ミステリーな森の生活

洋書ミステリー、英語学習、洋画レビューなどから始めましたが、今は、種々雑多(山岳小説、落語など)です。

第三の時効(横山秀夫)

2012年05月17日 | 国内ミステリー

とにかく久しぶりに感動した。それほど、優れた作品だ。

あとがきの解説を書いた池上氏も同じ意見のようだ。

ファンが集まり、どれがベスト1かという話になると、「半落ち」、
「クライマーズ・ハイ」、「陰の季節」、「動機」があげられるが、
池上氏は、「第三の時効」をベスト1に推すとのことだ。

「クライマーズ・ハイ」は読んでないが、それ以外を読んだ
限りでは、私もまったくの同意見だ。

6つの短編からなるが、どれも、質が高く、素晴らしい。
3つの係の班長が、熾烈なまでに、競い合って、ほしを
100%あげていく男の世界を描いている。

おそらく、自分が今までに読んだ作品の中のトップ10にも
入れたくなる作品だろう。

特に下記4篇が好きだった。

1.沈黙のアリバイ:
二度と笑わないでください。という冒頭の言葉が印象的だ。
F県警強行犯捜査一係の朽木班長の物語だ。

2.第三の時効:
表題作だけのことはある。海外渡航中の期間は、時効期間から
除かれるので、第二の時効と呼ばれているが、第三の時効が
あるのだろうか。冷徹な捜査2係の楠見班長の物語だ。

3.密室の抜け穴:
第三係の村瀬班長が病気の間、代理を務めた東出の物語
だが、実は、村瀬班長が復帰して、その存在感を示す物語
でもある。

4.ペルソナの微笑み
第一係の笑わない朽木班長の部下で、偽りの微笑みの、矢代の
物語だ。矢代というキャラクターがいっぺんに好きになってしまう
作品だ。

 

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