一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

「くまもと復興映画祭2018 Powered by 菊池映画祭」薬師丸ひろ子に逢いたくて

2018年04月08日 | 特別企画「逢いたい人に逢いに行く」


今年(2018年)から始めている「逢いたい人に逢いに行く」という企画。
これまでに、
E-girlsのパフォーマーであり女優の石井杏奈(1月27日)、
女優でボーカリストの薬師丸ひろ子(2月11日)、
女優の蒼井優(2月26日)、
ボーカリストの手嶌葵(3月17日)
に逢ってきた。
そして、第5弾となる今回は、またしても薬師丸ひろ子。

2月11日に薬師丸ひろ子に逢えた喜びで、
すっかり満足してしまって、
薬師丸ひろ子のファンサイトなどを見ることをしなくなっていたら、
ある日、なんとなく見たそのファンサイトで、
薬師丸ひろ子が「くまもと復興映画祭2018 Powered by 菊池映画祭」(4月6日~8日)に来ることになっていることを知った。


「くまもと復興映画祭2018 Powered by 菊池映画祭」とは何かというと、
もともと10数年前より開催されていた「菊池映画祭」というものがあったのだが、
2016年(平成28年)4月に起きた「熊本地震」により、
熊本地震の被災者を映画で元気づけようと、
前身の「菊池映画祭」と合体する形で、
昨年(2017年)、「くまもと復興映画祭 Powered by 菊池映画祭」が誕生したのだ。
熊本県出身の行定勲監督が映画祭のディレクターを務めており、
第1回目の昨年(2017年)は、
妻夫木聡、佐藤健、高良健吾らをゲストとして招き、
『ぼくたちの家族』
『ジョゼと虎と魚たち』
『春の雪 35mm Film』
『世界から猫が消えたなら』
などが上映された。

2回目となる今回は、
薬師丸ひろ子、斎藤工、倉科カナ、高良健吾らがゲストとして招かれており、
特に、薬師丸ひろ子については、
「特集・薬師丸ひろ子」として、
『メイン・テーマ』(4月7日上映)
『Wの悲劇』(4月7日上映)
『今度は愛妻家』(4月8日上映)
の3作品が上映されるという。
2010年(1月16日)公開の映画『今度は愛妻家』は、
8年前の映画であるし、
このブログにもレビューを書いているが、(コチラを参照)
『メイン・テーマ』(1984年)
『Wの悲劇』(1984年)
は、久しくスクリーンでは見ていない。
だから、
『メイン・テーマ』と『Wの悲劇』が上映される4月7日(土)に行きたいと思い、


チケットを予約しようと、
「くまもと復興映画祭2018 Powered by 菊池映画祭」のHPで確認すると、
すでに前売券は完売していたのだった。(ガックシ)
薬師丸ひろ子だけでなく、斎藤工もゲストとして登場するので、
斎藤工ファンの人たちが買い占めたのではないだろうか?(コラコラ)
〈薬師丸ひろ子のファンサイトをもっとチェックしておくべきだった……〉
〈2月24日から発売されていたので、もっと早くに気付いていれば買えたかもしれないのに……〉
と悔やんでも、「後悔先に立たず」であった。

4月7日(土)の前日の4月6日(金)、
仕事の休憩時間に、
〈映画祭は今日から開催されるんだな~〉
と思いながら、
何気なく「くまもと復興映画祭2018 Powered by 菊池映画祭」のHPを見てみると、
2018年4月3日のNEWS欄に、
「全日程の当日券販売致します」
と書いてあるではないか!
〈もしかして……〉
と思って4月7日(土)の休みを取得していた私は、
狂喜乱舞したのは言うまでもない。(爆)

「くまもと復興映画祭2018 Powered by 菊池映画祭」は、
会場が日程によって異なっており、

4月6日(金)
市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
熊本城二の丸広場(※荒天時中止)


4月7日(土)
菊池市文化会館
菊池松囃子能場
望月旅館大広間


4月8日(日)
市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)

と、なっており、
私が見たい映画が上映される4月7日(土)の会場は、菊池市文化会館。


早朝に車で家を出て、
高速を使わずに下道を行ったにもかかわらず、
2時間弱で会場に着いた。(案外近かった)


