原題:『ハピネス』
監督:篠原哲雄
脚本:川﨑いずみ
撮影:鶴崎直樹
出演:窪塚愛流/蒔田彩珠/橋本愛/山崎まさよし/吉田羊
2024年/日本
死の悲しみを相殺させるロリータファッションについて
冒頭から主人公で高校生の山岸由茉が恋人で同級生の国木田雪夫に自身の余命宣告をする場面が映される。実は由茉は生まれつき心臓に持病を抱えており、悪化したことであと1週間しか生きられないと医師に言われたのである。
その後は、由茉のやりたいことをするために二人で時を過ごしながらロリータファッションに身を包み大阪本店の「Innocent World」を訪れ、資生堂パーラーの「スペシャルカレー」を堪能し、最期は雪夫の部屋で迎えることになるのである。
まるでロリータファッションで高揚することで死の悲しみを相殺させるような感じを抱いた。実際に本作は「難病もの」の部類の作品のはずなのだが、それほどの悲壮感は感じなかったのだが、ただ由茉の父親の山岸英生を演じた山崎まさよしの演技だけが一人浮いていた。『月とキャベツ』(1996年)や『影踏み』(2019年)で主演を演じてもらった縁があったからだろうが、作品そのものが損なわれるのではないかと憂うほど酷すぎた。