![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/90/bbe61587d6548605d51a540a74fb6460.jpg)
「逢いたい人に逢いに行く」という特別企画の第24回目は、
女優の高畑充希、小池栄子、伊藤万理華。
以前、
映画『もっと超越した所へ。』(2022年10月14日)のレビューを書いたとき、
私は、
……根本宗子の脚本が秀逸な会話劇の傑作……
とのサブタイトルを付して、次のように記している。
本作『もっと超越した所へ。』の脚本を担当した根本宗子が、
作・演出を担当する舞台「宝飾時計」が、
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来年(2023年)1月から2月にかけて、
東京公演(東京芸術劇場プレイハウス)を皮切りに、全国各地で公演される。
これには、主演の高畑充希の他、小池栄子や、
『もっと超越した所へ。』にも出演していた伊藤万理華もキャスティングされている。
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好きな女優が出演しているし、
根本宗子の作・演出なら期待できると思い、
〈観たい!〉
と思っていたところ、佐賀県でも公演されることが判り、
(鳥栖市民文化会館大ホール・2023年2月10日~12日)、
さっそくチケットを購入した。
今から来年2月が楽しみでならない。
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舞台『宝飾時計』の公演を知ったのが昨年(2022年)7月初旬で、
以来、(約7ヶ月待って)やっと、その2月がやってきた。(笑)
私が購入できたチケットは、2月10日(金)の分で、
全体が見渡せて、俳優もよく見える「中央、前から7列目の通路側」という素晴らしい席。
で、ワクワクしながら、鳥栖市民文化会館へ向かったのだった。
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駐車場が混むと聞いていたので、
開場(14:00)の2時間前(正午頃)に鳥栖市民文化会館に到着。
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2019年9月28日に「薬師丸ひろ子コンサートツアー2019」で来て以来なので、
約3年半ぶりの鳥栖市民文化会館。
(その間も、鳥栖市民文化会館で行われる予定の平原綾香や森麻季などのコンサートチケットをゲットしていたのだが、新型コロナウイルスの感染拡大で全て中止になった)
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開場時間が近づくと、人の数が多くなってきた。
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私も入場する。
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「満員御礼」の文字が嬉しい。
(当初、3日間で3公演の予定であったが、すぐにsold-out。1公演が追加されたが、それもすぐにsold-outとなった)
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いろんなグッズも販売されており、
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グッズ売場には行列ができていた。
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14:30となり、幕が上がった。
主人公のゆりか(高畑充希)は子役から女優として活躍しているが、
驚くほど業界に染まれていない。
30歳を迎え、同級生たちが次々と結婚し子供を産んでいく中、
〈私は何のためにこんなことをやっているのだろう〉
と自分の存在の意味を見つけられずにいた。
そんな彼女の心を日々支えているのはマネージャーの大小路(成田凌)。
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ある日ゆりかのもとに、
「21年前にやったミュージカルの記念公演のカーテンコールで、テーマ曲を歌ってくれないか?」
という依頼が飛び込んでくる。
それは彼女の原点となった舞台だった。
仕事を引き受けたゆりかは、現場で、
当時一緒にトリプルキャストとして主演を務めていた、
真理恵(小池栄子)、杏香(伊藤万理華)と再会する。
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自分の人生を肯定したい3人は、
他者を否定することでなんとか自分を保っていた。
その会話は21年前も今も変わらない。
過去と現在を行き来しながら、
ゆりかは自分の人生を振り返り、
孤独に押しつぶされそうになる。
日々増える無力感の中、
ゆりかは自分の人生の肯定の仕方を考え始める……
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映画『もっと超越した所へ。』と同様、
舞台『宝飾時計』もまた会話劇であった。
矢継ぎ早に繰り出される(作・演出の根本宗子が紡ぎ出した)毒をはらんだ言葉の数々は、
意味不明のままに、観客席の間を通り抜け、時に頭上で浮遊し、
知らぬ間に躰に染み込んでくる。
第1部、70分
(休憩15分)
第2部、70分
という構成であったが、
第1部で意味不明の言葉の数々が、
第2部でその意味が明らかになっていき、
(ミステリーで伏線が回収されるように)理解することができるようになり、
感動させられる。
なんという言葉のマジック。
なんと素敵な根本宗子ワールド。
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そして、ラストの高畑充希の歌唱。
ここに至り、感動のボルテージは最高潮に達する。
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楽曲(「青春の続き」)提供は、椎名林檎。
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高畑充希はかねてより
「いつか椎名林檎に自身の出演舞台の楽曲を書き下ろしてほしい」
と望んでいたとかで、
根本宗子のはからいで今回、ようやく叶えられたそうだ。
椎名林檎がこの曲に込めた切なる思いを、
高畑充希は、繊細、かつ大胆な声で表現する。
「この一曲だけでも、この舞台を観る価値はある!」
と言えるほど素晴らしかったし、感動した。
(この高畑充希の歌声を聴いてしまうと、彼女が出演するミュージカルにも行きたくなる)
それにしても、高畑充希はなんという女優であろうか!
