井上靖の「氷壁」を読んだ。井上靖の作品は、初めてだった。
きっかけは、山登りの本の中で、おすすめのひとつだったためだ。
一番のお勧めは、「アンナプルナ登頂」だったが、何と、小学校の
図書館で読んだ記憶があった。エベレスト登頂と一冊になってたのだが、
アンナプルナ登頂の方が、高いエベレストより、大変で、凍傷の
恐ろしさが記憶によみがえる。
映画も好きで、「神々の山嶺」,「八甲田山」,「劔岳 点の記」と
いったところを見たことがある。どれも映画館ではなかったが。
「神々の山嶺」は、漫画でも第一巻だけ読んだ。
そういうことで、山はミステリーというカテゴリーを立ち上げることにした。
さて「氷壁」だが、切れるはずのないナイロンザイルが切れて墜死した友人の
ために、真相を求める主人公の物語だ。
それには、美貌の人妻との不倫も絡んでくる。
全体としてよくできているし、登場人物が、非常に興味深い。
この本は昭和38年発行なので、50年以上前の作品なわけだが、まったく、
古さを感じないのが不思議だった。又、偶然にも、遭難が起きたのが、私が生まれた
月との設定には、更に驚かされた。
恋愛、男同士の友情、山への思いなどが、ドラマチックに描かれており、
600ページを10日くらいで一気に読んでしまった。
ただ、できれば、主人公は生きて、山から帰ってほしかった。
それが、少し、読後の後味の悪さにつながった。
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