「山は見ていた」とは、何とも、意味深で、目を引く表題だ。
新田次郎の短編集を読んでみた。
15編からの短編集なのだが、何と、山や登山が出てくるのは、
最初の’「山靴」と、最後の「山は見ていた」の2編だけだった。
一番、面白かったのは、最後の表題作「山は見ていた」だ。
理由は、自分が、興味を持っている大岳山の登山が書かれているから
かも知れない。終わり方が、希望を持てる終わり方だからかも知れない。
山関係の2作以外の作品の題材は、まったく、多岐にわたっている。
新田次郎は、あまり、意識して、ミステリーを書こうとしない方が、
良いが、まったく、無視もできない。というようなこと言っていた
らしい。
確かに、どの作品も、ミステリーのジャンルと言って良いかわからない
ものも多くあった。
復讐劇、怨念、男女問題など、多岐にわたる。
ミステリーと言えそうな作品は、少々、最後に無理やりオチをつけようと
している感がなくもなかった。
しかし、どれも、ちょっと、変わった、読んだことのないストーリー
の世界を見ることができた。新田次郎の多才さを垣間見た。
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