一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

映画『チェスト!』……松下奈緒に魅せられて……

2008年03月23日 | 映画
今日(3月23日)の日曜日の天気予報は「雨」。
登山は止めて、映画を見に行くことにした。
作品は、邦画の『チェスト!』。
松下奈緒が出演している映画なので、以前よりチェックしていたのだ。
鹿児島を舞台にした映画で、その大部分を鹿児島で撮影している。
全国公開は4月19日なのだが、現在は九州だけ先行上映されている。


松下奈緒は、私が好きな女優のひとりだ。
松下奈緒の肩書きは多い。
女優、モデル、ピアニスト、作曲家、歌手……
私は、彼女のように、何でもできる人が好きだ。
日本はおかしな国で、「この道一筋」の人が尊ばれる。
何十年も同じことをしている職人さんのような人たちが尊敬される。
無形文化財や人間国宝などは皆、この「一筋」の人たちから選ばれる。
反対に、何でもできる人たちは、「器用貧乏」などと呼ばれ、「一筋」派より劣った評価がなされる。
何にでも手を出す人、浮気性の人と思うのだろうか?
本当におかしなことだ。
私は、何でもできる人が好きで、「一筋」の人は苦手だ。
この道一筋……などと言っても、
「ど~せ、それしかできなかったんだろう!」とか、
「何十年も同じことやってるんだから、できなきゃウソだろ!」
などと、ひねくれ者の私は思ってしまう。
逆に、何でもできる人、いろんなことができる人には、羨望の、いや尊敬の眼差しを向ける。
本当に難しいのは、何でもできるということだと思う。
と、まあ、話が変な方向へ向かって行きそうなので、引き戻して……
その松下奈緒が、この映画では、音楽も担当しているのだ。
映画そのものも楽しみだが、音楽の方も楽しみだ。


ストーリー
生粋の薩摩っ子・吉川隼人(高橋賢人)は、ヤンチャで正義感が強いクラスの人気者。
「負けるな!嘘をつくな!弱いものをいじめるな!」という鹿児島伝統の郷中教育の魂を受け継いだ彼にも、たったひとつだけついた”ウソ”があった。
それは、カナヅチだということ。
毎年夏に開催される「錦江湾横断遠泳大会」を、仮病を使って参加を逃げ切っていた隼人。
しかし、小学生生活最後となる今年は、父(高嶋政宏)の愛情たっぷりの教育的指導と、学校のマドンナなっち先生(松下奈緒)の誘いに抗えず強制参加・・・。
謎多き転校生と過敏性腸症候群に悩むクラスメイトを仲間に迎え、やむをえず練習をはじめた隼人。
そんな中、思いもよらない事件が発生する。
彼らは無事に「錦江湾横断遠泳大会」に参加できるのだろうか?!(公式HPより)

見終わって、なかなか素晴らしい作品だと思った。
これほど、真っ正直な作品も珍しい。
夏、海、入道雲、水泳、友情、校舎、初恋、美少女の学級委員長、若い美人の女教師、若い熱血男性教師、謎の多い転校生……
ベタ過ぎるほどベタな内容なのだが、映画に直球勝負の力がある。
ストレートに威力がある。
最近の映画は、ひねりにひねりを効かせた、一筋縄ではいかないような作品が多い。
そんな変化球ばかり見ていると、こんな伸びのある球には仰け反ってしまう。
実に新鮮だった。
だからなのか、映画を見ている間中、ずっと涙を流していた。

俳優評をちょっと。

松下奈緒(白石奈津子 役)。
こんな先生がいたら、きっと毎日の授業が楽しいだろうなと思わせる明るさ、フレッシュさが良かった。
生徒の一人が、この先生に恋しているのだが、初恋の相手としては申し分ない女性だ。
私の小学生時代にも、こんな先生がいたらなぁ~と思ってしまった。


高嶋政宏(吉川隆夫 役)。
この人の鹿児島弁は、飛び抜けて上手かった。
地元の人が聞いても、まったく違和感がなかったとか。
すごく努力されたのではないだろうか?
怪演と呼べるほどの熱演で、この人の俳優魂を見たような気がした。

大坪千夏(吉川道子 役)。
元フジテレビアナウンサー。
本作が映画初出演だが、母親役を無難にこなしていた。
この人の鹿児島弁もなかなか。
今後も女優をやっていくのだろうか?

宮崎香蓮(牟田敦美 役)。
2006年「第11回全日本国民的美少女コンテスト」演技部門賞受賞。
本作で、1550人超のオーデションからヒロインに抜擢された逸材。
本作が映画初出演なので、硬さ、ぎこちなさはあったが、ヒロイン役を見事に演じた。
将来が楽しみだ。
長崎県出身なのも嬉しい。


羽田美智子(矢代雪子 役)。
彼女が映画に出ているとは思っていなかったので、スクリーンで見ることができて嬉しかった。
紺野まひる、森口瑤子などと同じく、雰囲気のある女優さんで、いくつになっても清楚な感じがする。

御厨響一(矢代智明 役)
宮崎香蓮と同じく、1550人超のオーデションから選ばれた期待の新人。
謎の多い転校生役を好演していた。
今後、人気が出てくるような予感。

この他、鹿児島県出身の榎木孝明も、特別出演ということで出ていた。

松下奈緒の音楽は、本当に素晴らしかった。
パンフレットを読んでいたら、「台本をピアノの譜面台に乗せて曲を作った」と松下奈緒が語っていた。
「今回は自分だけではなく出てくる人たちの心の中だったり、家庭の雰囲気だったり、すべてをすくい上げてその上で曲を作ってゆきました」と。
エンディングの歌も感動的だ。
エンドロールの時に、彼女の歌声が流れ出す。『流れる雲よりもはやく』(川村結花 作詞・作曲)
そして、エンドロールが終わった後に、さらに感動的な……
最後まで席をたたないで、ぜひ、それを確かめて欲しい!

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