約2時間半、ほぼ出ずっぱりで、
膨大なセリフ量をこなしつつ、動き回り、歌唱する。
TVドラマの高畑充希も素晴らしいが、
舞台の彼女は別格だと思った。
また彼女の舞台が佐賀県に来たならば、絶対に観に行こうと思った。
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真理恵を演じた小池栄子。
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小池栄子については、
グラビアアイドルから女優に転身した頃は、
私の偏見から、彼女をまったく評価していなかった。
私が彼女を女優として認知した作品は、
2008年に公開された『接吻』においてだった。
この作品での熱演、目力の強さを見て、女優魂が本物であることを確信した。
以降、
『パーマネント野ばら』(2010年)
『人間失格』(2010年)
『八日目の蝉』(2011年)
『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』(2011年)
『北のカナリアたち』(2012年)
『草原の椅子』(2013年)
『許されざる者』(2013年)
『彼らが本気で編むときは、』(2017年)
『空飛ぶタイヤ』(2018年)
『記憶にございません!』(2019年)
『グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇』(2020年)
などの出演作をこのブログでレビューを書いてきた。
今では大好きな女優の一人で、
舞台『宝飾時計』で生の小池栄子に逢えるのを楽しみにしていた。
そして、実際に観た小池栄子は、美しく、明るく、パワフルで、
(期待に違わぬ)演技で、私を存分に楽しませてくれた。
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鳥栖市民文化会館の1500の客席を背にパチリ。
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杏香を演じた伊藤万理華。
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伊藤万理華という女優を知ったのは、
映画『サマーフィルムにのって』(2021年)においてであった。
……本作の欠点を葬り去るほどの伊藤万理華の魅力……
とのサブタイトルを付してレビューを書いたのだが、
その圧倒的な存在感に打ちのめされた。
映画『サマーフィルムにのって』そのものは、(私にとっては)特別な映画にはならず、
(批判が多くなりそうなレビューは書かない主義なので)レビューは書くまいと思っていたのだが、伊藤万理華のことにだけは触れたくて、レビューを書いた次第。
批判が多くなりそうなレビューは書かない主義なので、
〈本作のレビューも書かないでおこう……〉
と、最初は思ったのだが、
鑑賞後、10日間経っても、この作品のことが忘れられない自分がいた。
何が忘れられないのかというと、
主演の伊藤万理華の顔が忘れられないのであった。
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とびっきりの美人というわけでもなく、(コラコラ)
とびっきり演技が上手いというわけでもないのに、(オイオイ)
存在感があり、勢いがあり、光っていたのだ。
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どこにでもいそうな顔なのに、
どこにもいるとは思えない顔で、
一度見たら忘れられなくなる程のインパクトがあり、
不思議な魅力を持った女の子であった。
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『サマーフィルムにのって』は、
大林宣彦監督の初期作品に似た部分があるのだが、
伊藤万理華の存在感は、
『HOUSE ハウス』(1977年)における池上季実子、大場久美子、
『ねらわれた学園』(1981年)における薬師丸ひろ子、
『転校生』(1982年)における小林聡美、
『時をかける少女』(1983年)における原田知世と、
同等のものがあり、
伊藤万理華の残像がいつまでも消えず、
何度も脳裏に蘇えり、
私の脳内を彼女が駆けまわるのだった。
そして、『サマーフィルムにのって』にまとわりついていた私の批判的な感情を浄化させ、
時間の経過と共に、『サマーフィルムにのって』のイメージをアップさせていくのであった。
〈それほど悪くない作品であったかも……〉
と、私を改心させるほどにまで、私を魅了し、
私が感じた様々な欠点、問題点すら、瑣末なことにしてしまうのだった。
久しぶりに感じた不思議な感覚であった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/ed/37aa6dd86cb3aaea6545d143514abe49.jpg)
(中略)
『サマーフィルムにのって』の主演がもし伊藤万理華でなかったならば、
このレビューは書かなかっただろうし、
そういう意味では、
本作におけるマイナス部分を、
伊藤万理華という一人の女優の存在感がすべて葬り去ってしまったと言える。
本作を監督した松本壮史を褒めるとしたら、
「伊藤万理華を主演としてキャスティングしたこと」
のみに尽きる。(コラコラ)
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とまで書いたのだが、舞台『宝飾時計』においても、
伊藤万理華もまた、(期待に違わぬ演技と、ステージを縦横無尽に動き回るパワフルさで)
私を存分に楽しませてくれた。
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高畑充希、小池栄子、伊藤万理華に逢えた2時間半は、
夢のような時間であり、夢のような空間であった。
新型コロナウイルスも5月に「5類」に移行するようなので、
今後、佐賀での舞台やコンサートも増えてくると思われる。
楽しみでならない。