一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

「廣津留すみれとハーバードの仲間たち」 ……廣津留すみれに逢いたくて……

2018年08月09日 | 特別企画「逢いたい人に逢いに行く」


「逢いたい人に逢いに行く」という企画の第8弾。

今年(2018年)の6月11日、
夜の9時から始まる『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)を観ていたら、


「廣津留すみれ」という24歳の女性が出てきた。


この廣津留すみれという女性が、とにかくスゴイのだ。
アメリカのトップスクール、ハーバード大学を「最優秀論文賞」で卒業し、
その後、
世界音大ランキング1位のジュリアード音楽院の修士課程を「最優秀賞」で卒業したという。
ハーバード大学、ジュリアード音楽院を共に首席で卒業しているのだ。


〈こんな人いるのか……〉
と思った。
大谷翔平の二刀流は有名だが、
同じ野球というスポーツの中の二刀流(ピッチャーと打者)である。
だが、廣津留すみれの場合は、
“学問”と“芸術”という二つの異なる分野で成し遂げた二刀流なのである。
そして、現在は、
ヴァイオリニストとして、
社会起業家として、
イベントプロデューサーとして活躍しているという。


番組では、
ニューヨークロケを敢行し、
ジュリアード音楽院の卒業式の模様や、日常生活などを密着取材するだけでなく、
日本で18年間、塾なし、留学なし、小中高すべて公立という、
特別なことをしていないように見える彼女が、
なぜハーバード大学とジュリアード音楽院を共に首席で卒業できたのかを追求し、
その謎を解き明かしていた。
そこには、廣津留すみれの母親が深く関わっており、
多くの英語本の著者で知られる母・廣津留真理(とてもユニークな人物)にも密着取材し、
子育ての秘訣までをも公開していた。


英語教育や、子育ての秘訣などは、廣津留真理の著書を読んでもらうとして、
 


私が興味を持ったのは、「廣津留すみれ」その人である。
ジュリアード音楽院を首席で卒業したというそのヴァイオリンの音色をぜひ聴いてみたいと思った。
ネットで調べてみると、
彼女の詳しいプロフィールを知ることができ、
今年(2018年)、彼女が日本で行うコンサートも知ることができた。



【廣津留すみれ】(ひろつる・すみれ)
ヴァイオリニスト・作曲家・起業家。

1993年、大分市の田舎に生まれる。まだ物心もつかない2歳の終わりにヴァイオリンを始め、12歳でのオーケストラとの初共演を皮切りに、日本を中心に演奏活動を行う。高校生の時にイタリアで行われたIBLA国際コンクールでグランプリを受賞し、その翌年受賞者とのカーネギーホールでのリサイタルを含めた全米4州での演奏ツアーを行う。ツアーの帰りに訪れたハーバード大学で学業と課外活動の両立をする学生たちの姿に衝撃を受け、1年未満の準備期間で大分から受験し現役合格。9月にハーバード入学。

ハーバード大学在学中は、全米最古のオーケストラであるハーバード・ラドクリフ・オーケストラのコンサートマスター、オペラのプロデューサー、音楽団体2つの部長を務め、ソリストとして複数の学生オーケストラと共演。最終学期には4年間の集大成としてハーバード大学史上初の卒論リサイタルを開催、論文と合わせて最高位の成績を収める。

大学3年目の2015年、たまたま演奏を聴きにきていたディレクターの目に留まり、世界的チェリストのヨーヨー・マとシルクロードアンサンブルと共演。以来、度々演奏に招待される他にもグラミー賞受賞アルバムをフィーチャーしたコンサートのプレゼンテーションを任されるなど多分野で共演。2017年にはUNICEFのChildren’s Champion Award GalaやCarnegie Medal of Philanthropy Ceremonyでヨーヨー・マと再度同じ舞台に立つ。

さらに、ボストンが拠点のVideo Game Orchestraの主要メンバーとして、7万人動員のイベント「PAX East」でのライブや日本ツアーへの出演、ファイナルファンタジーシリーズ(XII、XV)やキングダムハーツシリーズのサウンドトラックのレコーディングにおいても活動中。

