完成してから冷蔵庫にはや二週間、時折はお匙で失敬していた「ごど」であるけれど、ようやく食卓で食する時と成った。それは次兄から新米が届いたのだ。長兄からの新米では無く小生の知らぬご仁のお裾分けからのお裾分けだ。
とは言え魚沼の新米に違いはなく食用菊も開花したから人生初体験の「ごど」でお膳を作ったのである。
主食は当然、魚沼産の新米でこれにごくありふれた食べ方、「ごど」を載せて食べる。汁の具はシジミで味噌の代わりに「ごど」で味付けした。菜は「菊花のお浸し・酢ごど和え」としたのだ。汁も具もすり鉢で「ごど」をすり潰して使った。端的には味噌をごどに置き換えたのである。
ペースト状になった「ごど」だが和え物用にはキビ糖を加え少々甘味を入れる。すべてが「ごど」そのものでは平板すぎると思ったからだ。実際問題として伝統食本場の「ごど」そのものを食した事が無いので手前ごどでしか言えないのが難であるから爺我自賛するには客観性を欠く。
それはともかく「素労風努」として熟成を重ねた食品の一品だから貧しい一膳でも不満などある訳もなく祝着至極なのであった。まあ、「ごど」の膳が貧しいのでは無く減額一方の年金高齢者であるがゆえに貧しいのだから小生は凛としていなければならぬ。であるからして「ままごど」は汗水地獄の一花なのである。
この浮世の手太楽を閻魔大王様の前で正直に申し立てすれば情状酌量の余地は大いにあるはずなのだ。てなもんや三度笠。
味わいは汁については「酸味のある納豆汁」的で食用菊の小鉢は納豆の味と香りがくる。どちらも味噌と置き換えたレシピなのだが塩味に欠けて汁には出し汁を加えた。
ご飯の友としては熱いご飯に載せた結果、香りを吸うと軽くむせてしまうのだった。酸性の蒸気は気管にダイレクトだ。発酵途中に気になったシンナー様臭は消えて納豆の香りと味が最初に来る。これが「ごど」と言える代物なのかどうか小生には判断がつかないものの「ごどもどき」とは言っても良かろう・・・。