着いたのは午前5時半頃だったのだが、
会場にはもう映画祭のスタッフがいて、
当日券の整理券をもらった。
整理券の番号は、7番。
「一番乗り」だと思ったが、
この時間に、もうすでに、私の前に6人が来ていたのだ。(笑)
当日券の発売は7時半からとのことで、
それまでは車で待機。(寝てた)
当日券の人は、前売券を買っていた人の後からの入場ということで、
〈あまり良い席は確保できないかな~〉
と思っていたが、まずまずの席をゲットできた。










9:05
新鋭作品上映
藤元明緒監督作品『僕の帰る場所』
第30回東京国際映画祭(2017) アジアの未来部門に選出され、
作品賞(グランプリ)と特別賞(監督賞)のダブル受賞している。


祖国を離れ日本に暮らす4人のミャンマー人一家。
母国語を話せず日本人のように暮らしている幼い兄弟。
ミャンマーに帰りたいと日々考えている母。
生活のため、仕事のある日本から離れられない父。
そんな彼らのもとに届いたある通知が家族の運命を変えていく……



主演の家族をはじめ、
出演者の多くに演技経験のないミャンマー人キャストを起用しているので、
一見、ドキュメンタリー映画のように見えるが、
それぞれがちゃんと演技をしているという驚きの映画。


映画終了後、藤元明緒監督を招いてのティーチイン。
詳しく書くと長くなるので、いずれ機会を見つけてレビューを書きたい。


12:00
斎藤工監督作品『blank13』(2018年2月3日公開作品)


世界の映画祭で絶賛され数々の賞に輝いた斎藤工の監督デビュー作。
人間が最期の別れの時に知る人生や感じる想いを描いた感動作で、
高橋一生、リリー・フランキー、神野美鈴などの他に、
斎藤工自身も出演している。


ギャンブルに溺れ、借金を残して蒸発し、13年間音信不通だった父(リリー・フランキー)が、
余命3か月で見つかった。
母(神野三鈴)と兄(斎藤工)は見舞いを拒否したが、
コウジ(高橋一生)は子供の頃キャッチボールをしてくれた優しい父を思い、入院先を訪ねる。
しかし金を工面している父の姿に失望し、
家族の溝は埋まらないまま、父はこの世を去った。
葬式に参列するのは、数少ない友人たち。
彼らが語る父のエピソードによって、
コウジは家族の誰も知らなかった父の真実を知り、
13年間の空白が少しずつ埋まっていく……



この映画も、上映終了後、斎藤工監督を招いてのティーチインがあった。
その内容も含め、この作品についても後日レビューを書きたい。
(俳優たちの写真撮影は禁止だったので、以降の写真は撮っていない)

13:50
映画『メイン・テーマ』(1984年)


森田芳光が脚本と監督を務め、
薬師丸ひろ子が主演を果たした映画。
相手役の野村宏伸はオーディションで選ばれた新人だった。
映画と同題の主題歌が大ヒットしたことでも知られている。

小笠原しぶき(薬師丸ひろ子)は、
マジックを修行している大東島健(野村宏伸)と出会い、
彼の車で旅に出ることにした。
しぶきの目的地は大阪、
健の目的地は沖縄だ。
気の合わない二人は、旅の途中で喧嘩ばかり。
浜松で健の叔父のマジックショーがあり、しぶきはその手伝いをする羽目に。
しかし健はショーの間、伊勢雅世子(桃井かおり)というジャズシンガーと会っていた。
雅世子にぞっこんな健を見て、しぶきは嫉妬する。
車は大阪に着き、二人は別れた。
しかししぶきは健のことが気にかかり、姉夫婦が住む沖縄へ旅立っていく。



この映画上映の後も、
まず、薬師丸ひろ子を招いてのティーチインがあった。
行定監督が、
「角川映画の中でも私はこの作品が一番好きだ」
と語るほどイチオシの映画だそうで、
尊敬する森田芳光監督のウィットに富んだ演出と、
薬師丸ひろ子の“永遠の輝き”とも言うべき美しさが堪能できる作品とのこと。


