MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ミンナのウタ』

2023-10-21 00:59:24 | goo映画レビュー

原題:『ミンナのウタ』
監督:清水崇
脚本:角田ルミ/清水崇
撮影:大内泰
出演:白濱亜嵐/片寄涼太/小森隼/佐野玲於/関口メンディー/中務裕太/数原龍友/早見あかり/穂紫朋子/天野はな/山川真里果/マキタスポーツ
2023年/日本

VRよりのカセットテープのリアリティについて

 清水崇監督の前作『忌怪島/きかいじま』(2023年)はお世辞にも佳作とは言えないものだったが、本作が成功していると思う理由は、『忌怪島/きかいじま』がフォークロアをベースにしてVRも取り込んだもので話が大きくなり過ぎた結果、上手くまとめられなかったように見えるが、本作は高谷さなという個人の恨みに端を発した物語であり、さらに主要登場人物が実在する人物であるためにリアリティが感じられる点にあると思う。
 そして何よりも被害者のように見えた高谷さなが実は被害者を装っていた加害者で、最後に自分の目的を達したというオチが秀逸だと思う。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/otocoto/entertainment/otocoto-otocoto_107288


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『忌怪島/きかいじま』

2023-10-20 00:56:23 | goo映画レビュー

原題:『忌怪島/きかいじま』
監督:清水崇
脚本:清水崇/いながききよたか
撮影:伊集守忠
出演:西畑大吾/生駒里奈/平岡祐太/水石亜飛夢/川添野愛/伊藤歩/山本美月/當真あみ/なだぎ武/笹野高史/祷キララ
2023年/日本

VRを活かしきれないホラー映画について

 主人公の片岡友彦は天才脳科学者と呼ばれ、忌怪島において「シンセカイ」と呼ばれるVR開発チームに参加することになり、忌怪島そのものを仮想空間として再現することに成功する。
 そこに現れたのは「イマジョ」と呼ばれる島で迫害された女性の怨霊で、チームに参加していたメンバーが「イマジョ」に殺されたことがVRに映されていたのである。「イマジョ」を仮想空間に閉じ込めるために、その出入り口となる赤い鳥居を燃やすものの、主人公の友彦と園田環も結果的に閉じ込められていたというオチなのだが、2人は忌怪島から出る船に乗っているので、一体どこまで仮想空間は続いているのかという感じである。
 しかし意外と怖いのが、ラストシーンにおいて岸辺で歌を歌っていた金城リンが立ち上がって海の方へ歩いて行き、そのまま海中に入ったまま戻って来ないシーンで、VRを駆使するよりも普段の生活内で起こる異常さの方が本当に怖いという皮肉は効いている。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/walkerplus/trend/walkerplus-1144871


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『Winny』

2023-10-19 00:58:27 | goo映画レビュー

原題:『Winny』
監督:松本優作
脚本:松本優作/岸建太朗
撮影:岸建太朗
出演:東出昌大/三浦貴大/皆川猿時/和田正人/木竜麻生/池田大/金子大地/渡辺いっけい/吹越満/吉岡秀隆/吉田羊
2023年/日本

日本のIT産業の停滞の元凶について

 「Winny事件」に関してはあまりよく知らないのだが、Winny開発者の金子勇が著作権侵害幇助の容疑で逮捕された原因として、当時の京都府警や愛媛県警の「裏金問題」があり、愛媛県警巡査部長である仙波敏郎は結局は記者会見で内部告発をしたものの、Winnyを使って内部情報を匿名で流出されてしまうと「悪い事」ができなくなるという危機感があり、それが勇み足となったように思う。
 金子勇の逮捕は2004年5月なのだが、翌年にYouTube(ユーチューブ)か台頭してくるというのは皮肉な話で、YouTubeの設立者であるチャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリムが逮捕されるということはなかったようで、さらに不運なのは逮捕されたために孤軍奮闘の金子はWinnyを改善することさえ禁じられたことで、日本のIT産業の停滞の一因であることは間違いないと思う。
 不幸なことに金子は2013年に急性心筋梗塞で42歳で亡くなるのだが、裁判のストレスに加えて、ジャンクフードと運動不足も要因としてあるような気がする。
 「Winny事件」を知るには格好の作品ではあるが、映画としての醍醐味を感じるかどうかは微妙なところである。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/hochi/entertainment/hochi-20230311-OHT1T51105


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『犬、回転して、逃げる』

2023-10-18 00:59:43 | goo映画レビュー

原題:『犬、回転して、逃げる』
監督:西垣匡基
脚本:西垣匡基
撮影:田中安奈
出演:長妻怜央/宮澤佐江/なだぎ武/中村歌昇/三戸杏琉/高橋怜也/ワタリ119/仁科亜季子/登坂淳一
2023年/日本

