『啓蟄となりし暦もこの身には胸の痛みに篭もれる布団』
『骨折れし夜の布団の冷たきに熱にまわせる余裕無き身か』
『瞬痛の予兆を知りて回避する動きは遅くこの身溜息』
「春一番」が耳の中に溢れていた。久しぶりに聞くキャンディーズの歌声は明るい。目を開けると障子戸を通して朝が来ていた。そういえば「瀬戸の花嫁」は一昨日の夜だったか。
昨夜はどうやっても横になれず、結局座位のまま朝を迎えたのだ。深夜便で絵本作家や、伊藤さんの両親へのインダビューがあった。全部は記憶にないが、それぞれに苦しみや悲しみ、希望もあって人生を歩んでいたのだけは理解した。
どちらも親として悲しみの淵に沈んだろうに淡々と話をしていた。
小生は今、横になることに汲々としている。