2018年5月にはNYジュリアード音楽院を、音楽部門の最優秀賞であるWilliam Schuman Prizeを受賞し卒業。在学中はジュリアードオーケストラの首席(コンサートマスター)を務める。室内楽ではジュリアードの同級生と弦楽カルテット、Ansonia Quartetを結成。クラウドファンディングではわずか9日で10,000ドルを集め、日本ツアーを敢行。ジュリアード音楽院の選抜グループとして、ニューヨーク、トロント、ノヴァスコシアを始め、国内外で演奏活動中。ハーバードで学んだグローバルヘルスへの関心も強く、2017年まで東京大学医科学研究所のプロジェクトメンバーとしても活動。

また、日経新聞社の若者向けオンラインサイト「日経カレッジ・カフェ」のスタートと同時に連載「ハーバードからの手紙」(全11回)を担当し、現在は同サイトにて「ジュリアード@NYからの手紙」担当中。各界のリーダーへのインタビュー等で好評を博している。ジュリアードのJuilliard Journalでもライターを務める。

社会起業家としては2013年に教育プログラムSummer in JAPANを大分で共同設立、ハーバード生約10人を招聘し、日本の小中高生を対象に英語でのワークショップを行う他、コンサートシリーズ「廣津留すみれとハーバードの仲間たち」を毎年開催。5周年を迎えた2017年は初の岡山開催を実現。6年目となる今年も8月6日に大分iichiko音の泉ホールでコンサートを行う。




8月6日の大分iichiko音の泉ホールで行われるコンサートが、
今年(2018年)、廣津留すみれの演奏を聴くことができる唯一の機会であるらしい。
で、この大分iichiko音の泉ホールで行われるコンサートに行くことにしたのだった。


「海抜0メートルから登る鶴見岳」を終えた後、
私は、コンサート会場となる大分iichiko音の泉ホールへ向かった。


このビルの4階が、大分iichiko音の泉ホールである。


私が着いたときには、もう長い行列ができていた。


開場となり、
全席自由だったので、
私は、前から4列目の席を確保。


開演の時間となり、
まず登場したのは、チェロ奏者のAudrey Chen
彼女が演奏する「無伴奏チェロ組曲 第1番~プレリュード~」(バッハ)が素晴らしかった。
「廣津留すみれとハーバードの仲間たち」の“仲間たち”の一人であるが、
想像以上の音色で魅せられた。


二番目に登場したのが、廣津留すみれ。(ピアノ・永野栄子)
最初に、このコンサートの趣旨説明をし、礼を述べ、演奏に移った。
演奏したのは、「前奏曲とアレグロ」(クライスラー)。
コンクールで聴くような(ミスはしないが面白味のない)演奏というのではない、
伸びやかで、艶やかで、音の色が見えるような演奏であった。


次に登場したのは、最初の曲で好印象を残したチェロ奏者のAudrey Chen
演奏したのは、「チェロ・ソナタ第2番Op.99ヘ短調 第1楽章」(ブラームス)
この曲を聴いて、すっかり彼女のファンになった。(廣津留すみれの次に……)


前半、最後は、
廣津留すみれ(ヴァイオリン)、Audrey Chen(チェロ)、永野栄子(ピアノ)による、
「四季」より「春」と「夏」(ピアソラ)。
トリッキーで、アイデアに満ちた、
いつまでも聴いていたいと思わせる素晴らしい演奏であった。

15分間の休憩の後、

後半は、
Elizabeth Duncanによる、
戯曲「ヘンリー六世」第3部 第1幕 第4場より「王妃マーガレットの独白」
の舞台演技であった。
〈「廣津留すみれとハーバードの仲間たち」では、こんなこともするんだ……〉
と、驚きのパフォーマンスであった。


後半の2番目は、
廣津留すみれ(ヴァイオリン)、Audrey Chen(チェロ)、今村順子(ヴィオラ)による、
「弦楽三重奏のためのセレナード ハ長調 作品10 第1、5楽章」(ドホナーニ)

3番目は、
廣津留すみれによる、お馴染みの曲
「チャルダッシュ」(モンティ)




そして、ラストの曲が、
廣津留すみれ(ヴァイオリン)、Julia Riew(ヴァイオリン)、Audrey Chen(チェロ)、今村順子(ヴィオラ)、永野栄子(ピアノ)、による、
「ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44 第1楽章」(シューマン)
であった。


正直、これほど楽しいコンサートとは思わなかった。
大分までやってきて、本当に良かった。
そして、廣津留すみれが、より好きになった。
いつの日か、
単独の「廣津留すみれコンサート」を福岡近辺で開催してくれることを期待したい。


※福岡でのコンサートに行ってきたよ~(コチラから)

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