声をあげてしまった僕。それに筋も深い。「善人になることはどうして難しいんだ」等々些細な台詞のひとつひとつが不思議と残るのだ。「酔拳」の意地悪師範代ディーン・セキが、コミックカンフー映画とは違った渋い演技を見せてくれるし、「少林サッカー」のダメ監督ン・マンタもここでは貫禄の好助演だ。1作目で死んだチョウ・ユンファを双子の弟として再登場させる強引さや、「あんたの経験を絵にしたい」という変な画家には笑えるけれど、それはまぁご愛敬。ディーン・セキを追ってきた刺客がニューヨークの教会で大虐殺をする場面は、「キル・ビル」への直接の影響があるのかも。スーツ姿の悪役がゾロゾロやって来て主人公達を襲うのは、クレイジー88にも重なって見える。それにラストの殴り込み場面。青葉屋の比ではないくらいのおびただしい死体の山。ティ・ロンが手にしているのは、おぉ!日本刀じゃん!。
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