関西方面へ行く機会があったら、
六甲山の魚屋道(ととやみち)を歩いてみたいと、かねてより思っていた。
魚屋道とは?
江戸初期から、
灘地方と有馬を結ぶ東六甲最古の山越え交通路で、
当時の絵地図では、
森から山に登り、
蛙岩、山の神、風吹岩、東お多福山、本庄橋、一軒茶屋、射場山山腹、有馬のルートを通り、
「六甲越え」と呼ばれていた。
幕府が、灘から有馬への正規の街道を、
西宮、宝塚、船坂、有馬の線に定めた後も、
遠回りを嫌った人々は、この魚屋道を利用した。
そこで、街道沿いの西宮や生瀬などの宿場の商人は、
これを「抜け荷の道」と称して、通行禁止を大阪奉行所へ訴え、
しばしば紛争が生じた。
文化3年(1806年)に、灘本庄と有馬の人々がひそかに道の大修理をしている。
深江浜の魚は、大正時代まで、ここから有馬に運ばれていた。
で、やっとその機会がおとずれた。
関西に用事ができたのだ。
この機会を逃す手はない。
絶対、魚屋道を歩くのだ。(笑)
この魚屋道には、
海に近い深江駅の近くに、起点となる標石がある。
ここから歩き始めるのが普通であるが、
私は、どうせなら、海抜0メートルから歩きたいと思った。(コラコラ)
2018年2月11日(日)
早朝、深江南町の海岸沿いを歩く、怪しいジジイが一人。(笑)
海水に靴を浸せそうな場所を探すが、無い。(爆)
いつも、この場所探しで、かなりの時間を食うのだ。
場所探しをしているとき、
ふと見上げると、鳥の大群が……
なんの鳥だろう?
列をなして飛んでいるのもいる。
最初はカラスかなと思ったが、
カラスよりも大きく、姿も違う。
渡り鳥だろうか……
やっと、靴を海水に浸せそうな場所を見つけて入って行くと、
「ここは私有地なので、入ったらダメですよ」とおじさんに注意される。
60歳を過ぎて注意されるのも情けないが、
「海抜0メートルから六甲山に登ろうと思っている者です。登山靴を海水に浸したところを写真に収めたいと思っているのですが……」
と言うと、
「じゃ、写真を撮ったら、すぐに出て下さいね」
と一応承諾してもらえた。(のかな?)
写真を撮って、GPSの電源をONにして、そそくさとその場を立ち去る。
て言うか、
7:33
出発。(笑)
海沿いの道を歩き、
ここを右折。
あとは、まっすぐ歩いて行く。
これが起点となる標石。
阪神本線の線路を横切る。
左側に見えるのが、深江駅。
しばらく歩くと、鳥居が見えてくる。
「稲荷神社」の鳥居だ。
東海道本線(JR神戸線)と、
阪急神戸線のガード下を潜る。
右手に「稲荷神社」を見ながら、高度を上げていく。
坂道が続く。
甲南女子大学(左手)の前を通る。
8:14
やっと道標が現れた。
ここまで道標が無かったので、
魚屋道を正しく歩いているか不安だった。
舗装された道から、山道へ入って行く。
いい雰囲気。
やはり登山道は、いいね~
8:42
蛙岩に到着。
標高306mの地点。
ここから先、美しい道が続く。
大都市のすぐ近くに、こんな美しい自然があるなんて、
神戸の人たちは、なんて幸せなんだろう。
苔むした岩のある道も素敵だ。
ベンチを見ると、佐賀の金立山を思い出す。
あまりに雰囲気の好い道なので、
セルフタイマーで、後ろ姿の自撮り。
こんな道も好きなので、
またまたパチリ。(コラコラ)
9:11
風吹岩(447m)に到着。
これが風吹岩らしい。
ここから先は、変化に富んだ道が続く。
美しい道のあとに、
舗装道路を横切り、
猪除けの柵に入ったり出たり。
急坂に息も絶え絶え。(笑)
残雪が現れ出したころに、
9:50
雨ヶ峠に到着。
少し休んで、すぐに出発。
この辺りから、地元の方と抜きつ抜かれつしながら登って行く。
沢を横切り、
急坂を登りつめると、
アイスバーンの道となり、
見覚えのある建物が見えてきた。
10:46
一軒茶屋に到着。
ここでホットドリンクを購入。
チェーンスパイクを装着し、
この坂を登って行く。
10:58
六甲山・最高峰(931.3m)に到着。
チェーンスパイクを外して、
海抜0メートルから登る「六甲山」(最高峰)達成。
六甲山・最高峰は一等三角点だ。
一応、私自身の記念写真も。
逆光気味に……(笑)
2012年11月に、
六甲全山縦走をしたときにも、
一応、海抜0メートルから登り、
この最高峰に立っているのだが、
あの時は夜だったので、
今日は、特別の感慨。
眺めも堪能できた。
山頂直下の四阿で、
先程購入したホットドリンクとパンで、簡単ランチ。
寒いので、すぐに下山開始。
有馬温泉の方へ、魚屋道を下って行く。
チェーンスパイクのおかげで、
軽快に下って行く。
このくらいのアイスバーンは、
6本爪の軽アイゼンより、
チェーンスパイクの方が快適に歩くことができる。
着脱も簡単だしね。
やがて雪も氷も無くなり、
さらにスピードアップして下って行く。
魚屋道もあと1km。
12:11
ここで登山道は終わり、
舗装道路を右の方へまっすぐ歩いて行けば、有馬温泉駅だ。
土産物屋をひやかし、
温泉街の雰囲気をちょっぴり味わい、
12:36
有馬温泉駅に到着した。
約5時間の魚屋道の旅であった。
実際は、昔の人は、一日でこの魚屋道を往復したそうなので、
私は半分を歩いたに過ぎない。
それでも歴史ある古道の素晴らしさをたっぷり感じ取ることができた。
歩いて良かったと思った。
六甲全山縦走したときにも感じたことだが、
六甲の山々はそれほど標高は高くないが、
歩いてみるとかなりキツイ。
この六甲の山々から有名なクライマー達が育ち、
世界へ羽ばたいているのを、納得させられた山行であった。
また機会があったらこの山域を訪れたいと思った。
今日も「一日の王」になれました~