MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ドローン・オブ・ウォー』

2015-10-06 00:55:55 | goo映画レビュー

原題:『Good Kill』
監督:アンドリュー・ニコル
脚本:アンドリュー・ニコル
撮影:アミール・モクリ
出演:イーサン・ホーク/ブルース・グリーンウッド/ゾーイ・クラヴィッツ/ジェイク・アベル
2014年/アメリカ

「シューティングゲーム」の残酷さについて

 主人公でアメリカ空軍所属のトーマス・イーガン少佐は、自国アメリカのラスベガスの基地にいながら無人機ドローンの「パイロット」としてアフガニスタンのタリバンに日々攻撃をしかけている。それはまるでコンピュータのシューティングゲームのようで痛みを伴うような反撃をされることがないために気楽に戦えるように見えるのであるが、あくまでもイーガン少佐は「実戦」を望む。
 しかしイーガン少佐が「実戦」を望む理由は、兵士としての矜持の問題ではないと思う。実戦であるならば、イーガン少佐は自分の判断で目の前の敵を倒せば済む話であるが、リアルな「シューティングゲーム」は余りにも戦況が見えすぎるのである。つまり実戦ならば見ることもないはずの誤爆や民間人の死者数がはっきりと分かってしまう。さらに上からの命令通りに戦わなければならないために、女性を強姦している本当に悪い男を懲らしめることさえできず、戦地にいるわけではないために任務が終わるとすぐに妻のモリ―と2人の幼い娘と共に普通の生活に戻らなければならないために、実戦よりも心的負担は大きくなるばかりである。イーガン少佐が出した結論は本当に悪い奴を殺して規律違反で解雇させられるという皮肉なものだった。タイトルの「Good Kill」は「一掃した」と訳されていたが、「きれいに抹殺した」という訳の方が真意が汲み取れると思う。


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