正吉君の自転車の製作を始める。
俺が「ペダル無しの自転車」を作る上で、工作技術と設備の都合上製作不可能なのがステムシャフトである。 ※タイヤやホイール、ベアリングとかの既製品を使うのが当たり前な物を除く
なので他の自転車の物を流用する必要がある。
コレは数年前に拾った自転車。パクってきた訳ではありませんよ、粗大ゴミの時に拾ってきた正真正銘由緒正しき自転車である。
元々はビーチクルーザーっぽいオシャレな自転車を作ろうと思って拾ってきたものの、このまま放置すれば再び粗大ゴミ置き場行きとなる事は間違いない。君には正吉君用の自転車のドナーになってもらおう。
ステムシャフト以外を完全オリジナルにしたいところだが、手間の問題もあるので使えるところは極力使う事にした。
各部をバッサリと切断して、部品を摘出。
ネックとメインフレームはアルミで作り直したかったのだが、ベアリングレースを打ち込む部分の製作に旋盤を回す必要が生じる。面倒臭いのでそのまま使用する事にした。ビール好きの父を許せ、正吉君。
参考の為にこの時点での重さ・・・タイヤとメインフレーム、ハンドルポストとハンドルバー等の主要部品の重量を量ってみた。
4.2kg。
PacificのCarryKidsで5.7kgとの事(ペダルを装着した状態と思われる。しかもブレーキなども付いた状態)なので、正吉君スペシャルは残念ながら然程軽く製作する事はできないだろう。
ホイールのアクスル部分のプレートは、キャスターの金物から切り出した。
コレはシャフトの周り止めの爪が引っ掛かる形状の穴を開けるのが面倒だったから。無精な父を許せ、正吉君。前後左右の4枚をまとめて整形。
フロントフォークステムは6mmの鉄板から切り出して製作した。
ちょっと考えて、フォークオフセットはゼロ。BMXなんかはフォークオフセットがゼロだったりするが、大抵の場合はアクスルをオフセットしてトレールを稼いでいる。正吉君SPLはアクスルのオフセットもゼロ。何故そういう判断をしたのかというと、ブレーキワイヤーなどが無いのでステアリングが360°回転してしまい、前後が関係なくなってしまうだろうから。ハンドリングがどうなるかは不明だが、正吉君にインプレッションしてもらおう。的確な判断を頼んだぞ、正吉君。
コレにフロントフォークをTIG溶接。
サドルは表皮が破れていたので、張り替えれないかと思って剥がしてみたところ、ちょっと困難な事が判明。
仕方が無いので近所のサイクルベースあさひにて買ってきた。ついでにグリップも新品購入。
喜べ、正吉君、新品だぞ。合計¥2000弱。
リヤアームは適当な丸パイプに砂を詰めて手曲げ。
砂は篩に掛けて乾燥させたパイプ曲げ用に取り置きしてある物を使用。元々は単なるセメントを捏ねる為の砂。
リヤアームの溶接時に構成上センターを出すのにちょっと苦労してしまった。最後は微妙なところで妥協。酔っ払って判断が鈍っている父を許せ、正吉君。
とりあえず仮組みしたのがコレ。
全長で58cmくらいという極小サイズ。PacificのCarryKidsで全長75cmとの事なので、正吉君スペシャルが如何に小さいかがお分かりいただけるかと思う。
正吉君の股下は実測で20cmくらい。出来る事ならばそれくらいまでシート高を下げたかったのだが、残念ながらソコまでは無理であった。何せタイヤの直径で既に20cm近いのだ。シート高は実測で25cmを越えてしまった。加工技術の甘い父を許せ、正吉君。
全く乗ることができない自転車を作ってもしょうがないので、確認のために一旦正吉君に跨らせてみる。
ここ数日で何センチか足が伸びたのか(笑)? なんとか爪先だけは付くようだ。足が長くなればジャニーズ入りは濃厚だぞ、正吉君。
正吉君は最初は跨るのを嫌がっていたが、暫くすると気に入ってしまったようだ。父の偉大さを思い知ったか、正吉君。
まあ俺自身がライディングテクニックを持っているワケではないので、当然正吉君にもライディングなんか教えられない。でもまあ横峯パパのようなケースもある。きっと子供はみんな、親の情熱くらいは受け入れてくれるだろう。
同じような事を考えて、同じような物を作った人は他にもいると思うので、「一番」ではない筈だけど・・・敢えて言ってしまおう。コレが世界で最も小さい子向けの自転車になるであろう、と。国際A級養成ギブスだ。星一徹と同じように、俺もちゃぶ台を引っくり返すぜ!! アッ、今は俺んちにゃちゃぶ台が無ェわ。今度買って来よう(ウソ)。
この後、ハンドル周りの加工を済ませてから仕上げに入る。暫し待て、正吉君。
念のため書いておきますと、「正吉君」ってのは本名じゃありませんヨw