泥水地の改修・修復が終えて数日、それまで遠慮していた猪がやってくるようになった。状況に変化がないと日を於かずやってくる。
何度、根こそぎ掘り起こされたか判らないツリバナの株が、またしても掘り起こされひっくり返っていた。もうこの場所での生育は不可能と思わざるを得ないけれど、とりあえず埋めておく。
畦には大きな足跡に加えて大小の足跡が散乱する。群れで来ているのは当たり前だろうが、今回の足跡は大きい部類に入る。体重でいえば100kg程度の成獣になるのだろう。
泥水地を築くためにV字浸食された溝を埋めた堤、これが猪道になって崩されていく。竹の杭を並べたが、三日目には通るようになったし、今日はキムチ用の粉唐辛子を散布したのだが…。
薄氷の池を巡るやアカトンボ
ヤエムグラ実たわわなる霜まみれ
水面を引っ掻いたよな初氷
春までは陽も射さぬなり谷地の池
ジョロウグモ破れ網にて霜を受け
泥水池1の増えすぎるカンガレイの株を掘り上げて廃棄しようと堤に上げたら動くものが見えた。
もう「!!!」である。年に一回程度は水底の泥が立ち上がるのを見ていたから推定はしていたが確認できなかった泥鰌なのである。もう「ドジョウ、ドウジョ、どうぞよろしく」の気分になった。
カンガレイの根株から落ちた泥の中には、更に二匹がいた。これでは根塊を廃棄できないから、元の位置に落とし込んだ。春になってから掘り捨てる事にした。
泥鰌の体長は80mm程度だし、恐らく今年産まれた個体だろうと推測したが、アオサギが居ついている理由の一端が分かったような気がする。絶滅しない様に柴漬けや草陰を作り、安住の場所も考えねばならなくなった。こういう手間は大歓迎である。少し報われた気がした。
愛尊とおもえど哀損消えたもう
彗星は期待残して陽に溶けり
彗星も放り込まれる師走なり
太陽のお歳暮となりほうき星
現世や一期一会も夢と消ゆ