原題:『湖の女たち』
監督:大森立嗣
脚本:大森立嗣
撮影:辻智彦
出演:福士蒼汰/松本まりか/浅野忠信/福地桃子/北香那/土屋希乃/近藤芳正/平田満/根岸季衣/菅原大吉/財前直見/三田佳子
2024年/日本
好奇心による「人体実験」について
メインとなる事件は3つある。高齢者施設の「もみじ園」で100歳の市島民男が人工呼吸器の異常で亡くなった原因の究明に乗り出した記者の池田由季が民男の妻の松江から聞いた、終戦一年前に中国のハルビンの平房湖で少年兵の宮森勲を含む少年兵士たちと一緒に雪が積もった湖面の上を数名のロシア人少女たちと一人の日本人少年が小屋に連れて行かれる様子である。そこで日本人少年はロシア人少女たちと無理矢理性交させるような実験をしていたのである。
もう一つは「もみじ園」に勤めている介護施設職員で主人公の豊田佳代と刑事の伊佐美佑と部下の濱中圭介の奇妙な性的関係で、西湖という湖近辺で起こっている。この性的な「奇妙さ」は奇妙であればあるほど高揚して死ぬまで止められないであろう。
最後の一つは同じ施設の介護施設職員の服部久美子の孫娘で中学生の服部三葉が男性の友人たちと施設に侵入して市島民男が人工呼吸器を操作したのではないかという疑惑である。
まるで本作は湖を舞台に「人体実験」と性の境界線の不明瞭さを好奇心という観点から告発しているように見える。そしてその「人体実験」は子供たちに受け継がれ、結局大人が、当時子供だった大人も含めてその代償を支払わなければならなくなるという構図が透けて見えてくるのである。
ストーリーとは全く関係ないのだが、湖岸で濱中が佳代に自慰を強要し、佳代は濱中の方に頭を向けて自慰行為をしているのだが、肝心の部分が見えなくなるから体位が逆だと思う。