畑に霜や寒風が幾度となくやってきたが、竹マルチのおかげでいまのところ野菜への被害はない。その竹材の供給基地がある山の竹やぶにはシイタケ小屋の廃屋がある。むかしはシイタケをここで乾燥する作業小屋だった。広さは人が十分住めるくらいの共同管理施設だったらしい。しかし今では竹が天井を突き抜けているほどだ。煙突が往年の勇姿を残している。
突き抜けた竹は大気の自由を獲得していて勢いがいい。しかしその高さはわが家に陰影な湿度をもたらしている。あまりに大きくなり過ぎたので途中で伐採して竹マルチに利用させてもらっている。この廃屋も中山間地にとってはシイタケ産業の華やかな時代を担った希望の星だったのだ。
お茶・シイタケ・林業という第1次産業の不振はますます過疎化と高齢化を加速させているが、この廃屋が真っ二つに崩壊したのは最近のことだ。竹が繁茂しているので真下にあるわが家の倉庫への倒壊を食い止めているのだ。だからそこの竹は伐らないようにしている。それにしても竹の生命力はすごい。じわじわと畑にも侵出しつつあり将来的にはその畑も竹林になってしまう。そこに出てくるタケノコは新鮮でうまいのだがやっぱりぬか喜びはできないのだ。自然と人間とのいい関係を考えさせられながらもきょうも生きていく。