完全に油断をしていた。ただのアニメーションではなく『スパイダーマン : アクロス・ザ・スパイダーバース(Spider-Man: Across the Spider-Verse)』(2023年)レベルの、一見荒っぽく見えながら細かいグラフィックを駆使しており、その間に主人公の4人組のカメの忍者が見る実写の映画やクリス・エヴァンス(Chris Evans)などの等身大パネルが映されたりしている。大まかなストーリーは理解できるものの、詳細な情報は一度観ただけではとても全てを把握しきれなくなりつつある。さらに吹き替えを見るとなると元のニュアンスも変わってしまっているだろう。どうしたものか? ウェイン・ニュートンの1963年のヒット曲である。「ダンケ・シェーン」を和訳しておきたい。
上映時間約2時間50分、ほぼ殺し合いのシーンで、その上主人公のジョン・ウィックは車に轢かれても四階から落ちて下に停めてある車にぶつかっても、百段以上は優にある階段から転がり落ちてもかすり傷程度で済んで約束の時間に間に合って到着できることにそれほど違和感を抱かないし、むしろうかつにも楽しんでしまっている原因を勘案してみるならば、RPGゲームの画面を見慣れてしまっているからであろう。 マーサ&ザ・ヴァンデラス(Martha and the Vandellas)が1965年にリリースした「ノーホエア・トゥ・ラン」を和訳しておきたい。
原題:『Three Thousand Years of Longing』 監督:ジョージ・ミラー 脚本:ジョージ・ミラー/オーガスタ・ゴア 撮影:ジョン・シール 出演:イドリス・エルバ/ティルダ・スウィントン/アーミト・ラグム/ニコラス・ムアワッド/ブルク・ゴルゲダール 2022年/アメリカ・オーストラリア
どうしても誤解されるタイトルについて
「アラビアンナイト 三千年の願い」というタイトルが良くないと思うものの、原題も同じニュアンスで内容もそういうことなのだからしょうがないのではあるが、本作は「アラビアンナイト」という神話の物語と誤解されてしまい、興行的にも失敗したと思う。しかし本作はむしろアカデミー賞の作品賞を獲った『シェイプ・オブ・ウォーター(The Shape of Water)』(ギレルモ・デル・トロ監督 2017年)のようなメロドラマで、さらに言うならば「物語論」なのである。だからポスターは思い切って主人公の魔人(ジン)と大学で文学を教えているアリシア・ビニーが一緒にバスローブ姿で座っているシーンを使えば良かったように思う。 しかし二人の新しい夫婦のあり方が「遠距離恋愛」というのは議論が尽くされた割には平凡で、何よりも子供が欲しい時はどうすればいいのかという問題を無視してはいないのだが、やはり難しいテーマではあるのだろう。では何故アリシアはジンに子供が欲しいと願わなかったのか? 面白いシーンがあって、後半の方でアリシアがイギリスのロンドンに戻ってくるのであるが、戻ってきて早々にアリシアは隣人の高齢女性二人と口論する羽目に陥る。その際、その高齢女性の一人が「It's your opinion.」と叫んでおり、これは正確に翻訳すると「それってあなたの感想ですよね」という意味で、どこでも似たようなことを言っているのである。 エンドロールで流れるマッテオ・ボチェッリの「教訓話」を和訳しておきたい。