わが家の裏に土壁でできたシイタケ乾燥小屋がある。といっても今では全く使われないのでじわじわと崩壊の危機を迎えている。ときどきアナグマらしき侵入者が入るので入り口は板でバリケード封鎖している。もちろん屋根のトタンは赤さび一色だ。
その屋根に一匹のカマキリがぽつんと死んでいた。さっそく当局は犯人の割り出しに捜査を開始した。殺風景な屋根という場所がら、よるべなき自殺や高齢による自然死は考えにくい。当局は他殺と判断した。とすると、モズが犯人像として浮上する。しかし、モズのはやにえは何かに挟むという習性があるはずだ。今回の殺意にはそうした巧妙な意図が見えずきわめてずさんな犯行である。当局は捜査本部を設置したものの早くも迷宮入りになびいている。