一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

第5回 「一日の王」映画賞・日本映画(2018年公開作品)ベストテン

2019年01月26日 | 「一日の王」映画賞


2015年(2014年公開作品を対象)に創設した「一日の王」映画賞も、
第5回となった。
ブログ「一日の王」管理人・タクが、
たった一人で選出する日本でいちばん小さな映画賞で、
何のしがらみもなく極私的に選び、
勝手に表彰する。(笑)

作品賞は、1位から10位まで、ベストテンとして10作を選出。
監督賞、主演女優賞、主演男優賞、助演女優賞、助演男優賞は、
これまでは5名ずつを選出していたが、
今回は(傑作が多かった為)、7名ずつを選出し、
最優秀を、各部門1名ずつを決める。(赤字が最優秀)
新人賞(1名)と、外国映画の作品賞(1作)も選出する。

普段、レビューを書くときには点数はつけないし、
あまり映画や俳優に順位はつけたくはないのだが、
まあ、一年に一度のお祭りということで、
気軽に楽しんでもらえたら嬉しい。

【作品賞】(タイトルをクリックするとレビューが読めます)
『菊とギロチン』



『きみの鳥はうたえる』



『寝ても覚めても』



『素敵なダイナマイトスキャンダル』

 

『万引き家族』



『愛しのアイリーン』



『鈴木家の嘘』

 

『ハナレイ・ベイ』

 

『生きてるだけで、愛。』



『リバーズ・エッジ』
 


毎年思うことなのだが、
1月~6月にかけての前半は、
傑作と思える作品は少なく、
〈今年は不作の年だなぁ~〉
と思っていると、
後半になって傑作、秀作が目白押し状態になる。
今年は例年にも増して、その傾向が強く、
特に9月以降は、レビューを書くのに大忙しであった。(笑)

今回は、最終的に、最優秀作品賞に『菊とギロチン』を選んだが、
ベストテンのどの作品が最優秀になってもおかしくない程の大接戦であった。
そんな中、
前回、『最低。』で最優秀作品賞を獲得した瀬々敬久監督が、
構想30年、今こそ撮らねばと完成させた入魂作が『菊とギロチン』であった。
瀬々敬久監督の『菊とギロチン』にかけるその熱量が、
他の作品よりも少しだけ上回ったような気がする。

上記作品以外にも、
『カメラを止めるな!』
『四月の永い夢』 
『羊の木』
『孤狼の血』
『焼肉ドラゴン』
『教誨師』
『来る』
『斬、』
『ハード・コア』
『パンク侍、斬られて候』 
なども強く印象に残っている。


【監督賞】
三宅唱『きみの鳥はうたえる』
瀬々敬久『菊とギロチン』『友罪』
濱口竜介『寝ても覚めても』
是枝裕和『万引き家族』
野尻克己『鈴木家の嘘』
松永大司『ハナレイ・ベイ』
上田慎一郎『カメラを止めるな!』 

作品賞に続き監督賞まで瀬々敬久監督では「あんまり」だと思い、(笑)
最優秀監督賞には、『きみの鳥はうたえる』の三宅唱監督を選出した。
同じ原作者、同じ函館が舞台の前3作、
熊切和嘉監督作品『海炭市叙景』(2010)、
呉美保監督作品『そこのみにて光輝く』(2014)、
山下敦弘監督作品『オーバー・フェンス』(2016)
とは違って、 登場人物たちの濃密さやグルーヴ感が優れており、
演出が感じられない演出が斬新で、見ていてワクワクさせられた。



【主演女優賞】
木竜麻生『菊とギロチン』『鈴木家の嘘』
吉田羊『ハナレイ・ベイ』『母さんがどんなに僕を嫌いでも』
趣里『生きてるだけで、愛。』
安藤サクラ『万引き家族』
二階堂ふみ『リバーズ・エッジ』
寺島しのぶ『オー・ルーシー!』
朝倉あき『四月の永い夢』

普通ならば、
『万引き家族』の安藤サクラか、
『ハナレイ・ベイ』の吉田羊か、
『生きてるだけで、愛。』の趣里を選ぶところであろうが、
普通ではない「一日の王」映画賞では、(笑)
どちらかというと新人賞が相応しいかもしれない木竜麻生を選出した。
『菊とギロチン』と、


