最初に結論から言ってしまうと――
「傑作」である!
珠玉の三編が収められている山岳ミステリー集である。
「黒部の羆」「灰色の北壁」「雪の慰霊碑」
どれも原稿用紙に換算すると150枚ほどの作品で、短編というより中編だ。
だが、読み応えは長編に引けをとらない。
どれも緊迫感あふれる作品である。
掲載されている順に読んだ。
「黒部の羆」を読了後、満足感が体に広がった。
他の二編を読んでいないのに、これがもっとも優れていると思った。
これほどの作品を三編も揃えるのは無理だろう。
三編のなかでもっとも出来が良いものを巻頭にもってきたのだ――
作品集をつくるときはそうするものだ。
だが、次の「灰色の北壁」は表題作である。
表題作にしたということは、これがこの作品集のなかでは自信作なのか?
読み始めると――
「黒部の羆」に勝るとも劣らない傑作なのだ。
好みにもよるが、こちらが「黒部の羆」より上とみる読者の方が多いかもしれない。
さすが表題作!
と、思わず叫びたくなる。
さて、残るは「雪の慰霊碑」のみ。
タイトルからして地味だ。
これはあまり期待できないと思いながら読み進める。
他の二編とやや異なり、叙情的な作品だ。
だが、これも傑作なのだ。
「すごい!」としか言いようがない。
さすが真保裕一!
三編そろって傑作という作品集はなかなかないものだ。
三編とも単なる山岳小説ではない。
人間ドラマがきちんと書き込まれている。
男と男、男と女――心の機微が、荒々しい自然描写とともに読者の胸に迫る。
ミステリーの部分も緻密に練られている。
「あっ」と言わせられる。
エンターテインメント小説を読む楽しみを存分に味わった。
今回はあえてストーリーを紹介しない。
読む楽しみを削いでしまうような気がする。
本書の帯には、
《すべての謎は、あの山が知っている!
天才クライマーに降りかかった悲運の死。標高7000mの北壁で、彼が見たものは何か。
『ホワイトアウト』から10年。渾身の山岳ミステリー》
と記されている。
もうこれだけで十分だろう。
山岳小説というと、女性読者は敬遠しがちだが、本作だけは読んでもらいたい。
きっと満足してもらえると思う。
「傑作」である!
珠玉の三編が収められている山岳ミステリー集である。
「黒部の羆」「灰色の北壁」「雪の慰霊碑」
どれも原稿用紙に換算すると150枚ほどの作品で、短編というより中編だ。
だが、読み応えは長編に引けをとらない。
どれも緊迫感あふれる作品である。
掲載されている順に読んだ。
「黒部の羆」を読了後、満足感が体に広がった。
他の二編を読んでいないのに、これがもっとも優れていると思った。
これほどの作品を三編も揃えるのは無理だろう。
三編のなかでもっとも出来が良いものを巻頭にもってきたのだ――
作品集をつくるときはそうするものだ。
だが、次の「灰色の北壁」は表題作である。
表題作にしたということは、これがこの作品集のなかでは自信作なのか?
読み始めると――
「黒部の羆」に勝るとも劣らない傑作なのだ。
好みにもよるが、こちらが「黒部の羆」より上とみる読者の方が多いかもしれない。
さすが表題作!
と、思わず叫びたくなる。
さて、残るは「雪の慰霊碑」のみ。
タイトルからして地味だ。
これはあまり期待できないと思いながら読み進める。
他の二編とやや異なり、叙情的な作品だ。
だが、これも傑作なのだ。
「すごい!」としか言いようがない。
さすが真保裕一!
三編そろって傑作という作品集はなかなかないものだ。
三編とも単なる山岳小説ではない。
人間ドラマがきちんと書き込まれている。
男と男、男と女――心の機微が、荒々しい自然描写とともに読者の胸に迫る。
ミステリーの部分も緻密に練られている。
「あっ」と言わせられる。
エンターテインメント小説を読む楽しみを存分に味わった。
今回はあえてストーリーを紹介しない。
読む楽しみを削いでしまうような気がする。
本書の帯には、
《すべての謎は、あの山が知っている!
天才クライマーに降りかかった悲運の死。標高7000mの北壁で、彼が見たものは何か。
『ホワイトアウト』から10年。渾身の山岳ミステリー》
と記されている。
もうこれだけで十分だろう。
山岳小説というと、女性読者は敬遠しがちだが、本作だけは読んでもらいたい。
きっと満足してもらえると思う。