コメディと「ユルさ」の関係について

 主人公の木梨栄木は元々は物見達也の下で泥棒をしていたものの、独立してカフェの店員をしながら相変わらず泥棒を続けている。泥棒先は眉村ゆずきが住むマンションで、預金通帳の他に彼女が書いた習字なども奪って行くのだが、その眉村は婦人警官をしながら爆弾予告魔で、元因貴は入水自殺をしようとしているところに先に真鍋という子供が入っていて家に連れて帰ったら誘拐犯になってしまい、元因が「爆弾」だと言って子供に託されて真鍋の家にもって行くのだが、渡した相手は警察官の服装をまとっていた木梨である。木梨が眉村の家に空き巣に入ったということは物見にバレており、実は眉村に部屋には父親によって本人に気づかれないように監視カメラが付けられていたのである。彼らの間を「天然君」と呼ばれる木梨が飼っている犬がうろついている感じである。
 見ようによってはフランスのヌーベルバーグ作品のように見えなくはないのだが、例えば、作品の冒頭で木梨がレジを任されており、客として来ていた高齢の女性が10円で払っている間にレジが混んできて、別の店員が他のレジを開けて残りの客の対応をするのだが、カットが変わるといつの間にか高齢の女性客がいなくなっておりわざわざ別のレジを開ける必要などなくなっているのである。アフレコの眉村を演じた宮澤佐江のリップシンクが合っておらず、演出に緊張感が全く感じられなかった。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/nikkangeinou/entertainment/f-et-tp1-230318-202303170000750


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『Gメン』

2023-10-17 00:59:33 | goo映画レビュー

原題:『Gメン』
監督:瑠東東一郎
脚本:加藤正人/丸尾丸一郎
撮影:髙野学
出演:岸優太/竜星涼/恒松祐里/矢本悠馬/森本慎太郎/りんたろー/高良健吾/大東駿介/吉岡里帆/尾上松也/田中圭
2023年/日本

個人PVを免れさせたエキセントリックな演技について

 本来ならばKing & Princeのメンバーとしての岸優太のプロモーション作品として制作されたと思うが、2023年5月にグループを脱退したために中途半端な感じになってしまっていると思う。
 だからアドリブを取り入れながら上手く演出されているとしても、『Gメン』という原作漫画を知らなければ、その「内輪ノリ」について行けない観客もいるとは思うが、唯一の救いだったのは教員の雨宮瞳を演じた吉岡里帆のエキセントリックな演技で、吉岡里帆によって本作は岸優太の個人PVから辛うじて逃れているということは断言しておきたい。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1154020


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『BAD LANDS バッド・ランズ』

2023-10-16 00:58:14 | goo映画レビュー

原題:『BAD LANDS バッド・ランズ』
監督:原田眞人
脚本:原田眞人
撮影:北信康
出演:安藤サクラ/山田涼介/生瀬勝久/吉原光夫/大場泰正/淵上泰史/縄田カノン/前田航基/サリngROCK/天童よしみ/江口のりこ/宇崎竜童
2023年/日本

愛すべきワルたちの物語について

 「ピカレスクロマン」と呼ばれる本作で描かれていることは、殺人や虐待など残虐なシーンに、例えば、520万円を引き出させた高齢女性を巡る主人公の橋岡煉梨(ネリ)の詐欺グループと警察の心理戦や、実の父親でもある高城政司を殺した後に彼の事務所でただ実印と銀行の暗証番号を探すネリと矢代穣(ジョー)や、2憶円という大金を海外に送金するためにネリと林田がパソコンのキーボードを叩くだけという「脱力」シーンをその合間に加えることで緩急をつけ、クライマックスで起こるジョーの行動(ツンデレ?)や上松(曼荼羅)の行動(偽装の幻覚症状?)の意外性を伴い、固定カメラを基本としながらハンディカメラの様々なイレギュラーな画面を取り入れ、ラストのネリの疾走感まで、これぞ映画だと感嘆してしまう。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1160496


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『こんにちは、母さん』

2023-10-15 00:56:31 | goo映画レビュー

原題:『こんにちは、母さん』
監督:山田洋次
脚本:山田洋次/朝原雄三
撮影:近森眞史
出演:吉永小百合/大泉洋/永野芽郁/寺尾聰/宮藤官九郎/加藤ローサ/田口浩正/枝元萌/田中泯/YOU
2023年/日本

「火」を巡る物語について

 作品冒頭からところどころ挟まれる東京スカイツリーを始めとするビル群がとても印象的なのだが、それはおそらく敢えてホームレスとして暮らしているイノさん(井上)が遭った東京大空襲で当時廃墟と化した同じ場所と対照させるためであろうし、多くの人々がアメリカ空軍による攻撃の火の粉から逃れようと川に飛び込み亡くなったことを忘れられないために、イノさんは国にはもちろん教会にも助けを求めないのである。
 しかしそれでは何の救いもなくなってしまう。だからラストで映されるのが2023年7月29日に開催された隅田川花火大会の花火なのだと思う。「火」が避けられないのであるならば、砲火ではなく花火をというささやかな願いが込められているように思うのである。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/thetv/entertainment/thetv-1157010


