タイトルを見て、「アレ、シートレールは?」と思った方もいらっしゃいましょう。
が、実は当初より「まず真っ先にサイレンサー」と決めてあったのです。
理由は、ME08(国内限定レーサー)に乗った時に最初に気付いたのが、ミャフリャーの抜けの違いだったから。
明らかに俺の280馬邪は、ミャフリャーの抜けが悪い。
なんだかんだ言ってもやはり俺は音量には気を遣っていて、クローズドコースしか走らないとは言え、他者に迷惑が掛からないようにすべきだと思うが故の造り。ウルサイと自分が疲れるってのもある。
これでもエンジンがノーマルの時は結構調子は良かった。音量もそれほど大きい物では無かったし、上の方でも詰まる感じや抜けすぎた感じは無かった。
280になってからは上の回転域で不満が出てきた。もちろんエンジンのパーツチョイスや細かい仕様、組み方の影響もあろうが、ME08(俺の280馬邪よりもかなりウルサイ)に乗った時に直ぐに感じたのは、ミャフリャーの抜けだったのだ。
当然上手く作れば、現在進行中のプロジェクトである軽量化も同時に果たせる。なので現状を今一度見直すという意味では効果が高いと思われる。
実は現状の280馬邪で使っている自作ミャフリャーには、性能面以外でもいくつかの欠点がある。一つ目はエキパイとミッドパイプのジョイント位置がノーマルと異なる事。当初はノーマルと同位置でのジョイントとするつもりだったのだが、パイプレイアウトを優先するあまりにジョイント位置を変えないとエキパイが取り付け取り外しできなくなってしまったのだ。二つ目は砂を詰めてバーナーで炙って曲げたパイプが、楕円形的に潰れてしまっている事。材料選択上の都合で重くなってしまっている事もそうだし、慣れないパイプの曲げ加工で、見栄えが今ひとつってのもある。
逆に良い所として、サイレンサーのカチ上げ角度に拘ったので(笑)、水平気味に取り付ける他のほとんどの社外品に比べて戦闘的。結果としてパイプレイアウトがなだらかになって古臭い感じが無い。自画自賛(笑)。
それと異常に頑強。A5052よりも一段軟らかいA6063を使用したので強度に不安を感じ、締結部分をやたらゴツく作った。・・・結果、クラッシュ大魔王である俺が使っていても外面に傷が付くだけで曲がらない。A6063でもやり様によっては、強度的に問題は無いという証明ですな。ちなみに市販品でもA6063のサイレンサーは多いと思われる。楕円サイレンサーなんかはみんなA6063じゃないかなあ。
XR250のノーマルミャフリャーは、もっと頑丈。設計の段階でシートレールの補強として強度を期待されていると思われる。手で抉っただけでフニャフニャと動くシートレールに対し、ノーマルミャフリャーはビクともしない。社外品のミャフリャーはサイレンサー本体とミッドパイプが別体(スプリングなどで外れ防止)の物が多い。コレはバイクとミャフリャーの個体差を吸収するためとリペア性の向上のためと思われるが、シートレールの補強としては全く役に立たない。
さて、エキパイはまたいずれ作り直すとして、今回はサイレンサーのみ。ジョイント位置の違いはカラーを製作して対処する予定。
軽く製作するためにサイレンサー本体はカーボンにする。現状はA6063の100φ-3tのところ、内径88φのカーボンパイプをチョイス。径を小さくしたのは、少しでも軽くする為。中身に使うパンチングパイプは内径50.8φとしてトガシエンジニアリングさんで扱っていたものだが、実物を見て少しガッカリ。どうやって作ってあるんだろう・・・とワクワクしていたのだが。実物はパンチング板を三本ローラーで癖を付けたあとで(多分)、手で巻いたと思われる。これなら自分でも作れたなあ。
フロントパイプ・ミッドパイプを含めて、エキパイを製作するためのパイプだが、チタンと迷ったものの結局諸々の都合上でステンレスと決めた。ステンレスパイプは仕事の仕入先からも入手可能なのだが、トガシエンジニアリングさんで扱っている物とは少々ラインナップが異なる。
例を挙げると・・・
34φ-1.0tは在庫を所有。コレは普通にステンレス化粧パイプとして入手できる。
38φ-1.0tも在庫を所有。コレも普通にステンレス化粧パイプとして入手できる。
42.7φは一般規格品で最も薄いのは1.2tであり、これも在庫あり。が、トガシエンジニアリングさんには1.0tがラインナップされている。ちょっと迷ったが、在庫の1.2tで我慢する。
60.5φ。現状の自作ミャフリャーでもチャンバー部分に使用しているのだが、これは偶然道路に落ちているのを拾った物で、1.5t。一般規格品で一番薄いのはこの1.5tである。対してトガシエンジニアリングさんでは1.0tも扱っている。たまたま仕事で某製品(バイク用品ではない)を使用した際、必要があってパイプを切断した。その余りを取っておいたのだが、これの厚みを測ると、ナンと1.2t。多分大量生産するために特別に作った材料なのであろう。
ちなみにステンレスメーカーによっては、「自動車マフラー用」と称して5mm刻みの妙なサイズがラインナップされている場合もある。
ところで、一般的なノーマルサイレンサーがどのような構造をしているかご存知だろうか? 俺は過去に何本かノーマルサイレンサーを切って、中身を見たことがある。
実はノーマルサイレンサーにはあまりグラスウールなどの消音材は使われていない。これは多分、抜けやすいグラスウールを使用すると経年劣化で音が大きくなってしまうためだと思われる。
本当は所有しているMD30のノーマルサイレンサーも切り開いて中身を見たいところなのだが、万一のためにストックしておきたいのでガマン。過去に見たものはみんな内部で一往復半していて、何度も細いパイプを通してチャンバーに入れ、また細いパイプを通り・・・というカンジ。WR250Rの試乗会の記事にカットモデルの写真があり、サイレンサーも写っているのでご参考下さい。キャタライザーの有無の違いはあれど、ほとんど同じような造り。XLRはその割りに非常に軽く出来ていて、感心した(随分前の事なので記憶が薄い・・・)。
ME08(国内レーサー)は全然違っていて、サイレンサー本体がチャンバーの様な空間となっており、エンドピースにはネット(網)のパイプが接続され、先端には隔壁が取り付けられている。しかも出口口径は280馬邪よりも2割ほど大きかった。そりゃ抜けがイイはずだ。
各メーカーからリリースされているミャフリャーの重量(公表されているものもある)は、一般的なSUSパイプ+アルミサイレンサーのもので2kg程度のようだ。
対するノーマルは3.8kg。 ※俺が所有する初期型のものを体重計で量った数値。某メーカーの資料では『ノーマルサイレンサーは4.4kg』と書いてあった。途中で一度サイレンサーは変更されているようだが、そんなに違うかなあ・・・?
俺の自作サイレンサーは1.8kg。チタンのミッドパイプ+サイレンサーの某メーカー物で1kg台前半のようなので、恐らく1kgを切るのは無理だろうが、新作は目標1.2kg。
達成できるか?