一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

「剱岳・立山連峰・大日三山」ソロトレッキング ②大パノラマの立山連峰

2010年08月02日 | 北アルプス(剱岳・立山三山・大日)単独行
8月2日(月)。
同じ部屋にいた20代の若者は、午前4時頃に出発した。
彼は、朝食は弁当にしてもらっていた。
朝食は午前6時からなので、早く出発する人は朝食を弁当にしてもらえるのだ。
若者の部屋を出て行く音で目が覚めた。
午前4時半頃になると、窓の外が明るくなってくる。
私は午前5時に起床。
朝食まで時間があるので、山荘の周辺を散歩した。
地面が濡れている。
昨夜、雨が降ったそうだ。
でも、今は、蒼空が広がっている。
絶好のトレッキング日和。
今日は立山連峰を縦走するので、この天気だと遠望が楽しめる。
嬉しい。
この室堂にも、たくさんの花が咲いている。
実に贅沢な空間だ。



朝食は午前6時からと言われていたので、食堂に10分前に着くと、すぐに席に案内された。
5:50 朝食。
シンプルな朝食だったが、美味しかった。
御飯をおかわりし、今日一日動けるようにエネルギーを蓄えた。


6:20 山荘を出発。
すぐに分岐に行き着く。
左は「一ノ越」へのルート。
室堂から雄山へ登る一般登山者がもっとも多いルートである。
右は「室堂山・浄土山」へ向かうルート。
私は右に進路をとる。
立山連峰の端にある室堂山・浄土山に登り始める。


雪がまだこんなに残っている。


しばらく登って下を見る。
一ノ越ルートは大賑わいだろうが、このルートはひっそりしている。
遠くに、大日三山が見える。


6:49 登り始めて30分ほどで、剱岳が見えてきた。
ほんの先っちょだけだが、初めて見る剱岳に感動する。
この立山連峰の縦走路からは、ずっと剱岳を眺めることができる。
ある意味、剱岳展望の道と言っていいだろう。
その記念すべき最初の場所が、この場所のようだ。


浄土山登山口の標識を左に見て、展望台と書かれた方に行ってみる。
この展望台あたりが室堂山と言われているらしい。
6:54 展望台着。
ここから見る薬師岳が素晴らしい。


6:59 浄土山登山口に戻ってくる。
雪渓を渡ってとりつく。


剱岳がだんだん見えてくる。


ハクサンイチゲが咲いている。
私の大好きな花。
北アルプスの高山植物では、私の最も好きな花である。


7:30 浄土山山頂に到着。
ここから見る剱岳もなかなかだ。


ミヤマリンドウが咲いている。
大きな株をつくるのが特徴とか。
花束のようで美しい。


7:45 富山大学立山研究所のあるピークに到着。
ここから見る薬師岳は一際美しい。


一ノ越の方に下り始める。
いったん一ノ越に下り、雄山に登り返す。
前方に、その雄山が立ちはだかる。


タカネツメクサが咲いている。
これも大きな花束のよう。


8:09 一ノ越を通過。
雄山に登り始める。
しばらく登った所で振り返る。
一ノ越ルートで登ってくる人が多いので、この辺りはけっこう登山者が多い。
下に見える建物は、一ノ越山荘。


8:49 雄山の三角点に到着。
一等三角点だ。
ここは山頂ではなく、2991.6m地点。


この先に雄山山頂がある。
鳥居をくぐった先にある雄山神社峰本社が山頂(3003m)。
ただし、この山頂に立つには、参拝料が必要。


せっかくなので、参拝料500円を払って雄山山頂に立つ。
ここからも剱岳が見える。
立山という山はなく、一般に、雄山、大汝山、富士ノ折立の三つのピークを合わせた山塊の総称を「立山」と呼ぶ。
この立山と、浄土山、別山を合わせて「立山三山」。
私の場合、浄土山から歩いているので、立山三山を歩いていることになる。


大汝山に向かって歩き出す。
縦走路の先にはいつも剱岳があって、剱岳に向かって歩いているような感じだ。


9:25 大汝山山頂に到着。
標高3015m。
立山連峰の最高峰だ。
ここからも剱岳が見える。


富士ノ折立に向かって進む。
剱岳の向こうには雲海が広がる。


富士ノ折立が見えてきた。


9:45 富士ノ折立に到着。
ここの標高は2999m。
剱岳とまったく同じなのだ。


真砂岳に向かって歩き出す。
左側を見ると、室堂平が眺められる。
って言うか、この立山連峰は室堂平をぐるっと取り囲んでいるので、歩いていれば常に室堂平が眺められるのだ。
誰かが「箱庭のような室堂」と表現していたが、言い得て妙。
なんて素敵なんだろう。


