山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

天狗のおじさん・大佛次郎の魂は現代にも輝く

2014-03-08 20:50:41 | アート・文化
 戦前にスパイ容疑の冤罪で逮捕されたユダヤ人の「ドレフュス事件」を発表した大佛(オサラギ)次郎。
 世界恐慌が吹き荒れ、中国への侵略が秒読みになっていく戦時体制の中、権力の横暴を暴いたノンフィクション『ドレフュス事件』だった。

 オイラの髪の毛がふさふさしていたむかし、それを読んで、戦前にこれだけの内容を発表していることにえらく感動したものだった。

    
 横浜市開港記念会館で評論家川本三郎さんの「大佛次郎と横浜、その時代」という講演があるというので、これはなかなか絶好のチャンスとばかりさっそく聞きにいく。
 会場は大正6年(1917年)開館の洋風赤レンガ建築で、翌年開館した大阪中之島公会堂とともに、大正期2大公会堂という国指定重要文化財でもある。

                        
    
 会場にはオイラと同じく、少年期に嵐寛寿郎の鞍馬天狗で育ったおじさんたちで埋まっていた。
 川本三郎さんは、終戦直後の文化人はしばらくなりを潜めた人が多い中で、大佛次郎は戦前も戦後もほぼ変わらないスタンスで小説を書いているのが特徴だという。
 彼の『敗戦日記』には軍部の横暴にかなり心を痛めているようすが出ているという。

              
 時間に追われながら「大佛次郎記念館」にもざっと入館する。
 大佛次郎はパリコンミューンのノンフィクション『パリ燃ゆ』を発表しているとおり、フランス市民革命に関心を持つ「リベラリズム」がベースにあったのを施設からも感じられた。

                          
 愛猫家としても知られる大佛次郎だが、記念館のなかには猫の彫像がいろんなところに配置されていた。
 それは庶民を見つめる目線と同じ優しさであることが感じられる。

 国家主義の傲慢が阿部くんのお友達からもポロポロ漏れてきているいま、大佛次郎の自由闊達な精神を再び見直すときが来ているのではないかと思わずにはいられない。
 天狗のおじさん、迷走する世の中で誰がいま敵かを暴いてほしいよ。
    (肖像はインターネットから)
     
コメント
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