一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

桜山と鍋島藩武雄領主の庭園 ……奇岩がそそり立つ低山で極上の紅葉を楽しむ……

2019年11月26日 | その他・佐賀県の山

11月25日(月)
いつも利用している武雄市図書館から、
予約していた本が用意できたと連絡が入った。
で、武雄に行くついでに、紅葉を楽しもうと考えた。

まずは武雄市図書館へ。
背後の御船山の双耳峰が、猫の耳のようにも見え、可愛い。


2013年、市立図書館ながら、民間の会社が指定管理者となったことで、
図書館の中にTSUTAYAやスターバックスが入っていることや、
開放的な空間などが話題になり、
国内だけでなく、海外からも訪れる人が絶えず、
今では市内随一の観光スポットとなっている。
中国から佐賀空港への直行便があることもあってか、
特に、中国からの観光客が多く、
今日も中国語が飛びかっていた。


図書館で本を受け取った後、
隣にある武雄市文化会館へ。
この敷地内に「鍋島藩武雄領主の庭園」があるのだが、
訪れる人も少なく、静かな雰囲気の中で紅葉が楽しめるのだ。




御船山が借景になっているという贅沢。


全体的な見頃はもう少し先だと思われるが、


紅葉がピークの木々も見られ、大いに楽しめた。






歴史がある庭園なので、
木々が育ち、喬木の紅葉が楽しめるのがイイ。




灌木の紅葉とは違ったスケール感がある。




落葉さえ美しい。


この後、武雄温泉街の方へ移動する。


武雄温泉楼門に到着。


温泉の入口に立つ朱塗りの楼門で、
1915年(大正4年)に建築され、
2005年(平成17年)7月22日に国の重要文化財に指定されている。
竜宮を連想させる鮮やかな色彩と形で、天平式楼門と呼ばれ、
釘一本も使用していない建築物として有名。
この武雄温泉楼門を設計したのは、
佐賀県が誇る建築家・辰野金吾(1854年~1919年)で、
東京駅、日銀本店、両国国技館なども彼が設計している。
ここで、面白いエピソードをひとつ。

2012年に、
1914(大正3)年の開業時の姿に復元した東京駅には、
南北二つのドーム状の八角形の屋根に干支(えと)のレリーフが飾られている。


八角形だからということもあろうが、
十二支のうちの八つしかないことがネットで話題になっていた。
東京駅にあるのは、
丑、寅、辰、巳、未、申、戌、亥の八つ。




方角で言えば、
ちょうど東西南北を示す子(北)、卯(東)、午(南)、酉(西)がないことから、
「残りはどこに?」
と、ミステリー的な話題になっていたのだ。

それが、2013年、
お色直し中の武雄温泉楼門で、
残りの四つの干支(えと)が見つかったのだ。


楼門を設計したのは、東京駅と同じ辰野金吾。
東京駅は、1914年開業。
武雄温泉楼門は、1915年完成。
東京駅に足りない四つの干支を、
ふるさとの楼門の天井に彫ったのではないかと、
佐賀では、大いに話題になったのだ。


この武雄温泉楼門の背後に「桜山」がある。
標高116mの低山ながら、山頂には奇岩がそそり立つ。




別角度からもパチリ。


桜山という山名にふさわしく、
4月上旬にはソメイヨシノや八重桜500本が咲きそろう。
隠れた「紅葉の名所」であることは、
2014年11月30日に武雄オルレを歩いたときに知った。(コチラを参照)
以来、晩秋になると、この桜山を訪れるようになったのだ。

淀姫神社の鳥居から入山する。


見事な紅葉が私を迎えてくれた。




素晴らしい。


市街地に近い低山で、
これほどの紅葉を見ることができるとは……


まさに極楽。




すべてが赤く染まっていくようだ。


そこからさらに歩いて行くと、


金毘羅宮の鳥居に出合う。


ここからは、紅葉越しに、御船山を眺めることができる。


市街地に近い低山ならではの風景と言えよう。


いいね~


ここから先へ行くと、


登り坂となり、


桜山山頂へ到る。


ここからの眺めも素晴らしい。


岩峰に登って、(良い子は真似しないように)
向う側を見ると、


素晴らしい紅葉が眺められた。


山頂から下り始めると、
再び紅葉が目に飛び込んでくる。


紅葉と黄葉の競演。


ゆっくり下って行く。


麓に戻って来ても、
色鮮やかな紅葉が私を待っていた。




今日も一日の王になれました~

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