「未踏蜂」という題の山岳小説は他にもあるようだが、この作品は、
ちょっと違う。
何が、違うかというと、未踏蜂に登山することが主題ではないからだ。
それぞれに問題がある三人が、自分の生きる場所を求めて、山小屋に
住み込みで働くようになる。
そこの主人は、元、世界的な登山家であり、彼らと一緒に
ビンティチュリという6000m級の未踏蜂にチャレンジするための
訓練をする。
しかし、山小屋の主人は、火災に巻き込まれ亡くなってしまう。
冬の富士山など厳しい訓練はしてはいても、リーダーを失った3人は、
予定通り、ヒマラヤの未踏蜂に彼らだけで挑戦するのだろうか?
彼らの抱えている問題は、一般社会で普通に生活することすら難しいものだ。
普通なら、無理だろうと思うところだが、克服してチャレンジする。
最後の解説でも、笹本作品の中で、もっともすがすがしい青さをたたえている。
とあるが、その通りだ。
しかし、今までにないこの青い読後感は悪くないから不思議だ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます