人気コミックを原作にしたキラキラ青春映画である。
普段、この手の映画はあまり見ないのであるが、
本作『覚悟はいいかそこの女子。』を見に行った理由はただひとつ。
唐田えりかが出演していたからである。
唐田えりかを、美しき映画女優としてはっきり認識したのは、
濱口竜介監督作品『寝ても覚めても』(2018年9月1日公開)においてだった。
第2回「一日の王」映画賞・日本映画(2015年公開作品)ベストテンで、
私は、濱口竜介監督作品『ハッピーアワー』を第1位に選出した。
次作を、首を長くして待っていたのだが、
その次作『寝ても覚めても』で、私は唐田えりかに出逢ったのである。
唐田えりかの“美の衝撃”について、
私は次のように記している。
濱口竜介監督の商業映画デビュー作は、
突然行方をくらました恋人を忘れられずにいる女性が、
彼と“うり二つ”の男性と出会って揺れ動くさまを描いたラブストーリーであった。
映像が美しく、
静かに進行するストーリーの後に、驚きの展開が待っている傑作で、
商業映画としても成功している作品だと思った。
そして、ストーリーの展開以上に驚かされたのは、
ヒロイン・泉谷朝子を演じた唐田えりかの“美”であった。
〈こんなにも美しい女優がいたのか……〉
という驚き。
【唐田えりか】
1997年9月19日、千葉県生まれ。
2014年、アルバイト先のマザー牧場でスカウトされ芸能界入り。
2015年に大手企業CMに抜擢され、一躍話題になる。
2016年には、back number「ハッピーエンド」のMVに出演し、
圧倒的な透明感で話題になる。
TVドラマでは「こえ恋」(2016∕テレビ東京)、「ブランケット・キャッツ」(2017∕NHK)、「トドメの接吻」(2018∕日本テレビ)などに出演。
ファッション誌「MORE」の専属モデルとしても活躍中。
2017年からは、韓国にも活躍の場を広げ、
大手企業のCMや、
Brown Eyed Soulのナオルのシングル「Emptiness in Memory」MVなどに出演し、
さらなる注目を集めている。
本作『寝ても覚めても』で初ヒロインを務め、本格的に映画デビューを果たす。
本作『寝ても覚めても』での唐田えりかとの出逢いは、
古くは、
『ロミオとジュリエット』(1968年)でのオリヴィア・ハッセー、
『勇気ある追跡』(1969年)でのキム・ダービー、
『赤頭巾ちゃん気をつけて』(1970年)での森和代、
『おもいでの夏』(1971年)でのジェニファー・オニール
新しくは、
『阿弥陀堂だより』(2002年)での小西真奈美、
『ラブ・アクチュアリー』(2003年)でのキーラ・ナイトレイ、
『パッチギ! 』(2005年)での沢尻エリカ、
『天然コケッコー』(2007年)での夏帆、
『愛のむきだし』(2009年)での満島ひかり、安藤サクラ、
『最後の忠臣蔵』(2010年)での桜庭ななみ、
『SUPER8/スーパーエイト』(2011年)でのエル・ファニング、
『海街diary』(2015年)での広瀬すず、
『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017年)での石橋静河、
『四月の永い夢』(2018年)での朝倉あき
との出逢いに匹敵する。
一目惚れしやすい(熱しやすく冷めにくい)私としては、(笑)
もうこれ以上、好きな女優を増やしたくないのだが、
またもや唐田えりかに一目惚れしてしまった。
手放しの絶賛である。(笑)
以来、唐田えりかにまたスクリーンで逢いたいと思っていた。
その唐田えりかが、再びヒロインとして登場する映画が、
本作『覚悟はいいかそこの女子。』だったのである。
前作『寝ても覚めても』とは真逆のキラキラ青春映画であったが、
〈見たい!〉
と思っていた。
が、佐賀での上映館がなかった。
で、いつものように、福岡まで出掛けて鑑賞したのであった。
幼い頃から女子に囲まれてきたイケメンの“愛され男子”古谷斗和(中川大志)。
女性からチヤホヤされ、自分はモテると思い込んでいる斗和だが、
これまで誰とも交際した経験がなかった。
ある日、恋人ができた同級生の男子から、
「所詮、お前は観賞用男子だ!」
と言われた斗和は、
簡単に彼女が作れると豪語し、
学年で一番人気があり、幾人の男達からの告白を断り続ける難攻不落のクールビューティー・三輪美苑(唐田えりか)に狙いをつけ、自信満々に告白するが、
「安っぽい告白」
と一瞬でフラれてしまう。
