原題:『Gladiator II』
監督:リドリー・スコット
脚本:デビッド・スカルパ
撮影:ジョン・マシソン
出演:ポール・メスカル/ジョセフ・クイン/フレッド・ヘッキンジャー/ペドロ・パスカル/コニー・ニールセン/デンゼル・ワシントン
2024年/アメリカ
「悪役」の扱い方について
「上映時間約2時間半があっという間に過ぎて行った」と『十一人の賊軍』(白石和彌監督 2024年)のレビューに書いたばかりなのだが、敢えてもう一度書かざるを得ないほど良く出来ていた。さすがにハリウッド映画の制作費の高さによるCGの多用と人海戦術の前に『十一人の賊軍』の画面のスカスカ感は否めない。
しかしストーリーに関して言うならば、本作のゲタとカラカラの双子の皇帝は頭が悪く、主人公のルシアス・ヴェルスとの対比がはっきりしており、分かりやすいと言えば分かりやすいのだが、『十一人の賊軍』の新発田藩の藩主の溝口直正はまだ子供だから仕方がないものの、悪役であるはずの城代家老の溝口内匠が権謀術数を駆使して領地を守るための葛藤の描写は本作よりも優れているのではないだろうか。
それよりも気になるのは戸田奈津子による字幕翻訳で、見間違いでなければ「Port of Rome」も「Outskirts of Rome」も「ローマの郊外」と訳されていた。良いのか?