『桜さく知る人わずか森の過去』
ネザサの海に潜った 12尺を越す層の底は
一草も無い死の世界だった 盛夏30余日ネザサ刈り終える
木漏れ日が射し 風が渡る
まだ枯れた笹葉一面の林床も 幾年追い刈りすれば復興するのだろうか
早く春の妖精達に出会いたい
『つける実の初物も先この身満足』
12尺以上もある ネザサの海を乾しあげたら
モヤシのような木々の疎林が現れた
随所にかまぼこ兵舎のごとく 集積した笹山が残る
笹山が土に還る頃には 豊かに実って欲しい
『森の辺を縫いつ舞い消ゆカケスかな』
『ウグイスが鳴けば空射ぬホトトギス』
『チョットコイ用など無いがコジュが呼ぶ』
『月日星鳴いて我刈るホイホイホ』
午前中だけ鳴き声を聞かせる 姿を見せないが大きな声だ
隣の谷では現れるという
あの樹のあの枝だ 朝からカメラが狙う あの場所だ
私といえば 追い立てられて
手が動く汗が吹き出る 息が荒い