富士ノ折立と真砂岳の間には、内蔵助(くらのすけ)カールがある。
湾曲した稜線の右側がその内蔵助カールである。
なんだかワクワクするような風景だ。


チシマギキョウが咲いている。
イワギキョウに似ているが、こちらには花冠のふちやガクに長い毛がみられるので、すぐ判別できる。
この立山連峰を歩いていると、至る処で高山植物の花束を受け取ることになる。


10:20 真砂岳山頂(2861m)に到着。
ここからの眺めも素晴らしかった。



別山に向かってさらに進む。
この辺りは、人も少なく、とても雰囲気がイイ。
この道の先に、小さく人影が見えるだろうか?
この人影の人物とは、しばらく後にすれ違うのだが、30歳くらいの女性であった。


挨拶を交わし、すれ違った後に、後ろ姿を撮らせてもらう。
ここ立山では、このように女性のソロトレッカーがとても多かった。
女性がひとりで自由に山を楽しんでいる姿は、とても素敵だ。


10:56 別山(南峰)に到着。
標高2874m。
この向こう側には……


ドーンと剱岳が……
カッコイイ~
感動で体が震える。


ここで剱岳を見ながら昼食。
立山室堂山荘で作ってもらった弁当を食べる。
剱岳を見ながらランチができるなんて……これほどの贅沢はないだろう。

剱岳をバックに記念写真。
見るからに険しい山。
登頂意欲をそそられる山。
力が湧いてくる。


北峰の方にも行ってみる。


ここから見る剱岳は、より迫力がある。
いよいよ明日登るのだ。
ワクワクしてきた。


別山乗越に向かって下って行く。
途中で、トウヤクリンドウに出逢う。
ヒカゲツツジの花の色に似ていて、なんとも好もしい。
トウヤク(当薬)とは、薬草になるセンブリのこと。
トウヤクリンドウも胃薬になることから名づけられたとのこと。
別山から別山乗越の間には、たくさん咲いていた。


別山乗越にある剱御前小舎が見えてきた。


11:53 剱御前小舎に到着。
しばらく休憩して右に方向をとる。
剱沢小屋の方ではなく、剣山荘への直通ルートへ進む。

このルートからの眺めは、特に素晴らしかった。
なんだか日本にいるような気がしない。
ヨーロッパアルプスにいるような感じ。(って、行ったことあるんかいな?)


この剣山荘へ至る道の両側は、まさにお花畑。
私の好きなハクサンイチゲの群落にも出逢い、感動!


このルート上には、たくさんの雪渓があり、なんども横断しなければならない。
ある雪渓を渡っていたら、向こう側に私の通過を待ってくれてる女性がいた。
雪渓を通過後、しばし談笑。
明るい女性で、山スカートが似合っている(いま注目の)山ガール。
九州の山ではなかなかお目にかかれないタイプの女性なので、「写真を撮らせてほしい」と頼むと、ポーズまでとってくれた。
こんな女の子がもっと山に増えてくれたら、山も一段と華やかさを増すに違いない。


コバイケイソウの向こうに、剱沢キャンプ場が見える。


剣山荘が見えてきた。
今日の宿泊地である。
剱沢小屋ではなく剣山荘を選んだのは、より剱岳に近いから。
明日は早朝の出発を予定している。
剱岳登頂後は、大日三山縦走もひかえているので、剱岳に近い剣山荘が有利なのだ。


12:50 剣山荘に到着。
受付で手続きをし、割り当てられた部屋に入る。
ザックは部屋の外に出しておかなければならないとのこと。
今夜はかなり宿泊者が多いとのことで、2枚の蒲団に3人が寝ることになった。
1枚の蒲団の幅も狭いので、本当に窮屈。
でも、まあ仕方がない。
今夜だけの辛抱だ。
剣山荘は、数年前に建て替えられたみたいで、とても新しい。
温水シャワーがあり、トイレは水洗だった。

早くに剣山荘に着いたので、しばらく散策に出る。
剣山荘の玄関先はこんな感じ。
なかなか素敵です。


今回のトレッキングで、いちばん逢いたい花は、クロユリ。
クロユリの花を探しながら散歩する。
そして見つけました~


天気は最高だったし、
立山連峰からの眺めも素晴らしかったし、
いろんな出逢いがあったし、
それにクロユリまで見ることができて、
なんだか怖いくらい。(爆)


いよいよ、明日は、剱岳山頂アタック。
明日は晴れるのか?
そして、果たして登れるのか?


【③美しく危険な雲上の頂】へつづく……

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