団塊オヤジの短編小説goo

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「日本酒を冬に仕込むその理由」について考える

2018-11-15 09:43:31 | 飲み物・お酒

日本酒の仕込みといえば、冬のイメージが強いと思います。雪のシーズンに蒸した酒米から湧きあがる湯気の映像を見たことがあると思います。一層気温の低さを感じます。

しかし、江戸時代までは「四季醸造」が普通だったそうです。「新酒・間酒・寒前酒・寒酒・春酒」と一年に5回の仕込みをしていたそうです。

なぜ現在は冬の「寒仕込み」が一般的になったのでしょうか。

 

「四季醸造(しきじょうぞう)」は、冬の寒い時期だけでなく、一年を通じて日本酒を醸造すること。またはその技術や製法のことです。

寒造りの対立概念として扱われることもあります。

日本では、古来より江戸時代初期に至るまで、真夏の盛りを除いて一年を通じて以下のように酒を醸していました。

新酒(しんしゅ) 旧暦八月(今の新暦では九月ごろに相当)に前年に収穫した古米で造る。

間酒(あいしゅ) 初秋に造る酒。今でいえば九月下旬で、残暑厳しい折ではあるが、そのために乳酸菌の発酵が容易だったなどのメリットもあった。たいへんな臭気をはなったという。

寒前酒(かんまえさけ) 晩秋に造る酒

寒酒(かんしゅ) 冬場に造る酒。のちに寒造りとして残っていく。

春酒(はるざけ) 春先に造る酒。冬に比べて気候が暖かくなっているので、浸漬(しんせき)の時間も日を追って短くすることが留意された。また蒸米は冷ましきってから弱く仕掛けるなど、発酵が進みすぎないようにいろいろな工夫がなされた。

 

しかし、江戸時代にこの四季醸造の技術は消滅していきます。それは以下のような原因によります。

1.江戸幕府の政策

その理由は、日本酒は日本人の主食であるお米から作られます。豊作であったり大飢饉がおこったりと、お米の供給は一定ではありませんでした。

収穫が終わって、酒造りに回すお米の量を調節したと言われています。

幕府は、そのときどきの米相場や食糧事情、政争などの理由で酒造統制を行ないました。すなわち引き締め策を要するときには寒酒以外を禁じるなどして酒造への規制を強め、逆に米が供給過剰になったりすると、規制緩和を行ない「勝手造りの令」などによって四季醸造を解禁したのです。それを繰り返しているあいだに生産許可の不安定な新酒、間酒、寒前酒、春酒は蔵元が造らなくなっていきました。

また、農作業の閑散期である冬に「酒造りで出稼ぎに行く」ということも、日本酒を冬に仕込む理由の一つです。

2.酒質の追求

冬場は作業がつらく、発酵の進む早さもゆっくりではあるが、総じて良い酒ができます。それは、夏場に比べて雑菌の増殖が少ないことも好影響でした。やがて酒の品質競争が起こってくると、寒酒以外の季節の醸造はあまり省みられなくなったのです。

 

こうしていったん途絶してしまった四季醸造の技術がふたたび復活するのは、じつに昭和時代の工業技術によってでした。

 

日本酒は、6~15°Cで醸造されます。四季のある日本では、11月~3月が仕込みの時期に最適だったことも影響しています。水分バランスと温度管理が日本酒の旨みのポイントです。日本酒は、蒸米に麹をプラスして糖分をつくり、さらに酵母を加えじっくりと低温で発酵させます。「じっくり低温で」という発酵経過は、さまざまなアミノ酸がゆっくり溶け出し、滑らかさや酸味など独特の美味しい日本酒をつくり出します。最近は温度管理がしっかりと出来ている工場も多いので、年中、仕込みも可能です。

しかし、その酒蔵に何百年も息づく麹菌が醸し出す味わいもいいものではないでしょうか。

 

仕込みが始まって、最初に飲めるのは「にごり酒」です。粗くこしてもろみが残っています。なんとなく炭酸感を感じる口あたりのものと、トロトロとした濃厚なものがあります。冷やして飲んだり、ロックやカクテルにしても飲んだりします。

次は、「立春朝搾り」というお酒でしょうか。搾り上がりが2月4日と決まっています。早すぎず、遅すぎず完璧な管理で生まれるお酒です。当日しか飲めない日本酒を味わってみたいです。

日本酒は冬に仕込むその理由は?美味しいその秘密

 

立春朝搾り

立春の2月4日未明に搾りあがったばかりの日本酒を、その日のうちに出荷する取り組み。日本名門酒会の企画により、1998年より毎年実施されている。立春朝搾りに参加した酒蔵から出荷され、同会加盟の酒販店でのみ限定販売される。

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