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『沈黙の艦隊』

2023-10-14 00:58:31 | goo映画レビュー

原題:『沈黙の艦隊』
監督:吉野耕平
脚本:高井光
撮影:小宮山充
出演:大沢たかお/玉木宏/上戸彩/ユースケ・サンタマリア/中村倫也/水川あさみ/夏川結衣/笹野高史/江口洋介/橋爪功
2023年/日本

潜水艦映画には似合わない画面のサイズについて

 主人公の海江田四郎は日本とアメリカを騙してアメリカ海軍原子力潜水艦「シーバット」の艦長に納まると「独立」を宣言するのだが、本作はいわゆる「エピソード0」の物語で、仮想敵と戦う直前までの海江田の行動が描かれることになる。
 クラシック音楽を使った潜水艦の位置の駆け引きなど決して悪くはないものの、潜水艦以外のシーンなど、例えばアメリカ合衆国大統領も登場するのだが、ホワイトハウスがあんなに狭いのかという疑問が湧いてくるし、なによりも根本的な問題は潜水艦がメインの映画であるにも関わらず、シネマスコープで撮られておらず、アメリカンビスタなのである。そんなバカなことがあるだろうか? Amazonスタジオの製作だからシネマスコープの存在を知らなかったということはないとは思うのだが。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/oricon/entertainment/oricon-2297812


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『アナログ』

2023-10-13 00:59:28 | goo映画レビュー

原題:『アナログ』
監督:タカハタ秀太
脚本:港岳彦
撮影:板倉陽子
出演:二宮和也/波留/桐谷健太/浜野謙太/藤原丈一郎/坂井真紀/筒井真理子/佐津川愛美/鈴木浩介/板谷由夏/高橋惠子/リリー・フランキー
2023年/日本

左手の小指について

 主演の4人のアドリブを交えた演出もリアルで良いし、海岸のシーンはどれも美しくて感銘を受けたのではあるが、どうしても一つだけ納得ができないシーンを記しておきたい。
 主人公の水島悟が美春みゆきの誘いで海岸に行き、その場に捨ててあった凧を上げたり、紙コップに糸を付けて糸電話で二人で会話をする。糸電話が上手く聞こえるために悟はどんどん糸を長くしていくところまではシネマスコープを利用して面白かったのだが、一番長くしたところでみゆきはコップを持っている左手の小指で糸に触れており、それでは悟の声が聞こえなくなるのではないかと思った。実際に悟の声は「心の声」として聞こえたのであるが、みゆきの声が聞こえず、これは何かの伏線だと思ったのであるが、最後には聞こえていたということが分かり、それではみゆきの左手の小指の意味は何だったのか分からないのである。もちろんこれは演者の問題ではなく演出の問題である。
 ところで「ピアノ」の出口の左横にフランス語が書かれている。文章を和訳してみると「ここのコーヒーを僕は欲しくてたまらない(Ce café J’en ai l’eau à la bouche.)」という意味で「エマニュエル」というサインがしてある。そしてその下にもう一文フランス語で書かれていて「僕はお腹がすいてるんだ(J'ai une faim.)」という意味でまた「エマニュエル」のサインがしてある。つまり美味しそうなコーヒーだと思っていたらただ単にお腹がすいていたから美味しかったというギャグなのであるが、ここは面白かった。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/oricon/entertainment/oricon-2298059


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『アスタースクールデイズ』

2023-10-12 12:37:47 | goo映画レビュー

原題:『アスタースクールデイズ』 英題:『Aster School Days』
監督:稲田百音
脚本:稲田百音
撮影:稲田百音
出演:杉山輝/稲田美柚/竹内史生/中村空/石河起/伊藤天生/月崎アリシア/荻野智香/加藤大吉
2020年/日本

意味深なアスターの花言葉について

 成蹊高校の学生が制作したというのだから、完成させただけでも大したものだと評価するべきではあるものの、どうしても気になった点として、主人公で転校生の菊橋奏が自身の花とした選んだアスター(エゾギク)の花言葉は何なのかと思いながら見ていたら、本編で言及無く終わってしまったから、自分で調べてみたら、アスターの代表的な花言葉は「追憶、変化」らしいが、ラストに映されたピンクのアスターの花言葉は「甘い夢」なのである。これをそのまま受け止めるとするならば、これは大胆な「ちゃぶ台返し」に見えなくもなく、だから敢えて言及しなかったのだと思う。


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