一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』 ……美女に騙される快感を味わい尽くす……

2022年01月17日 | 映画


長澤まさみは、私の大好きな女優である。
だが、昔から……というわけではなく、
『ロボコン』(2003年)
『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)
『タッチ』(2005年)
『ラフ ROUGH』(2006年)
などに出演していた頃は、アイドル女優のような感じだったので、
「可愛い」とは思っていたものの、
女優を一生の仕事にしているようには見えず、
若くして芸能界から引退するのではないか……と思っていたし、
ファンでもなかった。
ところが、
『モテキ』(2011年)での、
「そこまでやる?」
というセクシーシーンに驚かされ、
矢口史靖監督作品『WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜』(2014年)
是枝裕和監督作品『海街diary』(2015年)
黒沢清監督作品『散歩する侵略者』(2017年)
など、評価の高い監督の映画に出演することで、
〈女優としてやっていくのだ!〉
という“覚悟”が見て取れるようになり、
ミュージカル『キャバレー』(2017年)での舞台演技を観て、(コチラを参照)
長澤まさみという凄い女優が存在していることをあらためて認知させられたし、
大ファンになった。


以降、
『嘘を愛する女』(2018年)、
『マスカレード・ホテル』(2019年)
『キングダム』(2019年)
『MOTHER マザー』(2020年)
『すばらしき世界』(2021年)
などの映画は勿論のこと、
単独主演テレビドラマ「コンフィデンスマンJP」(2018年4月9日~6月11日)も、
毎週欠かさず楽しみに観ていたし、
SPドラマの「運勢編」、
劇場版の2作、
『コンフィデンスマンJP ロマンス編』(2019年)
『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(2020年)
も鑑賞している。
なので、
劇場版の第3作目となる、
『コンフィデンスマンJP 英雄編』(2022年1月14日公開)も楽しみにしていた。
長澤まさみは勿論のこと、
広末涼子、真木よう子、徳永えり、生田絵梨花、関水渚など、
私の好きな女優がたくさん出演しているということもあって、
(公開初日に)ワクワクしながら映画館に駆けつけたのだった。



かつて、「ツチノコ」という名の詐欺師がいた。
悪しき富豪たちから美術品を騙し取り、貧しい人々に分け与えたことから、
“英雄”と謳われ、以来、「ツチノコ」という名は、
当代随一の腕を持つコンフィデンスマンに密かに受け継がれてきた。
「三代目ツチノコ」(角野卓造)の元で腕を磨いた過去を持つ、


ダー子(長澤まさみ)、
ボクちゃん(東出昌大)、
リチャード(小日向文世)の3人は、


「四代目ツチノコ」の称号をかけ、真剣勝負を開始する。


舞台は世界中のセレブが集まる世界遺産の都市「マルタ島・ヴァレッタ」。


狙うは、
莫大な財を成し引退したスペイン人の元マフィア・ゴンザレス(城田優)が所有する、
行方不明とされていた幻の古代ギリシャ彫刻「踊るビーナス」。


それぞれの方法でオサカナに近づく3人だったが、
そこに警察、


さらにはインターポールの捜査の手が迫っていた……




先程も述べたように、
私は、「コンフィデンスマンJP」シリーズはすべてを観て(見て)いる。
SPドラマ「運勢編」も、
劇場版の第1作「ロマンス編」も、第2作「プリンセス編」も、
全部の内容を把握しているし、
「コンフィデンスマンJP」シリーズの脚本を担当している古沢良太の「騙し」のテクニックも、
「騙し」のパターンも熟知していると言える。(ほんまかいな?)
なので、
誰と誰がグルで、どのような結末を迎えるかは、ある程度予測はできたのだが、
最終的にはやはり騙されてしまった。(笑)
もっと真剣に推理していれば、騙されることはなかったと思うが、
男は誰しも(私は特に)美女に騙されたいという願望を持っている。(コラコラ)


その思いが推理力を鈍らせ、まんまと騙されてしまったのだ。
この手の映画は、少しでも内容を書いてしまうとネタバレになってしまうので、
今回は私の好きな女優のことを書いて、レビューの代わりとしたいと思う。



まずは、主人公のダー子を演じた長澤まさみ。


長澤まさみが楽しんで主役を演じているのが、観客にも伝わってきたし、




彼女の笑顔のアップも多用されていたこともあって、
長澤まさみをただ見ているだけで、幸せな気持ちにさせられた。
白い歯がキラキラ輝き、
〈本当に歯がキレイな子だな~〉
と、あらためて思った。


現在、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のナレーションを担当しているが、
声も彼女の魅力のひとつで、
コミカルな役でガハハ笑いをしているときも、下品にならず、
その心地好い声を聴いているだけでも癒される。
声優として、
ジブリ映画の『コクリコ坂から』(2011年)、
新海誠監督の『君の名は。』(2016年)、
3月に続編が公開予定の米アニメ『SING/シング』(2017年)など、
いくつもの大ヒット作に出演しているのも「納得」の女優なのである。
ミュージカル『キャバレー』の舞台で主演したときに、
「最初で最後のミュージカル」
と語っていたが、
(私)個人的には、「もう一度、長澤まさみのミュージカルが観たい」と思っていたので、
(ちょっとネタバレになるが)本作でその願いが少しだけだが叶えられラッキーだった。


波子を演じた広末涼子。


「コンフィデンスマンJP」シリーズでは、私は特にSPドラマ「運勢編」が好きなのであるが、
それは、広末涼子が出演しているからで、
その「運勢編」で、彼女は
客足もまばらな海辺の中華料理店「みなと食堂」をひとりで切り盛りする波子を演じている。