まさかの展開に、現実を受け入れられない斗和は、
とにかく躍起になって、再三、アプローチを続けるが、撃沈の連続。
しかし、そんなアプローチを続ける日々の中で、
次第に斗和は、美苑の優しさや人柄に触れ、
生まれて初めて、本気の恋におちていくのだった。
だが、ある日、
彼女の視線の先に、美術教師・柾木隆次(小池徹平)がいることに気づく。
大人の男性に憧れている美苑を目撃し、
〈俺ははヘタレだし、まだまだだ……〉
と自覚した斗和は、
人生で初めて恋した相手に認めてもらうべく、
本気で奮闘し始めるのだった……
単なるキラキラ青春映画だと思っていたが、
意外に真面目な映画で、ちょっとビックリ。
クールビューティーな三輪美苑(唐田えりか)は、
母との二人暮らしで、ボロアパートに住んでいる。
画家だった美苑の父は、彼女が幼い頃に亡くなっており、
借金生活のために、母はホステスをしている。
美苑自身もアルバイトをしており、バイト先でもらったパンを夕食にしている。
借金取り立ての男(※)もやってくるし、
穏やかさとは程遠い生活なのである。
※私の好きな(佐賀県小城市出身の)荒川良々が借金取りを演じており、
これがまた“好い味”を出しており、見所のひとつになっている。
その為、美苑は、お金がかかる修学旅行などの行事には参加しないのだ。
そんな美苑のために自分は何ができるのか……と考える斗和(中川大志)。
設定、そして序盤はキラキラ青春映画であるが、
中盤から終盤にかけては、斗和と美苑の“心の成長の物語”となっている。
爽やかな印象が残る“愛すべき小品”になっている。
原作は、椎葉ナナの同名コミック。
監督は、『片腕マシンガール』『ゾンビアス』など異色アクション映画を多数手がけてきた奇才・井口昇。
主演は、中川大志。
私の故郷・佐世保を舞台にした映画『坂道のアポロン』(2018年3月10日公開)で川渕千太郎を演じていたので、私にとっては好印象の男優。
中川大志のコミカルで爽やかな演技が、この作品を面白いものにしている。
そして、ヒロイン・唐田えりか。
井口昇は、唐田えりかの様々な表情を撮っていて、
彼女の“美”を存分に楽しませてくれる。
クールビューティーな表情だけでなく、
不安、悲しみ、喜びなどの表情も見ることができるし、
しかも顔のアップを多用しているので、
唐田えりかの美を余すところなくスクリーンいっぱいに堪能することができる。
唐田えりかファンには「何度でも見たい」と思える作品になっていた。
私にとっての今年(2018年)出逢った“美の衝撃”は唐田えりかだったのだが、
それを裏付けるようなニュースが先月飛び込んできた。
10月4日、釜山国際映画祭において、
濱口竜介監督作品『寝ても覚めても』に主演した東出昌大と、ヒロインを演じた唐田えりかがレッドカーペットを歩き、韓国のファンを魅了したのであるが、
前日に行われたマリ・クレールAsia Star Awardで、
東出昌大、唐田えりかが揃って「フェイス・オブ・アジア賞」を受賞したというのだ。
「フェイス・オブ・アジア賞」は、
今後のアジアでの活躍が期待される俳優に授与されるもので、
日本だけでなく、アジアにおいても期待されている証ともいうべき賞。
背が高く、スタイルの好い二人が並んだ姿は、本当に美しい。
“フェイス・オブ・アジア”賞を頂けたことも全部夢みたいで……アジアの顔……
これからもっと映画に携われるよう、頑張ろう。と強く思いました。
と、インスタグラムでコメントしていた唐田えりか。
今後、映画では、
『21世紀の女の子』(2019年新春公開予定)というオムニバス作品が控えている。
15人の女性若手映画監督による1篇8分以内の短編15篇により構成される映画で、
唐田えりかは、山戸結希監督の「離ればなれの花々へ」という作品に出演している。
山戸結希監督といえば、
第3回 「一日の王」映画賞(2016年公開作品)で、
最優秀監督賞に選出した監督。
期待の若手女性監督で、唐田えりかをどう撮っているのか、楽しみ。
唐田えりかは、2016年、
「ヒルナンデス」という番組で、富士山に登っており、
(動画)
唐田えりか 夏の大挑戦!上編
唐田えりか 夏の大挑戦!下編
それ以来、山登りが大好きとのことで、
自身のインスタグラムでも、山ガール姿を披露している。
女優としての活躍も期待したいが、
山ガールとしても山岳雑誌などで何度でも見たい気もする。
唐田えりかに関しては、もう“期待”しかないのである。