Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

五毒拳

2013-11-23 | キル・ビルのルーツを探せ!
「キル・ビル」のルーツを探せ!(その27)★邵氏兄弟有限公司/毒ヘビ暗殺団の由来
五毒拳 [DVD]
■「五毒拳/The Five Venoms」(1978年・香港)

監督=チャン・ツェー
主演=フィリップ・コク スン・チェン チアン・シェン

 ビルの暗殺団The DiVAS。ビルの弟バドとビルの愛人4人で構成されるこの最強暗殺団の面々には、毒ヘビの名がつけられている。ブライド=ブラック・マンバ、エル・ドライバー=カリフォルニア・マウンテンスネークって具合だ。ヘビの名がそれぞれにつけられたのは、ショウブラザース後期のカンフー映画「五毒拳」がその元ネタである。日本未公開だった「五毒」だが、キングレコードによるDVD化によって手軽に観られるようになった。感謝。

 五毒拳という悪の限りを尽くしたある拳法の流派があった。師匠はこれまでの悪行を悔やみ、この流派にまつわる財宝を寄付し、この拳を封じることを遺言とした。そして最後の弟子にそれを託す。これまで5人の弟子がおり、それぞれがムカデ・ヘビ・サソリ・ヤモリ・ガマの技を身につけている。最後の弟子は一人で5人を倒す程ではない。そこで5人のうちの1人と組み、残り4人を倒せと師匠はいうのである。「キル・ビル」で暗殺団にヘビの名が付いているのはこれが元ネタなのである。

 修業時代に5人はマスクをしているので素顔を知らない。しかも財宝を守るため最も善人である兄弟子と組まねばならない。誰が五毒拳の使い手なのか?誰と組むべきなのか?クライマックスまで3番弟子サソリがわからないミステリー要素、個性ある登場人物とその技、悪役との息詰まる攻防、全体的な暗いムード。設定は突飛だけど起伏に富んだ展開が物語を面白くする。華麗なカンフーは見られないが、ストーリーの面白さがこの映画一番の魅力だな。チャン・ツェー監督作は残酷描写も欠かせない。本作では1番弟子ムカデが殺しの道具として針を使うのだが、針を口や鼻から入れて外傷をつけずに殺す手口。また5番弟子ガマを、万針衣(内側に無数の針が仕掛けられたもので体に着せて痛めつける道具)で拷問する場面の痛々しさ!。普通の勧善懲悪カンフー映画に飽きちゃった人にはおすすめ。この映画は陰なるカンフー映画の秀作。

 そして拳法をベースにしたスーパー戦隊シリーズ「獣拳戦隊ゲキレンジャー」は、カンフー映画ネタが随所に見られる大傑作なのだが、「五毒拳」も登場する悪役の元ネタとなっている(詳しくはこちら)。



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