波子は、亡き夫の借金に苦しんでいる美しき未亡人という設定で、
下心ありありで近づいてくる男をハニートラップにかける詐欺師の役であったのだが、
〈広末涼子なら騙されたい!〉
と思わされるほどに適役で、(コラコラ)


このシチュエーションを考え出した脚本家・古沢良太に感心した。
SPドラマ「運勢編」の後は、
『コンフィデンスマンJP -プリンセス編-』にも出演し、
今回の『コンフィデンスマンJP 英雄編』にもキャスティングされているのだが、
「マルタ島・ヴァレッタ」でもハニートラップにかける詐欺師・波子を演じており、
この波子(つまり広末涼子)を見られただけでも、私は幸せであった。


謎の女を演じた真木よう子。


正体不明の謎の女を演じているのだが、
ラスト近くでその正体が判明する。
それがすこぶるカッコイイ。
出演シーンは少ないが、
エンドロールのときにも登場するので見逃さないように……ね。


海上自衛官を演じた徳永えり。


TVドラマや『六月燈の三姉妹』(2013年)という映画などで、
(昔から)徳永えりという女優は知っていたのだが、
特に意識して見ることはなかった。
ところが、NHKの朝ドラ「エール」で梅根トキコを演じているのを見て、


グッときた。(コラコラ)


以来、彼女の出演するドラマや映画は意識して見るようにしている。
本作では、出演シーンは少なく、ちょっと物足りなかったが、
見ることができただけでも「良し」としよう。


畠山麗奈を演じた生田絵梨花。


乃木坂46での生田絵梨花には関心はなかったが、
特技がピアノ演奏で、歌唱力もあり、
ミュージカルなどで活躍するようになってから、
生田絵梨花の才能に感嘆し、惚れた。
舞台経験は豊富だが、
TVドラマや映画の出演は意外に少なく、
(2021年12月31日をもって乃木坂46を卒業したこともあり)
そういう意味では、これからが本当に楽しみな女優で、
本作では、
ダー子たちに狙われる元マフィア・ゴンザレス(城田優)の内縁の妻を演じているのだが、


(ミュージカルスターの共演でもあるな~)


小悪魔的、蠱惑的な女性の役で、
生田絵梨花の新たな魅力をまたひとつ発見できたような気がした。


そんな役ではあるが、(詳しくは書けないが)
彼女のファンを裏切るようなことはしていなくて、
期待通りの生田絵梨花も見ることができる……とだけ記しておこう。


コックリを演じた関水渚。


関水渚を初めて女優として認知したのは、
『町田くんの世界』(2019年)においてだった。
……細田佳央太と関水渚が素晴らしい石井裕也監督作品……
とのサブタイトルを付してレビューを書いたのだが、
そのレビューで、私は関水渚について次のように記している。(全文はコチラから)

町田くんが特別な感情を抱くようになる女の子・猪原奈々を演じた関水渚。


1998年生まれ。神奈川県出身。
2017年4月「アクエリアス」のCMでデビュー。
話題になり、雑誌などでも活躍。
初めて参加した映画主演のオーディションが本作だったが、
プロデューサーが、
「演技経験もテクニックも何もないはずなのに、不思議な魅力というか華やかさというか、とてつもない伸びしろを感じ、彼女に賭けてみようと思った」
と語るほどの存在感で、見事役を射止めた。
町田くん役の細田佳央太同様、今後、話題作・大作映画への出演を控えている。


細田佳央太以上に強いインパクトを残したのが、関水渚であった。
ほとんど演技経験がなかったとのことだが、
そうは思えないほどに演技も上手く、感情表現も素晴らしかった。



写真よりも動いている姿や表情が素晴らしく、
スクリーン映えする女優だと思った。



広瀬すずに似ていると評判のようだが、
私は、「北川景子を若くしたような感じ」に思えた。
まだ若いので、これから美しさも磨かれていくと思うが、
彼女にも限りない将来性を感じることができた。



映画デビュー作にして、初主演作(細田佳央太とW主演)で、
第43回山路ふみ子映画賞山路ふみ子新人女優賞、
第74回毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞、
第62回ブルーリボン賞新人賞、
第93回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞など、
いろんな映画賞の新人賞を総なめ。

その後、TVドラマやTVCMなどで彼女をよく見かけるようになり、
映画でも、
『カイジ ファイナルゲーム』(2020年)にヒロイン・桐野加奈子役として、
『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(2020年)にコックリ役として出演。


本作『コンフィデンスマンJP 英雄編』でも、
「プリンセス編」に続きコックリ役として出演している。
コックリは、身寄りのない陰気な女の子で、
ひょんなことからダー子に拾われ、子猫ちゃんとしてチームに加わることになる。
何を聞かれても、無言で頷くことから、“コックリ”と名付けられた。
コックリは、ダー子の手によりプリンセスに仕立てられ、
類を見ないほどの優しさを武器に、周囲の心を動かしていく。
詐欺師たちが蠢く中で、唯一、泥水の中に咲く蓮の花のような存在だ。
本作『コンフィデンスマンJP 英雄編』でもコックリ(=関水渚)は“純真”の象徴で、
彼女を見ているだけで幸せであった。
長澤まさみ、広末涼子、真木よう子、徳永えり、生田絵梨花のところでも、
同じことを言っているような気がするが、(爆)
要するに、私は、スクリーンで好きな女優を見ているだけで幸せなのである。(コラコラ)


エンドロールのときに席を立つ人が多いが、
本作に限っては館内が明るくなるまでは絶対に席を立たないように……
エンドロールの直前まで伏線が張り巡らされていて、
エンドロールの後にも楽しみが待っている。
最後の最後まで騙される快感を味わうことができるのだ。
美女に騙される快感を味わい尽くした一作であった。

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