MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『燃える上海』

2018-06-24 00:29:04 | goo映画レビュー

原題:『燃える上海』
監督:今泉善珠
脚本:吉村公三郎
撮影:牛山邦一
出演:山村聡/川路龍子/森雅之/原保美/岸旗江/神田隆/中原早苗/殿山泰司/柳永二郎
1954年/日本

なかなか見分けにくい「麗人たち」について

 舞台は1932年初春の上海。作家の村松梢風が川島芳子を取材しようと訪れていた上海の夜の公園で李明華が娼婦のような感じで中国語で話しかけてくる。最初は李明華が言っていることが分からず黙っていた村松に急に日本語で話し出した李明華の意図がよく分からない。
 村松が特務機関員の田中少佐の家に訪れた際に、なんとそこまで車で送ってくれた運転手が川島芳子だったのである。芳子は金璧輝という中国名を持ち清朝の王女で、清朝復辟のために同じ境遇の羅権と組んで日本軍を利用して国民政府を倒そうと目論んでいるのだが、羅権は日本軍に加担することには反対の立場だった。
 日本のスパイの呉夫人は羅権を追って彼らのアジトに忍び込んでいたのだが、正体がバレて逃走する際に、芳子の車に乗せられて助かる。この時、まだ芳子は日本軍から関係を切られることを知らない。
 村松は怪我人を介抱している女性に会ったのだが、それは羅権の妹の羅並芳だった。妹から上層部の指令を受け取った羅権が運転する車を芳子が車で追い、その芳子を呉夫人が車で追う。
 芳子が村松に羅権たちの鉄橋爆破計画を知らせたことでその計画は失敗に終わり、芳子から聞いた羅権は激怒して袂を分かつ。
 国民政府と十九路軍が停戦したことで日本軍は芳子を必要としなくなったが、そのように主張する平川大将に対して田中少佐は芳子に情があった。
 芳子は便衣隊の杜月笙と組んで日本軍人を次々と襲撃する。日本軍戦勝記念祝賀会の日(昭和6年4月25日に催されているのだが、そうなると1932年ではなくなるためここは明らかに間違っている)に群衆に紛れ込んでいた杜月笙が壇上に爆弾を投げて大将たちを殺してしまう。
 その直後、芳子のもとに日本軍が逮捕しに来るのだが、彼女の逮捕を防いだのは田中少佐で、芳子は蒙古に行くように命じられる。つまり仲間であるはずの羅権とは仲たがいしてしまうのに、敵の田中少佐に助けられるという皮肉が本作の肝なのだと思う。
 出立の日に芳子は村松と会い、風見鶏に向かって乾杯するのであるが、次のラストシーンでは1948年3月25日の北京になり、死刑場で芳子は銃殺されるのである。
 このようにあらすじを書いてみたのだが、上映時間85分内で映像が荒く人物が判別しづらいために、ストーリーが上手く把握できない。そもそも村松が川島芳子にほとんど取材していないのが何とも解せないのであるが、川島芳子を演じた川路龍子はかなり川島に似ていると思う。


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