『中卒の記念樹なりしさくら木はいつしか埋もれ影も留めず』
84本の桜で何本が健在なのだろうか
私の樹は山のお稲荷さんに植えたが
積雪に負け 遂には枯れてしまった
この春 山桜を植樹した
「桜の苗が 大きく育つ頃 僕らはみんな 大人になるんだ」
大好きな歌の一節だが
『桜の苗が 大きく育つ頃 僕らはみんな 粉になるんだ』
と言うのが この頃の仲間内での定説だ
時とは なんと揺るぎ無いものだ 脱毛だ
『中卒の記念樹なりしさくら木はいつしか埋もれ影も留めず』
84本の桜で何本が健在なのだろうか
私の樹は山のお稲荷さんに植えたが
積雪に負け 遂には枯れてしまった
この春 山桜を植樹した
「桜の苗が 大きく育つ頃 僕らはみんな 大人になるんだ」
大好きな歌の一節だが
『桜の苗が 大きく育つ頃 僕らはみんな 粉になるんだ』
と言うのが この頃の仲間内での定説だ
時とは なんと揺るぎ無いものだ 脱毛だ
『童らは社会のひかり老獪は自分のたね子世襲で囲う』
『虫かごの空でありしや幼子に栗詰めたれば母跳んでくる』
『難聴児歓声上げつ五体振るこの児のたぎり母知る由や』
不安顔の児が 竹切りを途中で止めて
「Batta!」「Totta!」と右往左往だ
しばらくして聞き取れるようになった
両耳に補聴器があるが 身振り手振りが伝わり易かった
この会心の笑顔は
街に戻っても現れるのだろうか
『かくもまあ野蛮無頼な高恥能農水総務厚労その他』
『なるほどと感服しかり師の曰く携わらずに群がる輩』
『秋津島民のたまわり府三百一言言えば重い邪』
九人兄弟の中で唯一 母から手紙を貰ったのが私だ
技能職を廃して 福祉の道に進もうとした時だ
鉛筆書きカナ混じり文「馬鹿なことをするな」と言う内容だ
確かにお先真っ暗な分野だった 男子の仕事でもないと
しかし恵まれなくても自費で研修や指導を受ける雰囲気があった
多くのユニークで先駆的取り組みをしている先達がいた
今は制度として整えられ画一的で窮屈になった
体験的感慨は「奴隷制度・奴隷労働」に近いものがある
「お先真っ暗」が本質的に異なり希望や夢の余地が無い
視点を変えれば あの頃と同じ夜明け前だろうか
頑張って欲しい
『秋雨に抑えて待ちし碧き空すがしと言えばすがしと返る』
『飯食べてもみじ眺めつ虫の音に揺られ揺られて不覚に夢路』
『仰ぎ見る梢の先の群雲のそのまた先の紺碧の空』
『深き森人知らずして往く雲も人声寂と憶え無しかな』
里山に人影があるのは「収奪」の時だけ 「山に柴刈りに」なんておとぎ話の世界だ
ふざけて言えば「八方祭中華八方再」が山の手入れ ローカルでマイナー いわゆる「選ばれざる道」に間違いない
「父の命日が近い 墓参りに行かねば」と思いつつ 竹の処理をしていたら
突然 葬儀の時の情景が出てきた 涙もこみ上げてくる
思えば三世代13人家族で暮らして 祖父母の時も両親の時も 死に目には会えなかった
自分が黄泉の国に行く時は覚悟して逝かねばなるまい
『ああ安堵母の苦行は終えたり』
『永久なれば棺の母は半眼の瞳滲ませわれ傍に呼ぶ』
『我が父か寝入る骸の小ささよ』
『病癒え白木に入りし我が父はカサと言いたりコソと言いたり』
『彼岸会や父母身罷りし長病父は餓え責め母痛み責め』
餓は「かつ」だから「餓え」の用法は正しいのかどうか。変換に出たし、心情として「餓」でないと腑に落ちないから用いた。自己流の最大の難関だ。事故流かも。