Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

パリの恋人

2013-11-16 | 映画(は行)
 パリの恋人> [DVD]
■「パリの恋人/Funny Face」(1957年・アメリカ)

監督=スタンリー・ドーネン
主演=オードリー・ヘプバーン フレッド・アステア ケイ・トンプソン

 いろいろ観てきたけど、この世にはまだまだ素敵な映画があるんだっ!。それが映画館を出るときに、思った素直な感想。実は「パリの恋人」は初めての鑑賞。それが映画館でデジタルリマスター版とはこれまた幸せな2時間である。いやー、何故今まで観ていなかったのだろう。こんなにロマンティックで、楽しくて、美しくって。「スクリーン・ビューティーズ」と題された特集上映。こういう企画が全国規模で上映されるのは実に嬉しい。ずっとスクリーンで観たかった「ティファニーで朝食を」に続いて映画館で鑑賞。

 スタンリー・ドーネン監督作というと、真っ先に思い浮かべるのは「雨に唄えば」。これがもう大好きで大好きで。ビデオで繰り返し観た映画でもあったし、サントラのレコードも持っていたお気に入り。高校時代は、雨が降ると校庭の片隅でジーン・ケリーの真似をしちゃってるくらいのバカだったから(周囲は何と思ってただろう・・・恥)。僕の両親や妹がお気に入りだったのは「掠奪された七人の花嫁」。お話はとんでもないけど、この上なく明るくて躍動的で素敵なミュージカル映画。そしてオードリー・ヘプバーンの大ヒット作「シャレード」、「いつも2人で」・・・。どれも心に残る素敵な映画たち。それにしても代表作でもある「パリの恋人」を観ていなかったことは、映画ファンとして不勉強でございました。

 メインタイトルから色彩の洪水、美しい映画冒頭からもう心は踊りっぱなし。古本屋の気むずかしい小娘がだんだんと綺麗になっていく。フレッド・アステアの華麗なタップ、ジョージ・ガーシュインの音楽、わくわくするようなパリの風景・・・もうスクリーンに向かって何度拍手しようと思ったか(したけど)。ボンジュール、パリ♪と歌う楽しいミュージカルシーンを始め、好きな場面がたくさんあるけれど、ダンス場面ではフレッド・アステアが傘とコートを巧みに使う振り付けのダンスシーンが素晴らしい。これ、高校時代に観ていたら「雨に唄えば」と同じくゼッタイに真似してたな。そしてオードリーが踊る場面も魅力的。ダンスだけでこんなに長い時間じっくりみせる映画なんて、現代ハリウッドではなしえない。確かにミュージカルの映画化はたくさんあるけども、これ程にダンスだけで引っ張るなんて、観客を飽きさせない力量とカリスマ性をもつ役者もスタッフがいなくなっていることなんだろうし、こうした題材が興行収入につながらない現状があるんだろう。そんな時代だからこそ、映画館のスクリーンでこの映画に出会えて、こんな場面にじっくり浸ることができるなんて幸せな瞬間。

 それにしてもフレッド・アステアのカッコよさもこの映画で再認識。僕が初めてアステアを観たのは、「タワーリング・インフェルノ」に出演している姿。それ以外では「レスリー・キャロンと共演した「足ながおじさん」を観たくらいで、「バンド・ワゴン」も「イースター・パレード」も全盛期のすごさは未見。やっぱり不勉強です・・・。ダンスも歌も素晴らしいけど、オードリーを喜ばせる言葉や振る舞い、粋な大人の手本。古本屋ではしごを引き寄せてオードリーにキスする場面、強引なんだけどなんか憎めないカッコよさ。

 ディティールに触れ始めたらきりがなくなりそうで、うまく感想がまとまらない。わくわくしてる自分を冷静に語ることなんてできないもん。でも、こういう映画って、言葉で感想を語ることがどうでもよくなる。ダンスを観て、歌を聴いて、感じることがいちばん。そこでグッとくるかどうかなんだもの。「ロシュフォールの恋人たち」のときにも書いたけど、もう言葉なんかいらないのかも。




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