またまたの新橋演舞場にやって来て、「松竹新喜劇 新秋公演(夜の部)」を観に行った。
第一部「色気噺お伊勢帰り」・・・左官の喜六さんは、同じ長屋に住む色男の清八さんと違い、どこか間の抜けた三枚目。ある日、長屋の男連中とお伊勢参りに行くことに。その帰りに喜六さんは、いつも尻に敷かれている女房に一泡吹かせようと、なにやらよからぬ企みを清八さんにもちかけるのですが・・・
前から6列目に座る。江戸時代、人々が一生に一度は参拝したいと願った伊勢神宮への集団参詣。江戸時代の日本の平均 人口は3000万人だった頃、お伊勢参りブームの最盛期には年間500万人、実に6人にひとりが伊勢に参拝したそうで、お伊勢参りはそれはそれは楽しみで仕方なかった大イベントだったのだろう。そのウキウキ感が舞台上に広がり、その様子を観るだけで口元が緩んでしまう。ちなみに水谷八重子と久本雅美はこの回のみの出演だった。
第二部「愚兄愚弟」・・・鮮魚店を営む惣太郎さんと惣二郎さんは、近所でも評判の仲の悪い兄弟。兄は本家魚惣、弟は本店魚惣と看板をあげての商売仇です。そんな中、それぞれの娘の縁談がペットショップの高橋さんの仲立ちによってこんがらがり、町内の人達を巻き込んで、兄弟喧嘩はどんどんエスカレートして・・・
渋谷天外の存在感はやはり抜群で、曽我廼家八十吉との兄弟間のいざこざを笑いあり涙ありで演じる。兄がいる私にとってどこか感情移入してしまう設定であった。決して仲違いはしていないが、兄弟・家族っていいもんだなと思ってしまう。
今年数えること10回目の観劇が終わり、外に出ると小雨が降っていた。