もう2年以上前になる。
2007年11月19日。
からつ労山の月例山行で、阿蘇・根子岳に登った。
そのとき参加していた一人の女性のことが、今でも強く印象に残っている。
会員ではなく、一般参加の方であった。
この女性は、スケッチブックを持参し、天狗岩を描いていた。
写真を撮る人は多いが、スケッチをする人はあまり見かけたことがない。
私は、からつ労山に入会して以来、ほぼ毎月月例山行に参加しているが、スケッチブックを持っている人をそれまで見かけたことがなかった。
だから余計に強く印象に残ったのかもしれない。
そのとき、私は、スケッチする彼女の写真を撮った。
美しいと思ったからだ。
この日のブログに、私はこう書いている。
《食事を終え、ふと目を上げると、皆から少し離れた場所でNさんがスケッチをしていた。
Nさんが絵を描く人だとは知らなかったので、ちょっとビックリした。
描きかけのスケッチを見せてもらった。
ダイナミックかつ繊細な線で天狗岩が描かれていた。
永遠の時の流れから切り取られた一瞬がそこにあった。
山に登ること自体はもちろん楽しいが、その他にもうひとつ楽しみを持っていると、山登りがさらに楽しくなる。
写真、植物観察、野鳥観察、俳句、短歌、詩、スケッチ……何でもいいと思う。
自然に対して、自分なりの能動的なアプローチ方法を持っていると、どんな山に登っても楽しめる。
写真にしても、俳句にしても、そしてスケッチも、永遠の中から一瞬を切り取る作業だ。
虚空から、自分だけの真実の一瞬をつかみ取る。
その刹那、一瞬は永遠になる……》
永遠の中から自分だけの一瞬を切り取る。
虚空から自分だけの真実の一瞬をつかみ取る。
それは、その人だけがつかみ取った「美」だ。
美しいものを見し人の姿もまた……美しい。
あれから2年3ヶ月ほどの月日が流れ、Nさんが再び今日の月例山行に参加された。
この2年3ヶ月の間に、彼女は新しい世界へ踏み出し、無我夢中で歩いてきたらしい。
やっと心の余裕ができたのかもしれない。
今日の彼女はスケッチブックを持っていなかった。
厳しい冬山を予想して、あえて持参しなかったとのこと。
だが、今日は冬とは思えないほどの暖かな晴天だった。
「スケッチブックを持ってくればよかった」
彼女は微笑みながらそう言った。
仁田峠に着き、山を見上げたとき、そこに白いものはなかった。
木々に霧氷はまったく付いていなかった。
霧氷を期待していたメンバーは、落胆の表情を見せていた。
だが、彼女はまったく気にもしていなかった。
というより、むしろ、今日という日の素晴らしさを褒め讃えていた。
彼女にはすでに私たちが見えていないものが見えていたのかもしれない。
冬枯れした褐色の風景。
葉を落とした木々。
霧氷があればこその風景だが、霧氷のない景色はなんとも魅力に乏しい。
……というのは私ども凡人の感想。
彼女は「美しい」を連発していた。
たとえば山のカタチの美しさを……
(妙見岳)
(国見岳)
(普賢岳)
空の青さと広さを……
(多良山系)
(くじゅう連山と由布岳)
小さきものの美しさを……
登山道そのものの美しさを……
そして彼女は、特に、ウンゼンザサ(雲仙笹)の美しさを褒めた。
我々が気にも留めていなかったことだったので、私たちは不意打ちを食らったように驚いた。
美というものは、そこにあるものではなく、発見するものなのだ。
発見できない者は、永遠にその美に触れることはできない。
彼女と歩いたことで、我々は多くの美を発見することができた。
今日は、もうひとつの出会いがあった。
再会ではなく、新しい出会い。
数日前、私のブログに、Kさんという女性からメッセージが届いた。
私のブログ「一日の王」を愛読されているとのこと。
2月7日(日)の月例山行「雲仙」に参加したい旨が書かれていた。
今日の月例山行は、佐賀労山との合同登山。
Kさんの住所が佐賀市内であったため、佐賀労山と一緒に参加されることをお勧めした。
そして普賢岳で初対面の挨拶。
明るく、可愛い方(コラコラ)で、歩きながらお話ができて良かった。
これから一緒にたくさん登りましょう!