薬師丸ひろ子の主演作というと、
アイドル映画のようなイメージを持つ人が多いと思うが、
実際はかなり違っている。
『セーラー服と機関銃』で相米慎二監督がやったことと同じように、
森田芳光監督も『メイン・テーマ』で、かなりハチャメチャなことをやっている。
「でも、素晴らしい映画」なのだ。
薬師丸ひろ子自身も、後ろの方の席で映画を見ていたそうで、
「こんな映画だったんですね」
「太田裕美さんは、私のお姉さんの役だったのですね!」
と観客の笑いを誘う。
「当時はすごい人気でしたよね」
との質問に、

撮影現場では、「クズだ」「ゴミだ」「チリだ」と罵倒され続けていたので、自分としては人気があるということがリアルには感じられなかった。ファンの方々が私に抱くイメージと、自分が自身に抱くイメージがかけ離れ過ぎていたように思う。もっと浮かれても良かったのかな?

と答えていた。
映画『メイン・テーマ』については、

篠山紀信さんから、
「本当に素晴らしい作品。この映画がどんなにすごい映画か、判っている?」
と訊かれたことがある。


とか。
また、共演した桃井かおりが、なぜ『メイン・テーマ』に出演したかというと、

桃井かおりさんが松田優作さんから、
「森田芳光監督はすごい監督だから、ぜひ出演してみたら」
と言われたことで、出演を決めたそうです。


など、いろんな話を次々に披露してくれた。
途中から、斎藤工と高良健吾も加わり、
「僕たちの中の青春映画」というテーマで、
スペシャル・トークショーとなり、
こちらの話も面白かった。(写真・熊本日日新聞の記事より)


トークショーの最後に、
行定監督から、薬師丸ひろ子に、
「少しだけでもイイので、歌声を聴かせてもらえませんか?」
とふられ、
「じゃ、歌いましょうか!」
と応じられたので、ちょっとビックリ。
まさか、映画祭で、薬師丸ひろ子のナマの歌声が聴けるとは思わなかった。
観客にリクエストを訊かれ、「Woman "Wの悲劇"より」に決定。
「照明を暗くして下さい」とスタッフにお願いをし、
カラオケの用意もなかったので、アカペラで歌い出された。
その素晴らしい歌声に、
私の目には自然と涙があふれ、
躰が震えるほど感動した。
行定監督は、
「少しだけでもイイので……」
とお願いしたのだが、
薬師丸ひろ子は、なんと、
「Woman "Wの悲劇"より」をフルコーラス歌ってくれたのだ。
歌い終わったときには、
観客はもちろん、
舞台にいる行定監督も、斎藤工も、高良健吾も、
会場にいる映画祭のスタッフも、
すべての人がスタンディングオベーション。
拍手が鳴り止まなかった。(写真・熊本日日新聞の記事より)


行定勲監督作品『今度は愛妻家』(2010年)の撮影後の打ち上げのとき、
誰もが薬師丸ひろ子に歌って欲しいと思っていたが、言い出せずにいたときに、
気配を察して彼女が歌ってくれたのもこの曲で、
そのときも、その場にいた全員が泣いていたそうだ。
とくに号泣していたのが、石橋蓮司だったそうで、
今年(2018年)の薬師丸ひろ子のコンサートのときにも、
(東京の方に)聴きに来ていたそうだ。
行定監督も、私と同じ大阪でのコンサートに行ったとのこと。
誰にとっても、この「Woman "Wの悲劇"より」は特別な曲であったのだ。


16:40
この日、最後の上映作品『Wの悲劇』


薬師丸ひろ子の代表作であり、
澤井信一郎監督の演出と、
女の生々しい感情を魅せる薬師丸ひろ子の演技が素晴らしい。
『セーラー服と機関銃』と並ぶ薬師丸ひろ子主演作品のまぎれもない傑作である。


薬師丸ひろ子のナマ歌を聴いたあとだったので、
感動もひとしおであった。
この映画についても、
いつか本格的に論じてみたいと思う。


薬師丸ひろ子の主演作で、
スクリーンで見たいと思っていた2作品を見ることができ、
薬師丸ひろ子の話が聴けて、
彼女のナマ歌まで聴くことができた。
あのアカペラで歌った「Woman "Wの悲劇"より」は、
薬師丸ひろ子のファンのみならず、
「くまもと復興映画祭2018 Powered by 菊池映画祭」においても、
きっと伝説になるに違いない。
その伝説になる瞬間を目撃できた幸運に感謝したい。


今日も「一日の王」になれました~

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