鈴木愛理を初めて知ったのは、
NHK・Eテレのクラシック音楽番組「クラシックTV」においてだった。
約9年続いた「ららら♪クラシック」のリニューアル番組として、
2021年より木曜日の22:00(現在は21:00)より30分枠でスタートした「クラシックTV」。
その「クラシックTV」で、
ピアニストの清塚信也と共にMCを務めているのが鈴木愛理だったのだ。
調べてみると、鈴木愛理は、
アイドルグループ「℃-ute(キュート)」(2017年に解散)の元メンバーで、
キャピキャピした単なるアイドルかと思いきや、
2013年4月、慶應義塾大学環境情報学部に入学。
2017年3月、同大学卒業。
という経歴が示すように、勉学にも勤しんでいた高学歴アイドルであったのだ。
現在は、歌手、モデル、女優として活躍しているとのこと。
それでも、鈴木愛理は、番組が始まった頃は、クラシックについて、
「1ミリも知らなかった」
という。
本当に初心者中の初心者でした。今も初心者ではあるのですが、番組に携わらせていただく中で、以前に聞いたことのある名前が出てきたり、歴史や、この人とこの人がつながっているんだとか、たくさんのことを知ることができて、ぜいたくな授業を受けているような感覚で、気がつけば家でクラシックを流してみたり(笑)、そのくらい影響を受けています。
例えばクラシックに詳しい方が当たり前のように使っている言葉でも、私みたいな初心者にはまったく通じなかったりするので、きちんと自分は分からないってことを意思表示するようにはしています。どの分野でもあるじゃないですか。そもそもそれが何なのかという疑問。そこを素直に聞くことによって、私も毎回疑問を残さず収録を終えることができますし、自分の中で勝手に分かったふりをして、ただただ収録を重ねるだけでは、私がこの番組にいる意味がなくなってしまうので、常に初心でいるってことは心がけています。(「MANTANWEB」インタビューより)
と語るように、
鈴木愛理がいることによって、
クラシック初心者でもクラシック音楽に親しむことができる仕組みになっているのだ。
女性ファッション誌などでモデルもしている鈴木愛理は、
番組衣装について、
「このままクラシックのコンサートに行っても大丈夫」
というくらいの「品の良さ」を意識しているとか。
なので、私としては、この番組での彼女のファッションも楽しみのひとつであった。
そんな鈴木愛理がYOASOBIの「アイドル」をカバーしている動画を偶然見つけた。
オリジナルであるYOASOBIの「アイドル」は、
アニメ『推しの子』のオープニングテーマ曲として注目を集め、
YouTubeで公開されたMVは再生回数1.4億回を超え、
6月6日にはアメリカのビルボード・グローバル・チャートで(日本語の楽曲として初の)1位となる快挙を成し遂げている。
私もこのYOASOBIの「アイドル」は大好きで、もう何度も聴いているが、
これまでのJ-POPとは一線を画した、
〈YOASOBIのボーカル、ikuraにしか歌えないのではないか……〉
と思われるほどのハイレベルな難曲で、
このYOASOBIの「アイドル」を鈴木愛理がカバーしていることに、
とても驚かされたのだ。
〈ikuraにしか歌えないのではないか……〉
と思っていたし、失礼ながら、
〈まさか鈴木愛理が……〉
と思っていたからだ。
だが、聴いてビックリ。
これが素晴らしかったのだ。
単にカバーしているだけではなく、
アイドルとして、アイドルらしく歌って踊って「アイドル」を歌っているので、
Ikuraのモノマネではない、
(鈴木愛理自身の)持ち歌のようにカバーしていたのだ。
私など本家のIkuraよりも魅了されたといっていい。
むしろ、こちらがオリジナルのようにさえ思えた。(コラコラ)
これまでは「クラシックTV」のMCとしてだけ彼女を観ていたのだが、
認識を改めさせられた。
YOASOBIの「アイドル」は、
天才的な“完璧なアイドル” “最強のアイドル”鈴木愛理によって、
真の意味で楽曲が完成したと言えるのではないだろうか……