「大鹿村騒動記(2011年公開)」を観た。
【解説】長野県の山村に300年以上も伝わる「大鹿歌舞伎」をモチーフに、『亡国のイージス』『顔』の阪本順治監督と原田芳雄がタッグを組んだ群像喜劇。伝統の村歌舞伎が受け継がれてきた山村で食堂を営む男のもとに、18年前に駆け落ちした妻と友人が現れたことから始まる騒動を軽妙なタッチで描く。共演には大楠道代、岸部一徳、松たか子、佐藤浩市、三國連太郎ら実力派がそろい、悲喜こもごもの人間模様を彩る。大鹿歌舞伎の舞台を再現したクライマックスは圧巻。
原田芳雄の遺作となった作品である。三百年続く村歌舞伎を中心に、山奥の村でのタイトルにあるように騒動記で、村人たちとの絆や愛情溢れる掛け合いが何とも心地良い映画だった。通常映画は間延びするシーンが少なからずあるものだが、どのシーンも味のある多彩な役者さんたちがきっちりと埋めてくれる。「メインディッシュ」がある訳ではないが、ずっとポリポリとつまみ続けられるって感じの映画だった。とにかく原田芳雄独特の芝居が光っていた。
観客から次々とおひねりが舞台に投げ入れられたり、自由な掛け声もほのぼのとしている歌舞伎は、いつも観ている敷居の高い歌舞伎とはまた違う魅力がある。最後に忌野清志郎の歌が流れるのだが、原田芳雄を始め、三國連太郎ももういないんだな~とついしみじみしてしまった。