「聖の青春」を書いた大崎氏の「将棋の子」を読んでみた。
将棋のプロになるには、奨励会に入って四段にならなければ
ならない。
しかし、26歳という年齢制限があり、夢破れて奨励会を退会
していった若者を描いたものだ。
何人もの登場人物が出てきて、それぞれのストーリーが語られるが、
主人公である成田氏の人生は壮絶と言えるかもしれない。
羽生世代のような強い棋士が一時期にたくさん出てくると、当然、競争の激化
となり、プロ棋士になれなくなり、挫折感を味わう。
もちろん、将棋に限ったことではない。野球や相撲などのプロスポーツでも
レギュラーに上がれるもの、十両以上に上がれるものはわずかである。
成田氏の場合、両親の病死や、失業などが何重にも重なる。
もちろん、本人の中に、どこか、甘えのようなものもあったのだろう。
それにしても、著者の大崎氏のようなやさしい目を持った方がいるから、
救われるものもいるのだろう。
将棋は厳しさの中にも優しさを教えてくれるもの。という解説の森棋士の
言葉が光る。
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