賃貸借契約更新時に必要となる更新料の有効・無効について争われていた注目の裁判結果が昨日最高裁で出た。
マンションの借り主が賃貸借契約の更新時に貸主に支払う「更新料」は、消費者に一方的な不利益を押しつける「無効」な契約条項だとして、借り主が貸主を相手取り、支払った更新料の返還などを求めた3件の訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷は更新料は「有効」とする初判断を示し、貸主側の勝訴が確定した。
更新料は約40年前から主に京都や首都圏で慣習化しており、契約件数は全国で100件以上とみられる。今回の3件は、京都と滋賀のマンションの借り主3人が07~08年、賃貸借契約で「1年ごとの更新時に月額賃料の2ヶ月分を支払う」などの条項が盛り込まれたことについて「消費者の利益を一方的に害する契約条項は無効」との消費者契約法の規定に触れるとして別々に提訴。一審は3件中2件を有効、1件を無効と判断したが、二審では無効が2件となった。
上告審で貸主側は「借り主は更新料条項も合意のうえで契約締結しており、踏み倒しは許されない」と主張。更新料契約が長年続いてきたのは一定の合理性があるからだとの姿勢をみせた。これに対し、借り主側は「契約時に情報や交渉力に格差がある以上、締結せざるを得ない状況に置かれていた」と反論。借り主に更新料を支払う義務があると定めた法律はなく、不合理な慣行だと主張していた。
マンション賃貸借契約を巡っては、借り主が退去する際、貸主が敷金の一部を無条件に取得できると定めた「敷引特約」について最高裁が3月、有効とする初判断を示している。
まずこれは「京都圏」における特別な契約条件が土壌にあるので、通常「2年契約」「更新料1.0~1.5ヶ月」が主流とされている東京圏とは少し事情が異なる部分があるが、今回争われた3件の更新料の中で最も高額だった「1年毎の更新料約2.2ヶ月分」でも有効とされる事により今後東京圏の契約条件が変わるとは思えないが、3月の「敷引特約有効」に続き、これまでの「消費者超優遇傾向」の流れに反する判決は非常に意外であった。ただどちら判決も「不当に高額でなければ」と金額については明確にしていないのが特徴である。
そもそも話を面倒にしているのは当事者間で自由に契約を締結出来る「契約自由の原則」が民法上の基本原則としてあるのだが「公の秩序や強行法規に反しない限り(つまり一方に明らかに不利である場合)」は除かれる点である。この根本的な矛盾が拡大解釈を生ずる要因のひとつでもあると思う。