一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

映画『コンフィデンスマンJP』 ……美女に騙される快感を味わってみないか……

2019年05月19日 | 映画
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長澤まさみは、私の好きな女優であるが、
『ロボコン』(2003年9月13日公開)
『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年5月8日公開)
『タッチ』(2005年9月10日公開)
『ラフ ROUGH』(2006年8月26日公開)
などに出演していた頃は、アイドル女優のような感じだったので、
女優を一生の仕事にしているようには見えず、
若くして芸能界から引退するのではないか……と思っていた。
だが、
『モテキ』(2011年9月23日公開)でのセクシーシーンに驚かされ、
有名監督の作品に出演した
矢口史靖監督作品『WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜』(2014年5月10日公開)
是枝裕和監督作品『海街diary』(2015年6月13日公開)
黒沢清監督作品『散歩する侵略者』(2017年9月9日公開)、
などで、女優としての“やる気”が顕著となり、
ミュージカル『キャバレー』(2017年)での舞台演技を観て、
長澤まさみという凄い女優に魅せられた。
以降、
『嘘を愛する女』(2018年1月20日公開)、
『マスカレード・ホテル』(2019年1月18日公開)
『キングダム』2019年4月19日公開)
などの映画は勿論のこと、
単独主演テレビドラマ『コンフィデンスマンJP』(2018年4月9日~6月11日)も、
毎週欠かさず楽しみに観ていた。
本日紹介する映画『コンフィデンスマンJP』は、
このフジテレビ系「月9」枠で放送されていたテレビドラマの劇場版である。


待ちに待った作品なので、
公開初日(2019年5月17日)に、会社の帰りに映画館に駆けつけたのだった。



天才的な知能を持つが詰めの甘い、ダー子(長澤まさみ)と、


彼女に振り回されてばかりのお人よしな、ボクちゃん(東出昌大)、


百戦錬磨のベテラン、リチャード(小日向文世)は、


華麗に大胆に人を騙し続けるコンフィデンスマン(=信用詐欺師)である。


欲にまみれた者たちから大金をだまし取ってきたこの3人の、
次なるオサカナ(=ターゲット)は、
香港マフィアの女帝で、その冷酷さから“氷姫”という異名を持つラン・リウ(竹内結子)。


彼女が持つと言われている伝説のパープルダイヤを狙って、3人は香港へ。


ランに取り入ろうと様々な策を講じるが、なかなかエサに食いつかず苦戦する。
そんな中、天才詐欺師ジェシー(三浦春馬)が現れ、同じくランを狙っていることがわかる。


そして、
以前ダー子たちに騙され恨みを持つ日本のヤクザ・赤星(江口洋介)の影もちらつき始め、


事態は予測不能の展開をみせ始める。
騙し騙されの三つ巴の戦いを制するのは、はたして誰なのか……




「はたして誰なのか……」
とは言っても、
それはダー子(長澤まさみ)に決まっているし、(笑)
映画の元になったテレビドラマをすべて観ている私としては、
騙される筈がなかった……筈であった。(笑)
テレビドラマを観ているときは、回を追う毎に、展開パターンも判り、
あまり騙されなくなっていたので、
自信を持って映画も鑑賞したのだった。
で、結果はどうだったかというと、
「まんまと騙されちゃいました」です。(爆)


やはり、古沢良太の脚本が優れていると思った。
私の好きな
『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ
『探偵はBARにいる』シリーズ
などを手掛けている脚本家だし、
『エイプリルフールズ』(2015年4月1日公開)
『ミックス。』(2017年10月21日公開)
などでも楽しませてもらっていたので、やはり間違いなかった。
騙される快感を存分に味わうことができたのだった。
漫画や小説を原作とする映画が主流の邦画界で、
オリジナル脚本で、これほど楽しませてくれる脚本家は稀だ。
映画でもテレビドラマでも、
古沢良太が脚本を担当していたら必ず見ようと決意を新たにしたことであった。



コメディアンヌとしての長澤まさみも素晴らしかった。


振り切れた演技をする俳優は多いと思うが、
(あの美貌を兼ね備えた)長澤まさみの振り切れた演技はめったに見られるものではない。
変顔あり、狂態あり、絶叫ありの何でもあり状態の長澤まさみは、
もはや無敵、無双だ。


『キングダム』でのカッコイイ彼女も素敵だが、
本作『コンフィデンスマンJP』での彼女も魅力的であった。


そして、ダー子(長澤まさみ)に見惚れているうちに、
まんまと騙されちまったのである。(コラコラ)



「鑑賞する映画を女優で選ぶ」私としては、
長澤まさみを見ることができただけで、もう大満足であるのだが、
ダー子の弟子・モナコを演じた織田梨沙も、私に好印象を残した。


最近では、
『生きてるだけで、愛。』(2018年11月9日公開)での演技が印象に残っているが、
前作を上回る演技力と存在感で、素晴らしかった。



香港マフィアの女帝で、
その冷酷さから“氷姫”という異名を持つラン・リウを演じた竹内結子も良かった。
香港を舞台にしているので、
長澤まさみが釣り上げるオサカナ(=ターゲット)は、
やはり大物でなくてはならなかっただろう。
その点、竹内結子は「文句なし」であった。
長澤まさみと竹内結子の美貌対決、演技合戦は見応えがあったし、
(いろんな意味で)暗くダークな過去を持つラン・リウを、
竹内結子は見事に演じ切っていた。



テレビドラマの方を観ていない人でも楽しめるし、
観ていた人はより楽しめる工夫がされていた。
テレビドラマの方にゲスト出演していた俳優たちが、
いろんなシーンに顔を出しているのだ。
エンドロールを見ながら、
「えっ、どこに出てた?」
と驚いてもらいたい。


そして、エンドロールが終わるまで、絶対に席を立たないようにね。
エンドロールの後に、もうワンシーンが足されているのだ。
私が見たときも、エンドロールになると席を立つ人が少なからずいたが、
この人たちは、最後の素敵なシーンを見ずして帰ってしまったのだ。
このワンシーンは、
長澤まさみのファンのみならず、
元AKBの前田敦子ファン感涙のワンシーンなのだ。
そして、このシーンは、
5月18日に放送されたテレビドラマ『コンフィデンスマンJP』の「運勢編」とも連動していたのだ。


そのままでも十分に楽しめるが、
いろいろ知っていると、もっともっと楽しめること請け合い。
あなたも、騙される快感を味わってみませんか?
映画館で、ぜひぜひ。

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