『鈴木家の嘘』の木竜麻生には本当に感動したし、


これからの活躍にも期待を込めて最優秀主演女優賞を贈ろうと思う。



【主演男優賞】  
柄本祐『素敵なダイナマイトスキャンダル』『きみの鳥はうたえる』
東出昌大『菊とギロチン』『寝ても覚めても』
松坂桃李『娼年』『孤狼の血』
安田顕『愛しのアイリーン』
瑛太『友罪』
大杉漣『教誨師』
大泉洋『恋は雨上がりのように』『焼肉ドラゴン』『こんな夜更けにバナナかよ』

『素敵なダイナマイトスキャンダル』『きみの鳥はうたえる』の柄本祐か、
『菊とギロチン』『寝ても覚めても』の東出昌大かで、
大いに悩んだのであるが、
(なにしろ「一日の王」映画賞の作品賞1位~4位が、この2人の主演作なのだから)
演技力では、柄本祐の方が一歩リードしていたように感じた。





【助演女優賞】
小松菜奈『坂道のアポロン』『来る』
烏丸せつこ『教誨師』『祈りの幕が下りる時』
木野花『愛しのアイリーン』『母さんがどんなに僕を嫌いでも』
樹木希林『万引き家族』『日日是好日』
門脇麦『サニー/32』『止められるか、俺たちを』『ここは退屈迎えに来て』
夏帆『友罪』『ビブリア古書堂の事件手帖』『伊藤くん A to E』 
黒木華『来る』『散り椿』

最優秀助演女優賞も、誰が獲ってもおかしくないような接戦であったが、
極私的に大好きな小松菜奈を選出した。(コラコラ)
小松菜奈は、ポップで、最先端を突っ走っているモデルであり、女優なのだが、


そんな彼女が『坂道のアポロン』で昭和の女子高生を演じると聞いて、
〈大丈夫か?〉
と心配した。
だが、小松菜奈は見事に昭和の女子高生に成りきっていて驚かされた。


主演作の『恋は雨上がりのように』を経て、


中島哲也監督作の『来る』では、
霊媒師の血をひくキャバ嬢という、『坂道のアポロン』とは真逆のキャラクターを演じ、
演技力に幅があることも知らしめてくれた。


ちなみに、私は、
『坂道のアポロン』を5回、
『恋は雨上がりのように』を4回、
『来る』を2回、映画館で鑑賞し、(爆)
『坂道のアポロン』と『恋は雨上がりのように』のBlu-rayディスクを、
すでに購入している。(コラコラ)



【助演男優賞】
北村一輝『羊の木』『今夜、ロマンス劇場で』『去年の冬、きみと別れ』『億男』
渡辺大知『寝ても覚めても』『ここは退屈迎えに来て』『体操しようよ』
染谷将太『パンク侍、斬られて候』『きみの鳥はうたえる』『泣き虫しょったんの奇跡』
吉沢亮『リバーズ・エッジ』『猫は抱くもの』
荒川良々『ハード・コア』『覚悟はいいかそこの女子。』
塚本晋也『斬、』
玉置玲央『教誨師』

今年ほど北村一輝という俳優を映画で見たことはないような気がする。
キャラが濃くて、いつも同じようなイメージしか残さない俳優……と思っていたが、
今年見た映画の彼は、すべて違っていて驚かされた。
特に、
『羊の木』(2018年2月3日公開)と


『今夜、ロマンス劇場で』(2018年2月10日公開)での演技は秀逸で、
映画を見た昨年(2018年)の2月から、
最優秀助演男優賞は北村一輝にしようと決めていた。



【新人賞】
唐田えりか『寝ても覚めても‏』


とにかく、『寝ても覚めても‏』で唐田えりかを見たときの“美の衝撃”は、
凄まじいものがあった。
『パッチギ!』(2005年)で沢尻エリカを見たときと同じくらいの衝撃であった。
そういえば、どちらも「エリカ様」であった。(コラコラ)



【作品賞・海外】
『シェイプ・オブ・ウォーター』


『パンズ・ラビリンス』を監督したギレルモ・デル・トロの新作『シェイプ・オブ・ウォーター』は、映画を見る楽しみがすべて詰まった傑作であった。



先程も述べたが、
2018年は、後半に傑作・秀作が目白押し状態となり、
結果的に、大豊作の年となった。
昨年は、100作ほどの新作映画を映画館で見たが、
レビューを(書きたいのに)書けなかった作品がいくつもあった。
今年は、そういうことがないように、
短くてもいいから(気に入った作品はすべて)レビューを書き残したいと思っている。
今年はどんな映画に出逢えるか、今からワクワクしている。
……さあ、映画館へ行かなくっちゃ!

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