(からつ労山と佐賀労山の参加者全員で記念写真)写真提供・テツさん
2007年11月19日。
からつ労山の月例山行で、阿蘇・根子岳に登った。
そのとき参加していた一人の女性のことが、今でも強く印象に残っている。
会員ではなく、一般参加の方であった。
この女性は、スケッチブックを持参し、天狗岩を描いていた。
写真を撮る人は多いが、スケッチをする人はあまり見かけたことがない。
私は、からつ労山に入会して以来、ほぼ毎月月例山行に参加しているが、スケッチブックを持っている人をそれまで見かけたことがなかった。
だから余計に強く印象に残ったのかもしれない。
そのとき、私は、スケッチする彼女の写真を撮った。
美しいと思ったからだ。
この日のブログに、私はこう書いている。
《食事を終え、ふと目を上げると、皆から少し離れた場所でNさんがスケッチをしていた。
Nさんが絵を描く人だとは知らなかったので、ちょっとビックリした。
描きかけのスケッチを見せてもらった。
ダイナミックかつ繊細な線で天狗岩が描かれていた。
永遠の時の流れから切り取られた一瞬がそこにあった。
山に登ること自体はもちろん楽しいが、その他にもうひとつ楽しみを持っていると、山登りがさらに楽しくなる。
写真、植物観察、野鳥観察、俳句、短歌、詩、スケッチ……何でもいいと思う。
自然に対して、自分なりの能動的なアプローチ方法を持っていると、どんな山に登っても楽しめる。
写真にしても、俳句にしても、そしてスケッチも、永遠の中から一瞬を切り取る作業だ。
虚空から、自分だけの真実の一瞬をつかみ取る。
その刹那、一瞬は永遠になる……》
永遠の中から自分だけの一瞬を切り取る。
虚空から自分だけの真実の一瞬をつかみ取る。
それは、その人だけがつかみ取った「美」だ。
美しいものを見し人の姿もまた……美しい。
あれから2年3ヶ月ほどの月日が流れ、Nさんが再び今日の月例山行に参加された。
この2年3ヶ月の間に、彼女は新しい世界へ踏み出し、無我夢中で歩いてきたらしい。
やっと心の余裕ができたのかもしれない。
今日の彼女はスケッチブックを持っていなかった。
厳しい冬山を予想して、あえて持参しなかったとのこと。
だが、今日は冬とは思えないほどの暖かな晴天だった。
「スケッチブックを持ってくればよかった」
彼女は微笑みながらそう言った。
仁田峠に着き、山を見上げたとき、そこに白いものはなかった。
木々に霧氷はまったく付いていなかった。
霧氷を期待していたメンバーは、落胆の表情を見せていた。
だが、彼女はまったく気にもしていなかった。
というより、むしろ、今日という日の素晴らしさを褒め讃えていた。
彼女にはすでに私たちが見えていないものが見えていたのかもしれない。
冬枯れした褐色の風景。
葉を落とした木々。
霧氷があればこその風景だが、霧氷のない景色はなんとも魅力に乏しい。
……というのは私ども凡人の感想。
彼女は「美しい」を連発していた。
たとえば山のカタチの美しさを……
(妙見岳)
(国見岳)
(普賢岳)
空の青さと広さを……
(多良山系)
(くじゅう連山と由布岳)
小さきものの美しさを……
登山道そのものの美しさを……
そして彼女は、特に、ウンゼンザサ(雲仙笹)の美しさを褒めた。
我々が気にも留めていなかったことだったので、私たちは不意打ちを食らったように驚いた。
美というものは、そこにあるものではなく、発見するものなのだ。
発見できない者は、永遠にその美に触れることはできない。
彼女と歩いたことで、我々は多くの美を発見することができた。
今日は、もうひとつの出会いがあった。
再会ではなく、新しい出会い。
数日前、私のブログに、Kさんという女性からメッセージが届いた。
私のブログ「一日の王」を愛読されているとのこと。
2月7日(日)の月例山行「雲仙」に参加したい旨が書かれていた。
今日の月例山行は、佐賀労山との合同登山。
Kさんの住所が佐賀市内であったため、佐賀労山と一緒に参加されることをお勧めした。
そして普賢岳で初対面の挨拶。
明るく、可愛い方(コラコラ)で、歩きながらお話ができて良かった。
これから一緒にたくさん登りましょう!
(からつ労山と佐賀労山の参加者全員で記念写真)写真提供・テツさん