『我知らん何故に起こるかこの心軋み倒れる伐採の時』
『間引くとはかような思い是非もなし命はひとつ地蔵に見たり』
『倒れ入るその時捉え葉涙を旋風に乗せて我にかけたり』
『軋む幹葉涙絞り倒れたり』
午後に大仕事はしないから 午前に伐木することになる
いきおい葉が濡れている時もあり 木が動くと落ちてくる
あたかも落涙の様でもあり セミの小便の様でもある
命の瀬戸際だから 落涙と思いたい
だからこそ杣人は礼節をとったのだろう
それにしても あの地蔵累々の重なりは
母の慈悲の象徴だが
山の倒木累々は 無慈悲の象徴だ 声も出ない