THE FOURTH PARTY

チョイ毒エッセイのようなもの。コメント欄でのやりとりはしません。用事がある人のみ書き込んでくだされ。

KICK ASS or KICK ASS or KICK ASS

2018-06-15 10:37:12 | 神様がくれたもの
正吉君が突然聞いてきた。
「今度のレースのときって、泊まるの?」

今度のレース? 中部戦イナベのことか?

「レース? エントリーするつもり無ぇぞ。絶対雨降るし。出たいのか?」

「うん」

どうやら、自分だけ出場しないと、他の子たちがどんどん速くなってしまうのを心配しているようだ。
しかし、俺自身にやる気が無い(笑)。
やる気が無いというより、出てもどうせロクな走りをしないだろうなぁ、と。
そうなると、俺も嫌な気分になるし、俺が怒れば正吉君も嫌な気分になるだろう。

「この時期だから、絶対に雨が降ってドロドロになると思っておいた方がいい。それでも出るなら、あらためて俺に言えよ」

これを理解できたかできなかったか、ずっと何も言わない。
エントリー締め切り当日朝になり、さすがに痺れを切らせて俺から念押しした。
結局、ドロドロでも走るというので、エントリーすることに。

ここ数ヶ月。色々と考えていて、正吉君のウイークポイントが分かってきた。
いや、以前から分かっていたんだけど、あらためてハッキリと認識した。

正吉君は、自分の意思というものが、恐ろしく希薄だということだ。

人間は誰でも嫌いなものや苦手なものがある。
それらに触れずに生きていけるものなら、わざわざ苦手なものをやる必要は無いと思う。
例えば俺は食べ物に好き嫌いがないけど、唯一食べられないのがゲテモノ。見た目でやられてしまうので、食べられない。
しかし、ゲテモノなんぞ食べられなくても日本での生活上は全く問題ない。
ま、いざとなったら目ぇ瞑って食うだけだ。

しかし、勉強は別だ。勉強が嫌いでも、学校に行っている限りは勉強をしなければならない。
小学校高学年になると、このあたりが自分で分かってくるので、みんなそれなりに勉強するようになるはずだ。点数やクオリティは別の話ね。
勉強だけじゃない。スポーツ、仕事、食事、常識的な生活面、最低限の人付き合いなどなど。嫌でもやらなきゃいけないことは、山ほどある。
それらをやらなくても済むのは、せいぜい幼稚園・保育園まで。小学校は云わば、そういったことを学ぶ場である。

また、嫌なことを後回しにしてしまって一回怒られたら、せめて次の日くらいはちゃんとやろうとするだろう。
正吉君は、やらない。

毎朝、10分間ランニングをさせている。始めてから数年になる。
ランニングで体を鍛えさせようというよりも、日課としてきちんと取り組むことや、モトクロスや他のスポーツへのモチベーションの維持が狙い。
ところが正吉君本人の取り組みは、超チャランポランだ。

なかなか戻ってこないので、どこに行ったかと見に行ったら、こっそり隠れてサボっていたことが5回や10回ではない。
一度見つかると、次は隠れる場所を変える。

今日は、玄関を出て数秒で戻ってきたので「どうした」と聞いたら、「雨が降ってる」と。
見るとポツッときた程度なので、このくらいだったら行って来いと言ってやった。

またすぐに戻ってきた。雨が強くなってきた、だと。
全然降ってない。降ってるうちに入らない。
服が濡れてしまったら、帰ったらすぐに着替えればいい、と激をとばした。

玄関を出て行ってしばらく経ち、何となく気になって見に行ったら、やはり陰に隠れてサボっていた。

正吉君は、モトクロスやその他のスポーツに関して、そこそこセンスのある方だと思っている。しかし、コンディションの悪い時や、肝心の場面でパフォーマンスを発揮できない理由は、まさにこういった部分からだろう。
トレーニングは俺に言われてやるものではなく、自分の意思、、、とどのつまりは「正吉君がやりたいからやるもの」であるはずだ。

正吉君が自分で意識改革しないと、今後一切の上達は望めないと思う。

これが、単に本人の性格なのか、生まれつき背負ったハンデによるものなのかは分からない。
正直なところちょっと病的なレベルなので、因果関係が全く無いということはないんじゃないかな。

これ以上俺に何をやれっつーんだ。
そりゃ回し蹴りくらいしたくなるって。

『キック・アス』
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする